ワークライフバランスという言葉は一般的になってきましたが、実際に制度として、企業内で何か実施されているかと言われるとまだまだ、というのが実態ではないでしょうか。

なお、ワークライフバランスとは「仕事と生活の調和」と訳され、以下のことを指すとされています。

国民一人ひとりがやりがいや充実感を持ちながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる by Wikipedia

企業内でできる一般的なワークライフバランスの支援の形としては勤務形態の多様化、育児や介護、自己啓発、ボランティアなどの社会活動への参加への支援ということになります。

勤務形態の多様化には、時短勤務や、在宅勤務などはもちろん、今後は「副業」という要素が加わってくるかもしれません。

また制度は用意されていても実際に活用するとなると同僚や上司の業務負担が増加すると考え、活用できていないということが考えられます。

今回は「ミドルマネジャーの職場環境と従業員のワーク・ライフ・バランス」という論文(兵庫県立大学 細見正樹 先生)を参考に実際にワークライフバランス制度を実際に活用するために必要な上司の支援について書いていきたいと思います。

論文はこちらから閲覧できます。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaas/28/1/28_19/_pdf

この論文ではミドルマネジャー(職場の部下を管理しており、さらに上位に自分を管理する上司がいるポジションの従業員)に注目し、部下がワークライフバランス支援制度を利用することに対して寛容となるための条件について分析されています。

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詳細は論文をご覧頂くとして、結論としては

上司から仕事の支援を受けているミドルマネジャーはワークライフバランス施策の実施にともなう弊害を低く見積もり、部下が過程生活を充実させることに対して寛容となる

ことが明らかとなりました。

つまり、ミドルマネジャーを管理する上司がミドルマネジャーをどれぐらい支援できているか?がワークライフバランス制度を現実に活用するためには大事だということです。

では、「上司からの支援」とは具体的にはどういったものでしょうか?

本論文ではその点について大きく触れていませんでしたが、以前の記事でも紹介した中原淳先生の「職場学習論」を参考にしたいと思います。

部下の育成方法の具体例14パターン

まず、仕事における支援には大きく3つのパターンがあります。

A.業務支援
B.内省支援
C.精神支援

各支援をもう少し細かく見ていくと以下の様な具体例が挙げられます。

A.業務支援
1.専門的知識・スキルを提供する
2.仕事の相談に乗る
3.仕事に必要な情報を提供する
4.仕事上必要な他部署との調整をする
5.目標・手本となる
6.自律的に動けるようにまかせる

B.内省支援
7.部下について客観的な意見を言う
8.部下自身が振り返る機会を与える
9.新しい視点を与える

C.精神支援
10.精神的な安らぎを与える
11.仕事の息抜きとなる
12.心の支えになる
13.プライベートな相談にのる
14.楽しく仕事ができる雰囲気を与える

このような支援がミドルマネジャーに対しても実施されているかどうかがミドルマネジャーが管理する部下がワークライフバランス制度を活用できるかどうかを大きく左右するということが言えるでしょう。

まとめ

ワークライフバランス制度を実際に活用にするには上司の支援が必要である。

(上司の)支援とは以下の3つのパターンで行われる。

A.業務支援
B.内省支援
C.精神支援

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