研修における休憩の効果(経験学習モデルより)
研修の講師を行っていると「休憩」をいつ、どのぐらいの頻度で、何分とるべき
なのか、ということを考えさせられます。
教育工学の理論でID(インストラクショナルデザイン)の本などを読んでも
休憩に関する記述はほとんど見受けられません。
ちなみに、IDとは
教育担当者がどのような手順を踏んで研修や授業を実施すべきかを体系的に規定しているもの。
しかし、講師という立場で研修を実視すると休憩の重要性を感じることがあります。
弊社が提供する研修には大きく2つのパターンがありますが、それぞれのパターンに
おいて休憩の果たす役割について書くと以下のようになります。
1.座学型の研修の場合
座学型の研修の場合、大きく2つの意味で休憩が役に立ります。
1-1.単元の切り替え
学習する単元が変わる場合、受講者の頭の中を切り替えるための
休憩を取ることが効果的です。
弊社の場合、休憩時間後に前の単元の質問を募集することが多いです。
1-2.課題の実施時間の調整
課題を行う研修の場合、個人やグループによって進捗が異なる場合があります。
このような場合、休憩時間を利用することによって課題への取り組み時間を調整
することができます。
2.体験型の研修の場合
体験型の研修の場合、省察・内省を促すために休憩を用いることがあります。
省察・内省とはコルブによる経験学習モデルに登場する概念です。
コルブによる経験学習モデルとは
経験学習モデルは1984年に組織行動学者のコルブ(Kolb)が提唱したモデルです。
以下の様な図で表され、以下の様な4つのステップで学習するとされています。
2.その内容を振り返ることで(例:振り返り、反省の実施)
3.そこから得られた教訓を抽象的な仮説や概念、マイセオリーに落としこみ
(例:マニュアル作成、読書の実施)
4.それを新たな状況に適用する(実践で実行してみる)
弊社のゲームを用いた研修の場合、ゲームの実施後、ただちに10分ほどの休憩を取ります。
以前はすぐにワークシートを配布し、振り返りを行っていたのが、
休憩を取ることで自発的にチームメンバーで振り返りを行うようになりました。
モチベーション理論でいう内発的動機づけによる振り返りのほうが
学習効果が高いと判断しているからです。(理論的な検証が必要です)
休憩時間で自発的な内省をしたのち、ワークシートによる言語化を促すことが
概念化の促進に貢献していると考えています。
まとめ
研修の休憩には以下の様な効果が考えられます。
1-1.単元の切り替え
受講者の頭を切り替える効果がある。
1-2.課題の実施時間の調整
受講者ごとの進捗の差を埋める効果がある。
2.体験型の研修の場合
自発的な内省を促す効果がある。