新入社員研修などの社内研修を企画する担当者の方は研修全体の企画・設計はもちろん、1つ1つの研修コンテンツをどのように設計していけばよいか悩むのではないでしょうか。
 
具体的に新入社員研修で言えば、3時間のビジネスマナー研修をどのように設計していくべきか、ということになります。
 
講義があって、実践があって、振り返りとフィードバックがあって・・・となんとなく流れはわかっていると思いますが、今回はもう少し理論的に研修設計について書いていきたいと思います。

ガニエの9教授事象

フロリダ州立大学名誉教授のロバート・M・ガニェ博士(Robert M. Gagne)が授業の構成を9種類の働きかけに分けたモデルです。
※ガニェよりもガニエの方が名が通っているようですのでガニエで記述します。
 
早速その9つをご紹介します。
 

1.学習者の注意を喚起する
2.学習者に目標を知らせる
3.前提条件を思い出させる
4.新しい事項を提示する
5.学習の指針を与える 学習活動
6.練習の機会をつくる
7.フィードバックを与える
8.学習の成果を評価する
9.保持と転移を高める

なんとなくわかるものもあれば、?となるものもあるでしょう。
1つ1つの意味はあとで解説するとして、研修設計で利用しやすいように「導入 ⇒ 講義 ⇒ 実践 ⇒ 評価 ⇒ 定着」にグルーピングしてみたいと思います。
 

導入
1.学習者の注意を喚起する
2.学習者に目標を知らせる
3.前提条件を思い出させる
 
講義
4.新しい事項を提示する
5.学習の指針を与える
 
実践
6.練習の機会をつくる
 
評価
7.フィードバックを与える
8.学習の成果を評価する
 
定着
9.保持と転移を高める

導入

実際の講義に入って行く前に導入を行うと思いますが、以下の3つのポイントに気をつけましょう。

1.学習者の注意を喚起する

簡単に書けば、学習者が研修に入り込めるようにしてあげることと言えるでしょう。
 
多くの研修で実施している注意喚起の例としては「問いかけ」や「ミニクイズ」が挙げられます。
問いが投げられることで頭が自然と「考えるモード」に切り替わっていきます。
 
他にも研修会場の設営方法を一般的な研修とは違う設計(机が無いなど)にしたり、実施するコンテンツとしてゲームを用いるなどの方法でも注意喚起が可能です。

2.学習者に目標を知らせる

簡単に書けば、研修の目的や、研修後に獲得できるスキルを提示することとなります。いわゆるビフォーアフターです。
 
ただし、企業内の研修では、目的や獲得できるスキルの伝え方が学習者の現実にマッチしていないと興味を失ってしまう可能性があります。
 
かなり大げさな例ですが、管理職向けのコンプライアンス研修などで「コンプライアンスの基本を学ぶ」よりも「懲戒免職にならないためにやってはいけないことを学ぶ」と言われたほうが一層興味が湧くでしょう。(かなり大げさな例です)

3.前提条件を思い出させる

簡単に書けば、新しいことを学ぶための土台となる前提を共有することとなります。
 
複数回に渡る研修の場合は前回の研修のポイントをおさらいしたり、コンプライアンスの例で言えば「記憶に新しい」コンプライアンス違反の事件の実例を紹介するなどして、学習者の記憶を引き出し、前提条件を揃えることとなります。

講義

導入で学習者の興味を惹いたところで講義やワークに入っていきます。
以下の2つのポイントに気をつけましょう。

4.新しい事項を提示する

「新しい事項を提示する」とは、「新しいことを教える」だと思って下さい。
 
「教え方」についてはここでは書ききれないぐらい様々なポイントがありますが、ここではシンプルに、「新しく学んだこと」を使った「具体例」を示したり、実際にそれを使って「手本」を見せたりすることが挙げられます。

5.学習の指針を与える

簡単に書けば、「学習の指針」とは「重要なポイント」と言えます。
 
ここだけは抑えておきましょう、という重要ポイントや、こうなっていれば正解です、というチェックポイントを示すことで学習者の理解を支援します。
 
ある意味で、そのポイントさえ抑えておけば研修として伝えたい事の8割が伝わるというものを示しましょう。
 
個人的な経験としてはえてして、その重要ポイントと、面白かった実例しか覚えていないものです。

実践

6.練習の機会をつくる

これは説明不要かと思いますが、教えたことを使って練習問題を解いたり、ケースを用いて、学んだことを使ってみるというプロセスになります。
 
ビジネスマナー研修で行われる名刺の渡し方などで顕著ですが、頭では分かったが、実際にやってみるとできない、ということは多々あります。
 
短時間での反復訓練ののち、本番、というような流れで設計するのが良いでしょう。

評価

実践した後には振り返りや、フィードバックといった評価を行っていきます。
以下の2つのポイントに気をつけましょう。

7.フィードバックを与える

これも説明不要かと思いますが、6の練習の様子を見てフィードバックを行います。
経験学習モデルの観点を取り入れて、まずは「自分自身で振り返り」をさせることが重要です。
 
日本人は「できなかった点」ばかりを発言しがちですので「良かった点」を伝えたうえで、「こうすればもっと良くなる点」を伝えましょう。
 
また、ここで5で示した「学習の指針」を再度伝えることで重要なポイントを確認させておくことも重要になります。

8.学習の成果を評価する

「学習の成果を評価する」方法はいくつか考えられます。
 

8-1.総合演習をさせる
8-2.理解度テストを行う
8-3.満足度や理解度などのアンケートを取る
8-4.学んだことを発表させる

もちろんすべてを実施しても構いません。
重要なのは2の「学習者に目標を知らせる 」で伝えた目標やビフォーアフターが実現されているかどうかです。

定着

研修には「やりっぱなしで定着しない」「現場で活かされていない」という批判がつきまといます。

9.保持と転移を高める

簡単に書けば「保持」とは研修で学んだことを「覚えているか」ということ、「転移」とは「現場で使えているか」ということです。
 
「覚えているか」を確認するためにe-learningなどでテストを行う企業さんもあります。
 
また、フォローアップ研修を実施し、「現場で使えているか」を確認したり、成果を挙げた事例を共有したり、実践するときに障害となるものを報告したりと「学びを成果に結びつける」ための取り組みをすることも重要です。

まとめ

いかがでしょうか。研修を設計する際に「ガニエの9教授事象モデル」を参考にしていただければ幸いです。

 

導入
1.学習者の注意を喚起する
2.学習者に目標を知らせる
3.前提条件を思い出させる
 
講義
4.新しい事項を提示する
5.学習の指針を与える
 
実践
6.練習の機会をつくる
 
評価
7.フィードバックを与える
8.学習の成果を評価する
 
定着
9.保持と転移を高める

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