人的資本経営の事例に学ぶ「成長実感」のつくり方|カルビー有価証券報告書2026を読み解く

カルビーは「キャリア自律」を課題としつつ、心理的安全性や相互信頼を高める施策を展開しています。
成長実感の醸成には、サーベイでの定点観測、プロセス評価の導入、そして体験型ゲーム研修のような「成長を体感する場」を意図的に設計することが有効です。
目次
1. 人的資本経営とは?なぜ「成長実感」が焦点になるのか
2. カルビーの人的資本経営|有価証券報告書2026の開示内容
3. カルビー事例から読み解く「成長実感」づくりの3ステップ
4. 研修で「成長実感」の起点をつくる——体験型ゲーム研修という選択肢
5. 心理的安全性を体感して学ぶ「ベストチーム」
6. 価値観の違いからキャリア自律を考える「ワークスタイルトランプ」
7. まとめ|開示情報は「学びの宝庫」
8. よくある質問
9. 研修導入をご検討の方へ
「エンゲージメントサーベイを導入したものの、スコアが伸び悩んでいる」
「若手から『この会社にいて成長できるのか』という声が聞こえてくる」
「人的資本の開示が求められているが、他社が実際に何をしているのか知りたい」
研修担当者の方から、このようなお悩みを伺うことが増えました。研修企画の出発点として、他社が何を測り、どう手を打っているのかを知りたいというご相談です。
2023年3月期から、上場企業には有価証券報告書での人的資本の開示が義務づけられました(金融庁「企業内容等の開示に関する内閣府令」改正による)。各社の有価証券報告書は、いまや他社の人事施策とその実績値を一次情報で学べる「教科書」になっています。
本記事では、カルビー株式会社の有価証券報告書(2026年6月提出)の人的資本開示を読み解き、多くの企業に共通する課題である「成長実感」のつくり方を考えます。
人的資本経営とは?なぜ「成長実感」が焦点になるのか
人的資本経営とは、人材を「コスト」ではなく「資本」と捉え、その価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です。
ポイントは、教育研修費や施策の量ではなく、「社員が実際に成長を実感し、力を発揮できているか」という状態(アウトカム)を測ることに重心が移っていることです。
だからこそ多くの企業がサーベイで「成長実感」や「エンゲージメント」を測定し始めています。しかし、測るだけではスコアは上がりません。では、先進企業は何をしているのでしょうか。
カルビーの人的資本経営|有価証券報告書2026の開示内容
カルビーは有価証券報告書の中で、人財ビジョン「全員活躍」を掲げています。「多様な人財が強みを活かし、貢献と自身の成長を通して幸せと誇りを感じる」状態を目指すもので、人財育成の方針として次の3つを挙げています。
・社員の成長とキャリア自律の支援
・お互いに成長しあえる心理的安全な組織風土づくり
注目すべきは、これらを「人的資本インデックス(全員活躍指数)」という独自KPIで定量管理している点です。2019年3月期から続くメンバーシップサーベイ(成長機会/貢献動機づけ/信頼/貢献意欲/勤続意思/働く誇りのコア6項目)をベースに、社員を2つのタイプに分けて算出しているのが特徴です。
人的資本インデックスの実績|79.90から80.67へ
カルビーは社員を「α人財(地道な努力、工夫・改善を重ね、未来に引き継いでいく人財)」と「β人財(既存の枠にとらわれず、未来を切り開いていく人財)」の2タイプに分けています。それぞれの活躍実感スコア(全員活躍状態・キャリア自律・心理的安全性の合算)を足し、両者が尊重し協働できているかを示す相互信頼スコアを掛け合わせたものが、人的資本インデックスです。
| 構成要素 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|
| α人財の活躍実感 | 10.06 | 10.24 | 10.30 |
| β人財の活躍実感 | 11.79 | 11.71 | 11.74 |
| 相互信頼スコア | 3.58 | 3.64 | 3.66 |
| 人的資本インデックス | 78.22 | 79.90 | 80.67 |
出典: カルビー株式会社 有価証券報告書(2026年6月19日提出) p.19
指数は79.90から80.67へ上昇し(2期前は78.22)、及第点である73.50を上回っています。目標値は81.28です。この目標は「サーベイの回答で3.5以上をポジティブとみなし、まだ3.5に届いていないスコアをすべて3.5まで引き上げた場合の値」として設定されており、2031年3月期までの到達を目指すとされています。自社でKPIの目標値をどう置くかで悩む企業にとって、この決め方は参考になるはずです。
ここで見落とせないのが、上昇の主役は今期も「相互信頼」だったという点です。開示値から本記事で試算すると、2026年3月期の伸び幅0.77のうち、掛け算の係数である相互信頼の改善(3.64→3.66)による寄与が約0.44と6割弱を占めます。活躍実感の合計は21.95から22.04へと2期ぶりに増加へ転じたものの、伸びはまだ小幅です。
つまり個々人の成長実感はようやく上向き始めたばかりで、指数を支えているのは「お互いを尊重し協働できている感覚」の方という構図です。次に見るKPIの内訳は、この実情をさらに裏づけます。
KPIの実績値|唯一の未達項目は「キャリア自律」
有価証券報告書に開示されている主なKPIの実績は以下の通りです。
| 指標 | 2026年3月期実績 | 目標 |
|---|---|---|
| 心理的安全性 | 3.56 | 3.50(達成) |
| 全員活躍状態 | 3.70 | 3.50(達成) |
| キャリア自律 | 3.25 | 3.50(未達) |
| 女性管理職比率 | 26.4% | 30%超(2031年3月期) |
出典: カルビー株式会社 有価証券報告書(2026年6月19日提出) p.19・23
心理的安全性と全員活躍は目標を達成している一方、「キャリア自律」だけが3.25と唯一の未達になっています。
選択型育成プログラムに目標の1,000人を上回る1,392人が参加し、DXアカデミーののべ受講者は2,309人、経営陣との車座ミーティングを41回・約2,026人規模で実施している(いずれも2026年3月期実績、同有価証券報告書より)——これだけの施策を打つ企業でも、「自分のキャリアは自分でつくれている」という実感の醸成が最難関なのです。
評価制度も「結果のみ」から「成長プロセス重視」へ
カルビーは同報告書の中で、評価制度の改定にも触れています。従来の制度は結果のみを重視しており、プロセスやチームワークへの貢献を促しにくかったため、社員の成長と多様な貢献を促す制度へと改定した、という趣旨の記載です。2026年3月期には人事ポリシーと新人事制度の策定まで進んでいます。
結果だけを見る評価は「できたか/できなかったか」の二択になりがちで、成長の途中経過が可視化されません。成長実感を高めたい企業がまず見直すべきは、実はサーベイよりも「何を評価しているか」なのかもしれません。
カルビー事例から読み解く「成長実感」づくりの3ステップ
有価証券報告書の開示から、自社規模に関わらず再現できる要素を3つに整理します。
ステップ1: 成長実感を「測る」——小さく始めるサーベイ
カルビーのサーベイは2019年3月期から7年以上継続されています。大規模なツールを導入しなくても、「この半年で成長を実感できたか」「学んだことを仕事で活かせたか」など数問を四半期ごとに聞くだけでも、変化の兆しはつかめます。重要なのは項目を変えずに定点観測することです。
ステップ2: 成長の「プロセス」を評価に組み込む
結果のみの評価から、挑戦や学習行動そのものを認める評価へ。カルビーの制度改定はこの方向です。「できるようになったこと」を段階で見える化し、上司との1on1で確認する仕組みは、中小企業でも運用できます。
ステップ3: 成長を「体感する場」を意図的につくる
サーベイと制度は土台ですが、社員が「できなかったことができるようになった」と感じる瞬間は、日常業務の中では意外と訪れません。カルビーが車座ミーティングのような対話の場を年41回・約2,000人規模で重ねているように、成長や相互理解を凝縮して体感できる「場」を意図的に設計することが3つ目の要素です。
ゲーム研修の選び方はエンゲージメント向上につながるゲーム研修3選|効果がある理由と選び方で詳しく解説しています。
研修で「成長実感」の起点をつくる——体験型ゲーム研修という選択肢
【要点】成長を体感する場として有効なのが、HEART QUAKEが提供するビジネスゲーム研修です。1回の実施で試行錯誤のサイクルを回せるため、短時間で成長実感の原体験をつくれます。本セクションでは、カルビーの方針にも対応する心理的安全な風土とキャリア自律をテーマにした2つのゲームを紹介します。
弊社HEART QUAKEでは、この「成長を体感する場」をビジネスゲーム研修として提供しています。ゲーム研修は1回の実施の中で「試す→失敗する→振り返る→もう一度試して成功する」というサイクルが回るため、短時間で成長実感の原体験をつくれるのが特長です。カルビーの3方針にも含まれていた「心理的安全な風土」「キャリア自律」に対応する2つのゲームをご紹介します。
心理的安全性を体感して学ぶ「ベストチーム」

ベストチームは、心理的安全性を「知る」だけでなく「高い状態と低い状態の違いを体感する」カードゲーム型研修です。カルビーがKPIに置く心理的安全性を、自社のチームで再現的に学べます。
2026年7月現在、ベストチーム(カード版)の導入社数は約190社、受講者満足度は4.92(5点満点)となっております。

お客様の声:
実施要件
【対象人数】15名以上〜100名超(1チーム3名程度、最低5チームから)
【実施時間】1時間半〜3時間程度(標準2時間)
【予算】講師派遣250,000円〜(税別・30名2時間) / キットレンタル(社内講師型)70,000円〜(税別・30名用)
詳細はベストチームの紹介記事をご覧ください。
価値観の違いからキャリア自律を考える「ワークスタイルトランプ」

ワークスタイルトランプは、働き方に関する54枚の価値観カードを使い、自分が大切にしたい働き方を言語化し、チームで共有するワークです。カルビーで唯一未達だった「キャリア自律」は、まず自分の価値観を言葉にするところから始まります。
2026年8月現在、ワークスタイルトランプ(カード版)の導入社数は約190社、受講者満足度は4.58(5点満点)となっております。

お客様の声:
実施要件
【対象人数】1名以上(グループワークでの利用の際は1セット5名程度)
【実施時間】約30〜60分
【予算】カード版30,000円〜(税別・1セット) / オンライン版(クラウド)50,000円〜(税別)
詳細はワークスタイルトランプの紹介記事をご覧ください。
実施方法は「講師派遣」と「キットレンタル」の2つ
「ゲーム研修に興味はあるが、社内に研修講師がいない」「準備に時間をかけられない」というご相談もよくいただきます。弊社のゲーム研修では、「講師派遣」と「キットレンタル(社内講師で実施)」の2つの提供方法をご用意しています。

ゲームキットには、カード・運営スライド・講師向け動画マニュアルが含まれます。運営スライド(パワーポイント)のノート欄に講師用のトークスクリプトや解説が記載されているため、研修の進行経験がない方でも実施できます。

まとめ|開示情報は「学びの宝庫」
【要点】企業の有価証券報告書などの開示情報は、人的資本経営や人材育成における実践的な学びの宝庫です。大企業であっても従業員の「キャリア自律」の醸成には苦戦している現状があるからこそ、企業の規模を問わず早期に具体的な施策へ着手することが他社との差をつける鍵となります。まずは自社に合った方法で、従業員が成長を実感できる環境づくりから一歩を踏み出してみましょう。
カルビーの有価証券報告書からは、(1)成長実感を定点で測る (2)プロセスを評価する (3)体感の場をつくる、という3つの実践が読み取れました。大企業でも「キャリア自律」の醸成には苦戦している——だからこそ、規模を問わず早く着手した企業に差がつく領域ではないでしょうか。
自社で「成長を体感する場」づくりから始めてみたい方は、研修の目的やご人数に合わせて最適なゲームをご提案します。
よくある質問
Q. 体験型ゲーム研修が「成長実感」の醸成に効果的なのはなぜですか?
ゲーム研修では、1回の実施の中で「試行錯誤、失敗、振り返り、再挑戦による成功」というサイクルを短時間で回せるためです。日常業務では得にくい「できなかったことができるようになった」という成長の原体験を、ゲームを通じて安全に体感できます。
Q. 心理的安全性を高める研修として「ベストチーム」はどのような内容ですか?
ベストチーム(カード版)は、心理的安全性が高い状態と低い状態の違いを体感できるカードゲーム型研修です。お互いを尊重し協働する風土づくりに貢献し、多くの企業で高い満足度を得ています。
Q. キャリア自律を促す「ワークスタイルトランプ」の特徴を教えてください。
ワークスタイルトランプ(カード版)は、多様な価値観が描かれたカードを整理することで、自身のキャリア志向や強みを自己分析するゲームです。オンラインで実施したい場合は、Webブラウザで動作するワークスタイルトランプクラウドもご利用いただけます。
Q. ゲーム研修の費用や料金体系はどのようになっていますか?
ゲーム研修の実施にあたっては、教材のレンタルや購入などのプランをご用意しております。具体的な金額や詳細な料金体系については、お客様の実施規模やご要望に合わせてお見積もりいたしますので、お問い合わせ時にご案内します。
Q. ゲーム研修の対象人数や所要時間はどのくらいですか?
例えば、心理的安全性を学ぶベストチーム(カード版)は15名以上〜100名超で1時間半〜3時間程度、キャリア自律を考えるワークスタイルトランプ(カード版)は1名以上で約30〜60分と、柔軟な設計が可能です。
Q. オンラインでの実施に対応しているゲーム研修はありますか?
はい、キャリア自律をテーマにした研修では、オンライン版のワークスタイルトランプクラウドをご用意しております。PCやタブレットなどのブラウザ環境があれば、離れた場所にいる受講者同士でもスムーズに実施可能です。
研修導入をご検討の方へ
詳細な資料、お見積りをご希望の方はまずは下記より資料請求をお願いします。
※同業他社様からのお問い合わせはご遠慮ください。

