対話によって組織変革を進める方法〜ペイン・プレジャー・マトリックス〜
これまでも組織変革についてはいくつか記事を書いてきましたが、今回は、対話による組織変革の推進というテーマで、具体的な対話のやり方として、ペイン・プレジャー・マトリックスについて書いてみたいと思います。
ペイン・プレジャー・マトリックス(PPM)とは
ペイン・プレジャー・マトリックスはグローバルインパクト代表パートナーの船川 淳志氏によって考案されたフレームワークです。
船川氏の著書でも紹介されていますが、ファシリテーターの道具箱にも登場してきます。
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ペイン・プレジャー・マトリックスは、組織変革を必要とするチームの推進力を高めるためのツールで、対話のためのフレームワークです。
具体的には、下図の各項目についてメンバー間で対話をしていきます。
最初はAの領域です。Aの領域は変わることによる痛みについて話し合います。例えばこんな意見がでてくるでしょう。(製品の価格を上げる営業変革のイメージ)
・提案資料などを一新する必要がある
・一時的に売上が減少する可能性がある
現実的には痛みを伴わない変革というものは少ないと思いますので、変わることによる痛みをしっかりと洗い出すことで変革に乗り気ではないメンバーの声を吸い上げることができます。
次はBの領域です。Bは変わることによる喜びについて話し合います。もし、変革がうまく言った場合、どのような喜びが得られるのか?ということです。例えばこんな意見がでてくるでしょう。
・ブランド構築を行うことができる
3つめにCの領域です。Cは変わらないことによる痛みについてです。現状維持することによって生じる痛みについて話し合うことで危機感が醸成されます。
例えばこんな意見がでてくるでしょう。
・顧客数だけを追う営業スタイルにみんな疲れている
最後はDの領域です。Dは変わらないことによる喜びです。Cはわかっているがなかなかできないのが人間というものです。Dの領域もしっかりと話し合うことが、最終的に納得感をもって組織変革につながります。例えばこんな意見がでてくるでしょう。
・まだ新規顧客獲得の可能性はある
変革成功の方程式
船川氏によれば、PPMを実施したときにある数式を見れば変革が成功するか(変われるか)、失敗するか(変われないか)がわかるとのことです。それが以下です。
AとDの数の合計が、BとCの数の合計よりも多い場合は、変革によるデメリットの方が大きく、結局は変われない=失敗となるとのことです。ここではわかりやすく数と書きましたが、実際にはそれぞれの項目のインパクトも重要になってきます。
そこで、マトリックス作成後は、AをBに変える方法、DをCに変える方法について対話を進めます。つまり、以下のような状態に持っていくために何ができるか?ということを話し合います。
・変わることによる喜びを増やす
・変わらないことによる痛みを増やす
・変わらないことによる喜びを減らす
最終的には 「 A + D < B + C 」の状態にできるようになり、変革に対する納得感、推進力を高めることができればPPMとしてのゴールです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。合宿などのシーンで組織変革について話し合う場を作るときにはぜひ参考にしてみて下さい。
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