このままではいけない、今は問題になっていないが将来的には大きな問題が発生する、といった組織変革の重要性に気づいている方は多いのではないでしょうか。

しかし、組織変革なんてやったことがないし、どうやればいいかそのプロセスを教えてもらったことのある人はほとんどいないと思います。

そこで、今回は、ハーバード大学ビジネススクールの名誉教授で、変革のマネジメントとリーダーシップについての世界的権威であるジョン・コッター組織変革の8段階のプロセスを紹介したいと思います。

コッターの組織変革8段階プロセス

コッター 組織変革 プロセス

それぞれを少し詳しく見ていきましょう。

1.危機意識を高める

コッターによれば組織変革のプロセスのうち、一番最初に行うべきは危機意識を高めることとされています。

一般的に組織変革と言えば3のビジョンを定義(再定義)が思い浮かびますが、その前提として危機感が共有されていないとなぜそんなことをやるのかわからないまま、組織変革が進み、従業員の協力が得られず頓挫していまうという自体に陥ります。

そこで、3C分析などで言われる自社・競合・市場の観点から客観的な情報を伴って危機感を共有することが重要となります。

2.変革推進のための推進チームをつくる

次に、コッターは組織変革のための推進チームをつくることを挙げています。

コアチームなどと言われることがありますが、一気に全社員に対して組織変革を行うのではなく、推進力を持ったコアチームを中心として変革を進めていくことが重要です。

カルロス・ゴーン氏が日産の組織変革を行った際はクロス・ファンクショナル・チームと呼ばれる全社的な課題解決のために全社横断的に選抜されたメンバーで構成されるチームを作ったとされています。

3.ビジョンを定義する

次にビジョンの定義(再定義)です。組織変革のプロセスと言った時に多くの人が思い描くのはビジョンの明確化ではないでしょうか。

ちなみに、コッターはビジョンを以下のように定義しています。

将来のあるべき姿を示すもので、なぜ人材がそのような将来を築くことに努力すべきなのかを明確に、あるいは暗示的に説明したもの

また、良いビジョンとは以下の6つの要素を満たすものとしています。

1.読み手が想像しやすく(imaginable)
2.明確な方向を示し(focused)
3.実現可能(feasible)なもの
4.組織の様々な利害関係者の期待に応えるもの(desirable)
5.柔軟で(flexible)
6.容易にコミュニケートできる(communicable)
出典:http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2016pdf/20161201003.pdf

4.従業員にビジョンを周知徹底する

続いて、従業員にビジョンを周知徹底するプロセスとなります。簡単そうにみえて難しいプロセスがこれではないか?と思います。

重要なのは、リーダーから直接ビジョンを伝えること、繰り返し何度でも伝えること、口だけでなく行動で示すこと、評価制度がビジョンと連動していることだと思います。

5.従業員に権限を与え、ビジョンの実現を推進する

ここからはコアチームではない従業員がビジョンに従って行動できるように支援していくプロセスです。

この際、コアチームは障害となる要素を取り除いてあげることが重要です。それは決裁権限や承認フローなどの業務プロセスかもしれないし、部門の壁などの組織構造かもしれないし、変革に反対する人の抵抗かもしれません。

このような障害があることを報告できる機関、プロセスを整備し、できるだけ早期に対応できる権限をコアチームが持っていることも重要となります。

6.短期的成果を上げるための計画を立て、実行する

組織変革というのは成果が判断できるまでに数年の月日を要するものです。特に最初の1年目は社内に混乱を招き、仕事のやりづらさを感じる社員も多いでしょう。中には退職していく社員も出てくるはずです。

つまり、短期的な成果が目に見える形で現れないと従業員はこの組織変革が正しかったのかどうか不安になってくるのです。そこで、ここでは短期的成果を上げるための計画を立て、実行するのが重要となります。

短期間で、組織変革が成果をだしていることを社員が納得し、自信につながるような計画を立てていくことが重要となります。

7.短期的な成果を活かして、さらなる変革を推進する

いよいよ終盤です。短期的な成果を活かして、さらなる変革を推進するでは先程計画した短期間での成果を社内にアピールすることで社員が自信やこの方向で間違っていないという確信を持つことが重要です。

その為には、成果を出した人を表彰するなどの社内アピールも必要となります。同時に、成果を出した人の評価・給与があがるように評価制度
整備していくことが重要となります。

また、成功事例がでてくることで、変革行動を取る人が増えてくるようになれば、さらに障害となる要素を取り除いてあげることが重要となっていきます。

8.変革を根付かせる

最後は、変革を根付かせるということで、変革行動を取った人が昇進するなど、変革を行うことが評価される文化を作っていくことが重要となります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。このように全てがプロセスどおりにうまく可能性は低いと思いますが、それでも組織変革ではどのようなことが起こるのかを予め知っておくことで対処できることもあるでしょう。


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