ホールシステムアプローチというワードは2010年ごろからチラホラと聞くようになりました。

多くの方はホールシステムアプローチという言葉を直接知るというよりもワールドカフェや、AI(アプリシエイティブインクワイアリー)といったそれぞれの手法を本で読んだり、体験したりするなかで知ることになったのではないでしょうか。

そこでホールシステムアプローチをグーグルで調べてみてもいまいち「つかめない」というのが実際のところではないでしょうか。

ホールシステムアプローチとは何か?

それもそのはず、ホールシステムアプローチというのはワールドカフェのような具体的な対話の手法ではなくそれらを総称した上位概念といった抽象的なものだからです。

その名も「ホールシステム・アプローチ」という書籍にはこのように説明されています。

ホールシステム・アプローチとは、できるだけ多くの関係者が集まって自分たちの課題や目指したい未来などについて話し合う大規模な会話の手法の総称です。

ワールドカフェやAIが、りんご、みかん、だとすればホールシステムアプローチは「フルーツ」という上位概念ということになります。

それぞれの具体的な手法については別の記事で取り上げたいと思います。

なぜ「ホールシステムアプローチ」を良く聞くようになったのか?

では、なぜここ数年でホールシステムアプローチという言葉をよく聞くようになったのか?ということですが、ここでは2つの理由が考えられます。

1.ワールドカフェが広く実施されるようになった
2.みんなで考えることが重要になった

1.ワールドカフェが広く実施されるようになった

まずはなんといってもワールドカフェが流行ってきたということが挙げられます。

2010年ごろから地域活性化のイベントや個人主催のワークショップ、企業研修を中心にワールドカフェが実施され始めました。
ワールドカフェを体験した人がAIやOSTなどの他の手法も体験し、ホールシステムアプローチにたどり着いたと考えられます。(かく言う私もその1人です)

ちなみに、2010年頃からTwitter/FacebookをはじめとするSNSやスマートフォンが普及したことで個人がイベントや勉強会、ワークショップを実施しやすくなったことも間接的な要因として挙げられると思います。

2.みんなで考えることが重要になった

「みんなで考えることが重要になった」をもう少しまじめに書けば「ボトムアップ型のアプローチが求められるようになった」とも言えます。

つまり、トップ1人が考えるよりも、みんなで考えたほうが良いということです。
これは以下の2つの要素が影響していると考えられます。

a.多様性が高い社会になった
b.問題が複雑になった(社会の複雑性が高くなった)

いわゆるVUCAの時代ということになります。

a.多様性が高い社会になった

よく言われるように、社会が成熟したことによって欲しいものや見たい番組(動画)、生き方などが1人1人異なるものになってきました。

このような社会では1人で考えるよりもみんなで考えることで多様なニーズを把握し、これまで満たせなかった(あるいは市場が無かった)ニーズに答えることができます。

b.問題が複雑になった(社会の複雑性が高くなった)

技術の進歩や組織の拡大などの影響で、1つの問題を解決するための複雑性が増しています。(問題が難しくなっている)

例えば自動運転車を開発するには既存の車の技術に加えインターネットに関する技術や、画像認識に関する技術など、複数の分野の知識が必要となります。

1人では全ての知識を網羅できないことが多いので、関連する複数人で話し合って問題を解決する必要があります。

このように1人では考えきれない多様で、複雑な社会で生き残るためにみんなで知恵を出し合う必要があるのです。
そこでホールシステムアプローチという手法が求められていると考えられます。

まとめ

ホールシステムアプローチとは「大規模な会話の手法の総称」である。

ホールシステムアプローチが求められいる背景として「多様で複雑な社会の問題を解決するためにはみんなで知恵を出し合う必要がある」からである。


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