毎年、複数の人材会社から新入社員や若手社員の意識調査や傾向といったレポートが公表されます。

以下はマイナビさんの新入社員意識調査のアンケート結果です(PDF)
https://www.mynavi.jp/news/2016/04/post_11181.html

こちらはエン・ジャパンさんによる調査結果に関するWEB上の記事です。
http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1605/27/news027.html

最後に、クロス・マーケティングさんによる若手社員への調査結果に関するWEB上の記事です。
http://diamond.jp/articles/-/77975

3つの記事に共通するのは「仕事よりもプライベートを優先」ということです。
マイナビさんの記事によればこの項目の結果は2011年の調査と比べると13.4ポイントも上昇しているようです。

24時間働けますか?なんてキャッチコピーはオワコンだということがわかります。

それに関連して、「出世したくない」という若者も増えています。
マイナビさんのWEBでの記事では以下の様に記述されています。

「出世したいか」という質問については、「したい」が89.3%(前年比0.1pt増)となり、例年通りの高い割合となった。

あれ?ちょっと印象と違うな、と思いましたが、データを見てみると「したくない」は10.1%で、前年比0.5pt増となっており、「したい」の増加よりも多くなっていることが分かります。

なお、「したくない」は2011年以降初めて10%を超えたことになります。
なぜ若者は「出世したくない」のでしょうか。

努力ー報酬不均衡モデルでみる出世したくない若者

クロス・マーケティングさんの調査では20代男性が出世したくない理由として以下が挙げられています。
http://diamond.jp/articles/-/77975

「責任の範囲が広がるのが嫌だから」 44.6%
「出世をしても給与・年収がそれほど上がらないから」31.7%

30代男性の場合は以下の様な結果が出ているようです。

「責任の範囲が広がるのが嫌だから」 33.1%
「出世をしても給与・年収がそれほど上がらないから」40.7%

つまり、努力して出世・昇進しても給与はそんなに上がらない割に、責任は増えて割にあわない、ということでしょう。

これはメンタルヘルスの分野でよく出てくる努力ー報酬不均衡モデルと関連がありそうです。

努力ー報酬不均衡モデルとはドイツの社会学者シグリストらによって提唱された理論で、努力と報酬は以下の様に定義されています。

「努力」= 仕事の要求度,責任,負担
「報酬」= 経済的な報酬(金銭),心理的な報酬(セルフ・エスティーム)およびキャリアに関する報酬(仕事の安定性や昇進)

努力-報酬不均衡モデル調査票がWEBに公開されていますので社内の調査に使うことができます。
https://mental.m.u-tokyo.ac.jp/old/ERI/chosahyo.htm

このモデルはメンタルヘルスの分野で有名で、努力と報酬のバランスの欠如がストレスを生むと仮定しています。

努力に見合う報酬を与えるには?

最後に、努力に見合った報酬を与えるためには何が必要なのか?を考えてみたいと思います。
もちろん、「給与」という金銭的な報酬が見合うかは重要なポイントです。

しかしながら、この変化の激しい時代に固定費となる給与を大幅に上げるというのは現実的には厳しいように思います。

そこでもう一度努力-報酬不均衡モデルに目を当ててみると、「報酬」には他に「心理的な報酬」と「キャリアに関する報酬」があります

金銭的な報酬が難しければ残り2つの報酬によって総合的な報酬を増加させるという対策も考えられます。

具体的には以下の様なアイデアが考えれます。

・社内で表彰が行われる
・有給数が増える
・希望部署への(体験)異動ができる
・退職しても数年間であれば出戻りができる権利が発行される

どれも難易度は高いかもしれませんが、お金を使わずにできる報酬の形です。

まとめ

まとめると以下の3点がポイントとなります。

・出世したくない若者は増えている
・努力に対する報酬が見合わないと考えているからである
・金銭的な報酬以外の報酬を提供していく必要がある

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