新入社員研修数日〜数ヶ月と比較的長期間にわたる研修となります。

その期間の中で新入社員の方は大量の知識や経験による情報を浴びることになります。

知識の定着には反復や実践」が、「実践や疑似体験の後には振り返り」が必要であるのはなんとなくイメージできると思いますが、具体的に「振り返り」とは何を行うのでしょうか?

今回は新入社員研修で使える「振り返りの方法」について書いていきたいと思います。

新入社員研修で使える2種類の振り返りの方法

まず、「新入社員研修における振り返り」大きく2つに分けたいと思います。
1つめが「日々の振り返り」で、毎日行うもの、または午後の研修会社時に実施するものなどです。

2つめが「一定期間後の振り返り」です。プロジェクト型の研修コンテンツの終了時や、数日間に渡る単元の区切りの後に行うものです。

KPTは「毎日の振り返り」には不向き?

振り返りの方法としてよく知られているKPT(Keep,Problem,Try)はどちらかというと、「一定期間後の振り返り」に適しており、「日々の振り返り」でKPT法を使おうと思っても、Keep(継続すること)などはあまり良い答えが思いつきません。

従って、「振り返り」を「日々の振り返り」と「一定期間後の振り返り」に分けてそれぞれのシーンで適切な振り返りの方法を選択していく必要があります。

「日々の振り返り」の方法

まずは「日々の振り返り」のシーンで使える方法です。
大きく6つの振り返り方法を紹介したいと思います。

1.一番印象に残っていること
2.わかったこと、わからなかったこと
3.できること、できなそうなこと
4.初めて、改めて
5.ことわざ化
6.ミニテスト

1.一番印象に残っていること

午前の研修開始直後や、昼食後の研修開始時に実施する振り返りです。
午前の研修で一番印象に残っていることは何ですか?」という問いを投げて、振り返りを促します。

以降の「問い」を用いた振り返りも同様なのですが、問いを投げた後の流れとしては、大きく2つの方法があります。
A.数人を当てて、回答してもらう
B.4名程度のグループを作って、共有する

A案は講師側の全体管理が楽に済みます。
B案はやや管理が難しくなりますが、「学びの共有」が促されます。

2.わかったこと、わからなかったこと

2つめは昼食後の研修開始時や、1日の研修終了時に実施する振り返りです。
午前の研修で、わかったこと、わからなかったことは何ですか?」という問いを投げて、振り返りを促します。

名刺サイズほどの紙を渡して記入してもらうとよいでしょう。
1日の研修の中で「不明点を解消」しておくことは研修の満足度や理解度に影響を与えます。

無記名で紙を回収し、多くの人が「わからなかった」部分を翌日に補足するとよいでしょう。

その後の流れは1と同様、個人発表または、グループディスカッションとなります。

3.できること、できなそうなこと

3つめは主として1日の研修終了時や単元が変わる時に実施する振り返りです。

研修の効果測定理論として有名なカークパトリックの4段階評価では「学習」が「行動」につながっているかを重視しています。

カークパトリックの4段階評価についてはこちらを御覧ください。

カークパトリックによる研修効果の測定(4段階評価)

つまり、「わかった」の次は「できるか」(実際にはやったか)ということが重要になってきます。

そこで、研修を終えて「できるようになったこと」と「まだできそうにないこと」を問い、2と同様、記入し、発表します。

「わかった」が「まだできそうにないこと」とは練習不足であったり、知識にあやふやな部分があったりすることですので、講師は受講者の発言に注意しておくことが重要です。

4.初めて、改めて

4つ目は研修としてはベタな振り返りかもしれませんが、主として1日の研修終了時や単元が変わる時に実施する振り返りです。

初めて学んだこと、改めて気づいたこと」という問いを投げかけ、2と同様、記入し、発表します。

特に「改めて」という問いはこれまでの知識や考え方の枠組みを見直すこととなり、ある種のダブルループ学習といえるでしょう。

普段何気なくやっていることが理論的に意味付けされたり、その重要性に気づいたりすることは行動変容の大きなきっかけとなるでしょう。

5.ことわざ化

5つめはこれまでとは少し違った視点での振り返りとなります。
主として1日の研修終了時や単元が変わる時に実施する振り返りです。

それは「これまでに学んだXXを一言で表すと?
※XXの部分は例えば、ビジネスマナーと考えて下さい。
格言ことわざを作ると言い換えても良いと思います。

これは、東京大学 特任助教の池尻さんのワークショップで「転移」についてのお話を伺った時に、このような話がありました。

学習した内容を実務で活かすために想起(思い出す)を促す視点で考えると「ことわざ」などの準抽象化 > 「事例」などの具体例 > 教科書などの説明の順で想起が促されるという実験結果がある。

つまり、自分なりに学習内容をことわざや格言などの理論ぽくまとめておくと、実務に活かしやすいということになります。

6.ミニテスト

最後は研修の現場ではよく行われている「確認テスト」の応用です。
前日の内容の振り返りや、単元の変わり目で実施する振り返りです。

講師がテストを作るのも良いのですが、受講生がお互いに数問ずつ問題を作りあうという方式を紹介したいと思います。

問題を作るということは、当然、答えを知っている必要がありますし、自分も相手もあいまいな部分を問題に出しやすいという考え方ができます。

ただし、あまりマニアックな問題を出しても仕方がありませんので、相互採点後、相手が全問不正解の場合は出題者が負けというような対戦型振り返りにすると面白いでしょう。

まとめ

いかがでしょうか。一口に振り返りといっても目的や切り口によって創意工夫ができるかと思います。

今回紹介した6つの方法を応用して学びが定着し、実務で使えるための振り返り方法を生み出してもらえたらと思います。

また、次回はプロジェクト型研修後の振り返りなどの「一定期間後の振り返り」について書きたいと思います。

「日々の振り返り」の方法

1.一番印象に残っていること
2.わかったこと、わからなかったこと
3.できること、できなそうなこと
4.初めて、改めて
5.ことわざ化
6.ミニテスト


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