働きやすい職場環境作りの5つのポイント

働き方の柔軟化が経営課題として定着し、テレワークやフレックスタイム制を導入する企業も一般的になりました。その一方で、勤務形態を変えただけでは、思ったほど従業員の働きやすさにつながらないというケースも少なくありません。
そこで参考になるのが、DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー22年3月号「働きやすさのマネジメント」に掲載された論文「勤務形態を変えるだけでは不十分 フレキシブルワークで企業と従業員の相互利益を実現する方法」(エレン・アーンスト・コセック/パトリシア・ゲティングス/カウムディ・ミスラ著/P.26-40)です。

少し古い調査ではありますが、株式会社スタッフサービス・ホールディングスの「テレワーク」についての意識調査によれば、若手を中心にテレワークへの賛成が多くなっており、働く場所の柔軟性は従業員側のニーズとしても明確に存在しています。

画像引用:「テレワーク」についての意識調査 スタッフサービス調べ
https://www.staffservice.co.jp/nt-files/nr_210819.pdf
しかし論文は、テレワーク以外にも働きやすい職場環境作りには5つの要素があると指摘しています。
働きやすい職場環境を考える5つの要素

論文で提示されている5つの要素は以下のとおりです。
| 要素 | 内容 | 代表的な制度・運用 |
|---|---|---|
| 1. スケジュール | いつ働くか | フレックスタイム制/コアタイムの設計 |
| 2. 場所 | どこで働くか | リモートワーク/オフィス/サテライト |
| 3. 継続性 | ライフステージに応じた働き方の継続 | 育休・介護休暇・休職からの復帰支援 |
| 4. 作業負荷 | どれだけ働くか | 時短勤務/業務量の調整/役割分担 |
| 5. 勤務形態 | どのような契約・形態で働くか | 正社員/契約社員/業務委託/副業可否 |
リモートワークに関連するのは「2. 場所」と「5. 勤務形態」の2つで、リモートワークができるか、その比率を従業員自身がある程度選べるかという視点です。これに加えて、スケジュール・継続性・作業負荷の3要素を整えることで、はじめて「働きやすさ」が立体的に設計できます。
例えば、「テレワーク可だが業務量が増え続けている」「フレックスタイム制があるがコアタイム前後に会議が集中する」といった状況は、5要素のうち1つだけを変えてしまったケースです。論文では、各要素について従業員のメリットと雇用主のメリットを両立させる設計こそが、フレキシブルワークの本質だと述べられています。
実現が難しい項目もありますが、その前提として、個人と企業の双方が成果を出すことが必要となります。論文本文には、各要素ごとの従業員・雇用主それぞれのメリットが図表で詳しく整理されているので、人事制度の見直しを検討している方は本誌に当たることをおすすめします。
なお、過去にも働きやすい職場環境作りのテーマとして25項目による職場環境の診断チェックリストを紹介しています。あわせてご覧ください。
働き方の価値観を可視化する「ワークスタイルトランプ」
5要素を制度設計に落とし込む際に欠かせないのが、従業員一人ひとりが「働き方」や「価値観」について何を大切にしているかを可視化することです。制度を整えても、現場の従業員の優先順位とずれていれば狙った効果は得られません。
弊社が提供するワークスタイルトランプは、働き方・価値観に関するキーワードが書かれたカードを使い、自分が大切にしているキーワードを選んでグループ内で共有するワークショップ型のツールです。

トランプというカジュアルな形式のため、「価値観について話しましょう」と切り出すよりも自然に深い対話に入れます。内定式・新入社員研修・チームビルディング・マネジャーと部下の1on1準備など、相互理解を深めたい場面で幅広く活用されています。働きやすさを設計する側(人事・経営)だけでなく、従業員側の価値観を引き出すツールとしても有効です。
2025年10月現在、ワークスタイルトランプ(カード版)の導入社数は約190社、受講者満足度は4.59(5点満点)となっております。

最新の満足度についてはゲーム一覧ページからご覧いただけます。
実施の流れはこちらの解説記事をご覧ください。
相互理解を促すためのワークショップ向けツール「ワークスタイルトランプ」
オンライン環境で実施したい場合は、姉妹製品のワークスタイルトランプ・クラウドをご利用いただけます。リモートワーク主体の組織でも価値観の共有ワークを実施可能です。

2026年1月現在、ワークスタイルトランプ・クラウドの導入社数は約110社、受講者満足度は4.95(5点満点)となっております。
関連書籍
5要素フレームワークの原著論文が掲載されている特集号を以下にご紹介します。
まとめ
働きやすい職場環境は「リモートワーク可否」のような1要素では決まらず、スケジュール・場所・継続性・作業負荷・勤務形態の5要素を組み合わせて設計するものだ、というのが論文の核心です。今後、高齢化・人口減少で従業員の確保が難しくなっていくことが予想されるなか、5要素のフレームワークで自社の制度を整理しなおしてみると、改善の余地が見えてくるはずです。

