松下幸之助の面接とプロアクティブ行動
パナソニックの創業者、松下幸之助 氏の面接では(面接に行くだけでドキドキしてしまいますが・・・)最後にこんな質問をしたといいます。
Wikipediaより
あなたならどう答えますか?
なんと、ここで 「運が悪いです」 と答えると、どんなに学歴が良くても落とされてしまう
という話が残っているようです。
自分で 「運がいい」 と思っていて、松下幸之助氏を前にした面接でそれを言える人しか合格しないということです。
そんなバカな・・・と思う方もいるかもしれません。(私は少しそう思っていました)
しかし、この松下幸之助の面接を肯定する面白い論文を見つけました。
「ポジティブフレーム」が仕事満足につながる!?
今回紹介するのは若年就労者の仕事満足に対するプロアクティブ行動の効果についての検討(星 かおり 2016)という論文です。
ご注意いただきたいのは、この論文は概要にも書いてありますが
するための研究について論じているもので、松下幸之助の面接について研究したものではありません。
しかし、個人的に2つの話に共通することがあるのではないか?と感じています。
論文では、「仕事に満足している若手社員はどのような取り組みや特性を持っているのか?」ということを、プロアクティブ社会化戦略尺度というもので分析しています。
プロアクティブ行動とは
ここで、プロアクティブという言葉を理解しておきましょう。
「先を見越した」「事前に行動を起こした」という意味の英語である。
何かが予見されるときにそれが起こる前に事前に行動すること、
またその積極性や前向きな様子を表す。
「プロアクティブ行動」「プロアクティブ思考」「プロアクティブ戦略」
「プロアクティブ組織」のように他の用語と組み合わせて用いることも多い。
そして、ビジネスシーンにおけるプロアクティブ行動とは以下の意味となります。
論文中より
入社後、個人が主体的に働きかけて組織に適応していくプロセス
参考URL:http://www.recruit-ms.co.jp/issue/interview/0000000244/
では、どのような行動がプロアクティブ行動なのか?というと、それを尺度化したのがプロアクティブ社会化戦略尺度です。大きく7つの項目が挙げられています。
自ら組織構造や部門の関係性について学ぼうとする行動
2.「フィードバック探索」
自身の割り当てられた仕事に対してフィードバックを求める行動
3.「一般的な社会活動」
会社主催の集まりに参加する行動
4.「ネットワーク構築」
部署以外の人と関わろうとする行動
5.「上司との関係構築」
上司との良い関係づくりをするための行動
6.「職務変更交渉」
割り当てられた職務について話しあいをする行動
7.「ポジティブフレーム」
物事を良い方向に捉える傾向
分析の結果「ポジティブフレーム」のみが有意
この論文では学卒後5年以内のフルタイム就労者 168 名を分析したところ、
ということで、ポジティブフレーム(物事を良い方向に捉える傾向)が仕事満足に大きく影響することがわかりました。
まとめ:松下幸之助の面接と論文の結果
ここで松下幸之助氏の面接と論文の結果を照らし合わせてみると「あなたは運がいいですか?」 と聞くのはプロアクティブ行動における 「ポジティブフレーム」についての質問だったのではないか? と考えてしまいます。
つまり、松下幸之助氏の質問は理にかなった 「究極の質問」 だったのでないか?と考えてしまうのです。
「あなたは運がいいですか?」