自律型人材を育成するための新入社員研修の設計
多くの企業では「自分で考えて動ける人材を育成したい」と考えていることでしょう。
ある会社が「新入社員における現在の課題」として156人の「人事・教育担当者」にアンケートを取った実際のデータでも6割近い方が課題に挙げていらっしゃいます。
参考URL:https://www.franklincovey.co.jp/training/case/images/333_01.png
自律型人材とは
「自分で考えて行動できる人材」のことを自律型人材を呼ぶことがあります。
「指示・命令待ち型」の社員ではなく、自らが考え、判断し、行動できる「自立型」の人材
Wikipediaより
では、「自律型人材をどのように育てていくべきか」ということですが、今回は新入社員研修の設計についてのヒントを書いておきたいと思います。
※残念ながら答えというものはまだ見当たりません。
Googleに載っている答えを教える研修になっていないか
そもそも、なぜ企業で「自律型人材」を求めていのるかと言えば、ビジネスの世界は時代の変化が早く、画一的な答えのない(すぐに変わる)世界だからではないでしょうか。
つまり、「ビジネスの答えはGoogleで調べても出てこない」というのがポイントです。
逆に言えば、今の新入社員は時代背景的にGoogleで検索すればほとんどの答えが出てくることを知っています。「聞いたら教えてくれる」が当たり前なのです。
もしかしたら、先輩社員や社内SNSなどに聞けば(調べれば)多くの正解、答えが返ってくると(悪意なしに)考えている新入社員もいるかもしれません。
しかし、先ほど書いたとおり、ビジネスの世界には正解はなく、自分で見つけ出さなければなりません。そこで「自分の頭で考える」が必要になります。
講義 > 試行錯誤 になっていないか?
一方、研修の設計はどうでしょうか。自律型人材を育成したいと言いながら、Googleで調べれば答えが載っていることばかり教えている研修になっていないでしょうか。
もしくは、既存の知識の伝達(≒講義)の時間比率が多くなっていないでしょうか。
試行錯誤する時間よりも講義の時間比率が多くなれば、ある意味では「答えは誰かが持っている」ということを印象づけることになります。
当然、講義型にしたほうが一斉に知識の伝達が行なえるため、研修としての効率(学んだことをテストしたら点数が高いか?)は上がります。
※カークパトリックモデルのレベル2の話になります。
しかし、重要なのはあくまで「現場で成果を上げられるか」なはずです。
従って、自律型人材を育成したいのであれば、研修としては非効率に見えるかもしれませんが、
である必要があると思うのです。
思うのです、とはこれが答えなのかどうか人材育成にも答えがありませんので、「仮説」という意味になります。
試行錯誤をどう設計するか
では、試行錯誤させるとは具体的にどんな研修を行ったらよいのか、ということになりますが、こちらもヒントを書いておきたいと思います。
2.グループディスカッションの実施
3.ビジネスシミュレーションの実施
1.ジグソーメソッドの導入
例えば、「仕事の進め方」を研修で教える際に、講義形式ではなく、Aチームは「優先順位の付け方」、Bチームは「報連相」、Cチームは「社内ITツールの使い方」といった様に役割を与え、テーマについて調べ、担当する分野についての講義を新入社員自身が行うという手法です。
もちろん、講義において重要な項目が漏れていれば後から講師が補足してあげる必要があります。
この方法は時間は掛かりますが、自分で調べ、どこがそのテーマのポイントなのかを考え、他の社員に教えるという行動を取ることで深い学びを得ることができます。
2.グループディスカッションの実施
こちらは既に実施されている企業も多いと思いますが、正解の無い、もしくは正解へたどり着くのが困難な問題についてグループでディスカッションを行う方法です。
具体的に有名なグループディスカッションとして「NASAゲーム」が挙げれられます。NASAゲームでは「月で遭難した」という設定で15個のアイテムの優先順位を個人、及び、チームでつけていくというゲームです。
個人として仮説を立て、チームでのディスカッションではお互いの仮説がぶつかります。その中でチームとしてのコンセンサス(合意形成)を行うことが目的です。
正解の無い、たどり着きづらい問題に遭遇した時にどのように考えることができるかが自律型人材にはとても重要です。
3.ビジネスシミュレーションの実施
ビジネスシミュレーションはグループディスカッションよりもより現実の仕事に近い想定で行われるワークです。
グループディスカッションは短時間で、多くの準備を必要としませんが、あくまでケースによるディスカッションであり、現場感を感じることができません。
ビジネスシミュレーションは仕事の要素を抽出したゲーム型のワークで、例えば、弊社が提供しているペーパータワーforビジネスというビジネスシミュレーションゲームはA4の紙だけできるだけタワーを建てるというゲームです。
タワーの高さが会社の売上、使った紙の枚数が原価として、仕入れや品質管理などを考えさせられるゲームです。
勝利の方程式がわからない中で、仮説を立て、チームで行動する必要があります。
「自分の頭で考え、行動する」と書くと1人で実施するイメージを持ちますが、現実の仕事では複数人で行うことが多く、ビジネスシミュレーションではそれが体験可能です。
また、ゲームを複数回実施することでPDCAサイクルを回しながら仮説をブラッシュアップしていくことで、試行錯誤を行うことができます。
まとめ
いかがでしょうか。
自律型人材を育成するためには 試行錯誤 > 講義 の経験のデザインが必要です。
具体的に試行錯誤をデザインするには以下の3つが考えられます。
2.グループディスカッションの実施
3.ビジネスシミュレーションの実施
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