2016年9月23日

「学力の経済学」は社会人に適応できるのか?「ご褒美」の効用

タグ: ご褒美, フィードバック, 学力の経済学, 未来工業,

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教育経済学者の中室牧子さんの著書 「学力の経済学」 を読んでいます。
 

 
この本は、基本的に「子供の育て方」、特に学力を上げることにフォーカスして書いてある
本ですが、本書の内容が社会人に適応できるのか?という視点でも読んでいました。
 
この本の面白いところは、教育に対する風説に対して、科学的な根拠に基いて
書かれているところでもあります。
 
例えば、「少人数学級は本当に効果的なのか?」などを実際の実験結果を用いて
分析している点です。
 
このようなエビデンスを用いた分析は、学校教育同様、企業研修も弱い部分ではあります。

子供を「ご褒美」で釣ってはいけないのか?

さて、今回はこの本の第2章に記載されている「子供を「ご褒美」で釣ってはいけないのか?」
という部分に注目したいと思います。
 
本の中でこのような実験について記述があります。(一部、改変)

A:テストで良い点を取ればご褒美をあげます
B:本を1冊読んだらご褒美をあげます

 
ハーバード大学のフライヤー教授はご褒美の因果関係を明らかにする
実験を行いました。
 
Aはアウトプットに対するご褒美、Bはインプットに対するご褒美となります。
直感的には、アウトプットにご褒美を与えるほうがうまくいきそうに思えます。
 
しかし、結果は逆でした。
学力テストの結果がよくなったのは、インプットにご褒美を与えられた
子どもたちだったのです。
 
一方で、アウトプットにご褒美を与えられた子どもたちの学力は、意外にも
まったく改善しませんでした。

 
また、中室氏は別の雑誌でこのように説明しています。
 

ご褒美のタイプ:1時間勉強したら(インプット) ✕ タイミング:すぐにお小遣い 
= とても効果的
 
ご褒美のタイプ:テストで80点取ったら(アウトプット) ✕ タイミング:誕生日にお小遣い
= 効果的

 
つまり、インプット(またはプロセス)に対しては即時のご褒美(またはフィードバック)が、
アウトプットに対しては中長期的なフィードバックが効果的というのです。

社会人における即時フィードバックとは

これは社会人にも適応できるのでしょうか?
 
さすがに、本を1冊読んだら報奨を出すというのはできないでしょうが、
仕事のアウトプットではなく、プロセスに対して、報奨を含めたフィードバックを与える
ということは検討の余地がありそうです。
 
企業では、仕事の成果(アウトプット)に対しては「評価」の中で給与が上がったり
昇進したりと、半年や1年に1回の中長期的なご褒美(フィードバック)は用意されています。
 
しかし、プロセスに対する即時フィードバックに関しては、うまく設計されていない企業が
多いのではないでしょうか?
 
ポケモンGOをはじめ、ソーシャルゲームがこれだけ普及するのには、即時フィードバックの仕組みが
うまく取り入れてられている
のかもしれません。
 
現在、部下を「上手に褒める」ための研修なども多く行われていますが、
これは1つの即時フィードバックのやり方と言えるでしょう。

未来工業に学ぶご褒美のやり方


 
未来工業という企業をご存知でしょうか。この企業の山田相談役の著書を
読んだことがある方はご存知かと思いますが、この企業の制度の1つに即時フィードバック
うまく取り入れている施策があります。
 
それは「業務改善の提案」を提出すれば、その中身は問わず、1つにつき500円がもらえる
詳しくはこちらをご覧ください。
 
未来工業
「反常識」経営でシェア80% ホウ・レン・ソウ禁止で自律促す

 
ポイントは中身を問わずという部分と、500円という金銭で
ご褒美がもらえるということです。(支払いは給与に加算)
 
成果がでるかどうかもわからないアイデア(プロセス)に対して即時フィードバック(出せばもらえる)
という設計が行われることによって、毎年多くのアイデアが集まるようです。
また、これが原因かはわかりませんが、業績好調、日本一社員が幸せな会社とされています。

まとめ

今回は、子育てにおけるご褒美の実験から、社会人における、フィードバックの設計について
考えてみました。
 
今回ご紹介した未来工業の例の他にも、サンクスカードなどの導入によって
金銭ではない即時フィードバックを実現する方法も考えられます。


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