チームキャンバスを使ったチームビルディング〜その2〜
今回も、チームビルディングのワークショップや研修で使えるチームキャンバスについてご紹介したいと思います。
前回はチームキャンバスの中でも特にチームキャンバス ベーシックについて紹介しました。こちらを読んでいない方はまずはこちらをご覧頂ければと思います。
チームキャンバスを使ったチームビルディング〜その1〜
今回は完全版の?チームキャンバスについてより詳しく紹介したいと思います。
画像参照:http://theteamcanvas.com/learn/
上は完全版のチームキャンバスのフォーマットを使った記入サンプルです。
ベーシックの枠が5個なのに対して、完全版の方は枠が9個になっており、記入する項目数が多いことがわかります。また、実施時間も90分-120分が推奨されています。
まず、用意するのはベーシックと同じで以下のものです。(リアルでの実施の場合)
・色んな色の付箋
・ペン
・タイマー
オンラインの場合はMiroなどのブレインストーミングツールを使うと良いでしょう。
進め方ですが、まずは自分の答えを付箋に書いて貼り付け、その後、チームで話し合うことが推奨されています。コンセンサスゲームを実施するとき同様、まずは自分の意見を出して、最後にみんなで話し合うことで、他の人、特に声の大きな人の意見に左右されづらいという効果があります。
また、いくつかの項目についてはチーム全員が合意する必要があります。それが下記です。
2. Goals
4. Purpose
5. Values
9. Rules and culture
逆に言えば、これ以外の項目は特に合意する必要はありませんとのことです。
まずは、9つある枠のうちの1つ目としてPEOPLE&ROLES(人物と役割)の枠です。所要時間は5分程度です。
付箋に自分の名前と役割を書いてもらい、貼っていきます。複数の役割を持っている人は、別々の付箋を使います。
ファシリテーターからの問いかけ例は以下の通りです。
私たちのチーム名は?
ちなみに、上画像で紹介したフォーマットのバージョンは0.8となっており(画像の右上参照)、現在はバージョン1.0(下)が公開されています。
0.8と比べるとよりシンプルになった印象です。右下の WEAKNESSES & RISKS が WEAKNESSES & DEVELOPMENT AREASされていたり、いくつか変更点があります。PDFのダウンロードはこちらから。
http://theteamcanvas.com/
2つめのGOALS(ゴール)の枠では、チームメンバーにチーム共通の目標に同意してもらうことはもちろん、このプロジェクトでの個人的な目標についても言及してもらいましょう。
少し硬くなりますが、ファシリテーターは以下のような問いかけをすることが推奨されています。
実現可能で、測定可能で、期限付きの重要な目標は何か?
ちなみに、GOALSの枠の記入は10分程度とされています。
3つめのPERSONAL GOALS(個人的な目標)の枠では、このプロジェクトでの個人的な目標についても言及してもらいましょう。ベーシックでは個人の目標とチームの目標が1つの枠でしたが完全版では分けられています。
少し硬くなりますが、ファシリテーターは以下のような問いかけをすることが推奨されています。
所要時間は5分程度とされています。
4つ目はPurpose(目的、存在意義)の枠です。10分程度を推奨されています。
ここでは、GOALSで話し合った共通の目標から一歩進んで、「なぜそうするのか」を話し合ってみましょう。
ファシリテーターからの問いかけ例は以下の通りです。
私たちが共通の目標を追求するための、より重要な何かとは?
回答の例としては以下のようなものを想定しています。
人々の生活をより快適でストレスのないものにする
5つ目がValues(価値感)の枠です。所要時間は10分程度で、チーム内で共有したいコア・バリュー(最も重要な価値観)を話し合います。
ファシリテーターからの問いかけ例は以下の通りです。
チームの核にしたい共有の価値観は?
回答の例としては、相互理解、創造性、品質、などですが、ちょっと崇高すぎる気もするので「残業しない」というものでも良いと思います。
6つ目がStrengths & Assets(強みと資産)の枠です。ベーシックにはなかった項目で、所要時間は15分程度です。
チーム内にある重要なスキル(ハードスキルとソフトスキルの両方)や資産を共有を話し合います。
ファシリテーターからの問いかけ例は以下の通りです。
個人として、チームとして得意なことは何か?
ここで、武道やマラソンという仕事に関係なさそうな発言が出てきても否定しないようにしてください。ここでは自分自身のことを話したり、チームメイトに見られる重要な資質を書き留めたりするように促してください。
7つ目がWeaknesses & Development Areas(弱みと開発可能エリア)の枠です。これもベーシックにはなかった項目で、所要時間は15分程度です。
自分自身の主な弱点やチームとして直面している障害、改善点を話し合います。
ファシリテーターからの問いかけ例は以下の通りです。
私たちが直面する可能性のある障害は何か?
ここでの注意点として、他人の弱点を議論するのではなく、自分で見つけたものを報告するようにしてください。
8つ目がNeeds & Expectations(ニーズと期待値)の枠です。これもベーシックにはなかった項目で、所要時間は10分程度です。
チームメンバーが自分の強みと弱みを表現した後、強みを増幅し、弱みを補うために自分が持っているニーズ(要望や助け)を話し合いましょう。
ファシリテーターからの問いかけ例は以下の通りです。
それぞれのメンバーが必要としているものを、チームはどのようにして助けることができるか?
なんて書いたらいいかちょっとわかりづらいと思いますが、回答例としては以下のような形です。
・毎週の状況報告をより明確に
最後の枠がRULES & ACTION POINTS(ルールと活動ポイント)です。ちなみに、Version0.8ではRules & Activities とされていました。所要時間は10分間です。
ここではチームでの具体的なルールについて話し合います。
ファシリテーターからの問いかけ例は以下の通りです。
どうやってコミュニケーションをとり、全員に最新の情報を伝えるのか?
どうやって意思決定するのか?
どうやって実行し、評価するのか?
例えば、ツールとして、Slackを使う、MTGは毎日朝10時からなど、具体的なルールを決めていきます。
これですべての枠が埋まったと思います。
この話し合いの最後に、チームメンバーにワークショップで得た気づきを一つだけ話してもらうことが推奨されています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。なお、ここまでの説明は下記サイトを翻訳してご紹介しています。
ただし、ダウンロードできるフォーマットがVersion1.0であるのに対して、説明はVersion0.8をベースにしているので適宜読み替えていくことが必要です。
http://theteamcanvas.com/use/
関連書籍としては「ビジネスモデル for Teams 組織のためのビジネスモデル設計書」があるのですが、書籍内ではチームキャンバスについては触れていませんのでご注意下さい。