今回は経験学習と呼ばれる実際に経験したことから学ぶ学習方法について書いていきたいと思います。下図は、コルブ(Kolb)による経験学習モデルと呼ばれる人が経験から深い学びを得るためのサイクルを表しています。

この記事ではまずは経験学習モデルの説明を行い、その後、経験学習自体を学ぶための研修のやり方について書いてみたいと思います。

経験学習モデルとは

経験学習モデル

まずは経験学習モデルについて説明したいと思います。既にご存知の方も多いかと思いますが、経験学習モデルは経験から学ぶプロセスとして4つのプロセスをサイクルにしたものです。(上図参照)

1.経験
具体的経験と呼ばれ、普段の業務や、研修中のワークなどが該当します。

2.省察
内省的省察と呼ばれ、1の具体的経験を振り返ることを指します。振り返りの手法としてはKPT分析などが知られています。

新入社員研修で使える振り返りの方法〜後編(KPTなど)〜

3.概念化
抽象的概念化と呼ばれ、2の省察の結果、得られた気付きを抽出します。一言で言えば持論を作ることと言えるでしょう。

4.実践
能動的実践と呼ばれ、3の概念化で得られた気付きを実践で活用します。

3の概念化のプロセスにおいて、概念化したものを次の機会で思い出し、活用するためには準抽象化と呼ばれる格言やことわざなどの名言として記憶しておくことがよいという研究結果があります。

経験学習を研修で教える2つのやり方

ここまでは経験学習モデルそのものについて解説してきましたが、ここからは、経験学習を研修の中でどのように教えるかということに焦点を置いて書いていきたいと思います。

経験学習をどのように研修の中で教えていくかということですが、少なくとも2通りの方法があると考えています。

1.現場での経験を共有し、振り返り・概念化を行う方法

2.研修の中で疑似体験を行い、振り返り・概念化を行う方法

1つ目は、研修参加者同士で現場での経験を語り合い、それらを振り返り、概念化行うという手法です。例えば、管理者研修の中で経験学習を教える場合、失敗した部下の育成方法、成功した部下の育成方法といったテーマで自分なりの経験を語ってもらいます。まず、これが発表者の内省に繋がります。

何名かの発表のあと、参加者同士で学びを共有するとそれらが概念化されます。最終的に名言のようにまとめてもらうことで学びが現場で活用される可能性が高まります。

このやり方の具体的な手法としてはハイポイントインタビューや、ワールドカフェという形式を採用するのがオススメです。

ハイポイントインタビューのやり方

社内でのワールドカフェのやり方(実施編その1)

2つめの研修の中で疑似体験を行う方法は、ビジネスシミュレーションと呼ばれるワーク(主にゲーム形式)を行うのがオススメです。

例えば、チームワークをテーマにした研修の場合、実際にチームワークが必要な上記のようなゲームをやって頂き、そこでの結果を元に振り返り、学びを概念化するという方法です。

ポイントとしては、利用するゲームは研修目的と合致するものが良いでしょう。ビジネスシミュレーションゲームにもチームビルディングに向いたゲームや、会議の改善に向いたゲームなどがあります。

チームビルディングに効果的なゲーム12選+2

この方法はゲームによって勝ち負けなどの結果がでることで、その後の振り返りがスムーズに進むというメリットがあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。経験学習モデルをご存知の方は多いと思いますが、それを研修としてどのように伝えていくかという点はあまり議論されてこなかったように思います。

現代は学習する組織が求められている時代です。(学習する組織については書籍を参考にして下さい)組織として経験から学ぶというやり方を身につけ、改善、イノベーションにつなげていくことができれば素晴らしいことですね。

また、関連記事としてこちらもオススメです。

経験学習の診断を行うための16項目の尺度


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