先日訪問させていただいたベンチャー企業の担当者様は現在「全体的な研修の再設計を行っている」という話をされていました。

会社の規模や、事業フェーズによって必要となる研修は変わっていくものだと思います。

しかし、この「必要となる」というニーズは誰が意思決定しているのでしょうか。

データで見る研修ニーズ把握方法

少し古いデータになりますが、2011年に労務行政研究所が調査した「企業の教育研修に関する実態調査」では研修のニーズの把握方法についてこんなデータがありました。

教育研修のニーズの把握方法(複数回答)
1.経営トップからの要請 :78.3
2.現場の各部門長からの要請 : 66.0
3.人材開発担当者が現場にヒアリング : 55.7
4.研修時のアンケート調査 :39.4
5.社員からの要請 :32.5
6.労組からの要請 :7.4
7.その他 :7.9

このデータから言えることは、基本的には「上長が学んで欲しいと思っていること、足りていないと感じていること」が研修のニーズとして担当者に上がってくるということになります。

逆に、現場の社員が「学びたい」と思っていることは開発担当者がヒアリングをしていかなければ上がって来づらいということになります。

前者の上長の判断によるニーズ把握のメリットとしては

・多くの社員に共通している問題点に対する研修を実施できる
・現場社員は気づいていないが、中長期的に意味のある研修を実施できる

ということでしょう。

一方でデメリットとしては

・現場の研修ニーズと乖離がある可能性がある

ということになります。

後者の現場社員の判断によるニーズ把握のメリットとしては

・現場が求めている研修を実施できる
・自分たちの声が組織運営に反映されたという肯定感の獲得

が挙げられます。

特に、2つ目の自分たちの声が反映されたという肯定感というのは研修の実施同様に大きな効果があると思います。

一方デメリットとしては、

・近視眼的になる可能性がある
・個人的なニーズが分散し、実施には至らないものも多い

ということでしょうか。

実例で見る新しい研修ニーズ把握方法

上記のハイブリッド型のニーズ把握方法としてこんな事例があります。
弊社のお客様(IT業界 / 200名)で、人事担当者の方は総合職向けのプログラミング研修の必要性を感じていました。

営業職がシステムの成り立ちを把握することで開発者とのコミュニケーションコストが下がると考えていたからです。

しかし、実際に現場からプログラミングを学びたいという具体的な声が多くあるわけではありません

そこで、この担当者の方は社内に対して「プログラミング研修を実施するとしたら参加したい人」を募集してみました。
すると、10名ぐらいの反応を予想していたのに対して、1日で30名近くの反応がありました。

潜在的なニーズが問いかけによって顕在化された事例です。
最近でも、財務に関する研修でも同じような事象が起こっています。

新入社員研修に財務研修を導入し、社内SNSで実施の様子(写真)をアップしたところ、現場の社員からも「やってほしい」というニーズが続々とでてきたと言います。

まとめ

現状は上長からのニーズによって研修が企画されていることが多い。
社員の潜在的なニーズを掘り起こす取り組みも必要と考える。


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