マシュマロチャレンジでOODAループの観察から行動までを学ぶ研修図解

目次

1. OODA(ウーダ)ループとは
2. OODAとPDCAサイクルとの比較
3. OODAループをマシュマロチャレンジで体感する
4. 相手チームの「観察」をしてからチームの方針を決める
5. 2チーム作れない場合の対応
6. よくある質問
7. まとめ
8. OODAループ研修|導入をご検討の方へ

PDCAはもう古い!次はOODAループだ!
という記事をネットでは多く見かけます。PDCAもできてないのに、OODAってなんだよ、というのが現実ではないでしょうか。

この記事では、OODA(ウーダ)ループについて簡単に解説し、実際に企業の中でOODAループを回すためにマシュマロチャレンジというゲームを使って研修を行う方法について書いてみたいと思います。

OODA(ウーダ)ループとは

まずはOODAループについて書いていきたいと思います。一般的な読み方は「ウーダ」ということです。
ただし、オーオーディーエーという読むのもOKとのことです。

OODAループ

上図がOODAループですが、整理しておきましょう。

O:Observe = 観察

O:Orient = 方向付け

D:Decide = 決心

A:Act = 行動

OODAとPDCAサイクルとの比較

一般的によく知られているPDCAサイクルと比較してみましょう。

PDCAサイクルは以下のことを指します。

P:Plan = 計画

D:Do = 実行

C:Check = 評価

A:Action = 改善

OODAと、PDCAの大きな違いはP(計画)が入っていないことです。

変化の激しいこの時代、計画通りに進むことはまれですし、そもそも計画が机上の空論になっていることもあるでしょう。

そこを計画ありきで無理やり勧めていくと、最悪の場合、粉飾決算につながっていきます。
OODAループは計画ではなく、観察からスタートし、状況に合わせて柔軟に対応する修正主義的な発想です。

OODAループをマシュマロチャレンジで体感する

PDCAもOODAも頭では理解できますが、実際に実施できている組織は少ないと思います。

その要因としてはPDCAの場合はCの振り返りを疎かにし、OODAの場合はObserveの観察を疎かにします。

それをやってる時間がない、というのが本音だと思いますが、それはつまり、振り返りや観察による成功体験がないということもあげられると思います。

そこで、マシュマロチャレンジというビジネスゲームを用いて、OODAループを体験してもらう研修を実施します。

マシュマロチャレンジ

マシュマロチャレンジとは、パスタやテープなどの備品を使ってできるだけ高いタワーを建設せよというゲームです。
世界記録は99cmと言われています。詳しいやり方はこちらをご覧ください。

マシュマロ・チャレンジのやり方と92cmの最高記録

相手チームの「観察」をしてからチームの方針を決める

では、マシュマロチャレンジを使って具体的にどのようにOODAループを体験してもらうのかというと、次のような手順で実施します。

1.2つのチームをペアとします。(1チーム4〜5名)

2.1つめのチーム(Aチーム)がマシュマロチャレンジに挑戦します。

3.もう片方のチーム(Bチーム)は実施している様子を観察(Observe)します。

4.ゲーム実施後、A,Bチームともに振り返りの時間を取り、チームの方針を決めます
 (Orient & Decide)

5.Bチームがマシュマロチャレンジに挑戦します。(Act)

6.Aチームは観察(Observe)します。

7.ゲーム実施後、A,Bチームともに振り返りの時間を取り、チームの方針を決めます
 (Orient & Decide)

8.A,B両チームでマシュマロチャレンジを実施します。(Act)

9.ゲーム実施後、A,Bチームともに振り返りの時間を取ります。

ポイントは、相手チームを観察することです。

続いて、観察をしたBチームがマシュマロチャレンジに挑戦します。

2チーム作れない場合の対応

【要点】研修の参加人数が少なく2チーム作れない場合は、メンバーの中から1名を観察役として配置することで対応します。この観察役には、参加メンバーの中の上司の方を起用して実施するのが最適な役割分担となります。

また、人数が少なく、2チーム作れない場合は、メンバーのうち、1名が観察役に周ります。

この時、観察役の方は、いわゆる上司の方に実施していただくのが良いでしょう。

よくある質問

Q. マシュマロチャレンジ研修の対象人数や所要時間はどのくらいですか?

本研修は少人数から大人数まで対応しており、短時間で実施可能です。チームビルディングやOODAループの学習として、柔軟な時間設定で実施いただけます。詳しい実施要項や資料はマシュマロチャレンジの資料請求からご確認ください。

Q. OODAループ研修を社内講師で実施することは可能ですか?

はい、社内講師での実施が可能です。弊社では、ゲームの説明や振り返りに使える運営スライドや、必要な備品が揃った運営キットをご用意しております。準備工数をかけずに実施したい場合は、マシュマロチャレンジの運営キットの活用をご検討ください。

Q. マシュマロチャレンジはオンラインでの実施に対応していますか?

本ゲームはパスタやマシュマロなどの実物を使用するため、オンラインでの実施には対応しておりません。対面での研修として、受講者同士のリアルなコミュニケーションを活性化させるためにマシュマロチャレンジをご活用ください。

Q. 参加人数が少なく、2チーム作れない場合でも実施できますか?

はい、少人数でも実施可能です。2チーム作れない場合は、メンバーの中から1名を「観察役」として配置することで、OODAループの「観察(Observe)」を体験できます。観察役は上司の方が担当するのが効果的ですので、ぜひマシュマロチャレンジで実践してみてください。

Q. OODAループとPDCAサイクルの違いは何ですか?

最大の違いは、計画(Plan)の有無です。PDCAは計画に基づいて進めますが、OODAループは「観察(Observe)」からスタートし、状況に合わせて柔軟に対応します。変化の激しい状況下で迅速に意思決定を行う手法として、マシュマロチャレンジを通じてその違いを体感いただけます。

Q. 研修の実施に必要な費用はどのくらいかかりますか?

研修の費用は、運営スライドの購入、運営キットの購入、または講師派遣などのプランによって異なります。ご予算や受講人数に合わせた最適なプランをご提案いたしますので、具体的な金額はマシュマロチャレンジの資料請求からご確認ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
OODAループの紹介と、実際に体験してもらう方法をご紹介しました。

2026年1月現在、マシュマロチャレンジの導入社数は約200社、受講者満足度は4.9(5点満点)となっております。

最新の満足度はこちらからご覧いただけます。

「マシュマロチャレンジ」実施要項

【対象人数】8〜100名以上(1チーム 4名)
【実施時間】30分-2時間
【予算】
・運営スライド:3万円(ゲームの説明や振り返り含む)
・運営キット:4,000円/1チーム分(1チーム3回戦分。運営スライドに追加で料金がかかります)
・講師派遣:15万円〜(30名までの場合、キット代含む)

弊社ではマシュマロ・チャレンジ実施のための運営スライド(パワーポイント形式)、及び、運営キットを販売しております。

※運営キットイメージ

講師無しで、準備工数を掛けずに実施したいという方はお問い合わせください。
運営キットは不要で資料のみの場合はお申込みの翌営業日には納品させて頂きます。

OODAループ研修|導入をご検討の方へ

詳細な資料、お見積りをご希望の方はまずは下記より資料請求をお願いします。

※同業他社様からのお問い合わせはご遠慮ください。

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その他、実施時期や受講人数など(300文字以内)

15個の質問でプロティアン・キャリアのビジネス資本と社会関係資本を診断する図解

【結論】本書は、法政大学の田中研之輔教授が提唱する「プロティアン・キャリア」に基づき、15個の質問から自身のキャリア形成力を測定する診断を紹介しています。
回答数からプロティアン人材度を判定し、ビジネス資本や社会関係資本の分類から自身の強みや課題を客観的に分析できます。
人生100年時代に70歳まで第一線で働き続けるための、変幻自在なキャリア形成に向けた現状把握と内省に最適なツールです。

今回は先日読んだ法政大学キャリアデザイン学部教授田中研之輔先生の著書「プロティアン」を読んでとても面白いなと思ったプロティアン・キャリア診断を紹介します。

とても面白い内容なのでぜひ読んでみて下さい。

プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術
田中研之輔 日経BP

プロティアンとは

そもそも、プロティアンまたは、プロティアン・キャリアとは何か、を簡単に書いておきたいと思います。
書籍では以下のように定義されています。

PROTEAN(プロティアン)には、「変化し続ける」「変幻自在」「一人数役を演じる」
という意味があります。

そして、プロティアン・キャリアとは、変幻自在に形成するキャリアのことです。

引用:プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術
P.10

本書の副題?が「70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術」となっていますが、副題とプロティアン・キャリアの定義を見るだけで、人生100年時代で70歳まで働くために、キャリアチェンジを意識し、行動することが重要だ、というメッセージを感じることができます。

15個の質問でわかるプロティアン・キャリア診断

本書の中で私が特に面白いと思ったのがプロティアン・キャリア診断です。
下記の15個の質問に回答することで自分がプロティアン人材かどうかを診断してくれます。


引用:プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術
P.29 図2を元に作成

さて、みなさんは合計何個にチェックが入ったでしょうか。ちなみに、私は7個でした。
特に序盤の毎日、新聞を読む英語の学習を続けているなどには恥ずかしながらチェックが付いていません。。。

そして、合計で何個にチェック入ったかで下記のような診断結果となります。

引用:プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術
P.29 図3を元に作成

ということで、私は7個にチェックが付いたのでセミプロティアン人材となりました。
プロティアン人材と判定されるには15項目中12個以上ということで、私はだいぶ遠そうです。。。

さらに、本書では上記の15項目を下記のように分類分けしています。まずは下画像をご覧ください。


引用:プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術
P.102 図1を元に作成

実は項目1-12がビジネス資本、13-15が社会関係資本と分類され、それらも更に細分化されています。

ビジネス資本や社会関係資本の定義は以下のように説明されています。

ビジネス資本・・・
ビジネスシーンでのキャリア形成を通じて得られる知識やスキル、
立ち振る舞い、その人の身体に刻まれたもの

社会関係資本・・・
ビジネスパーソン同士の信頼関係からなる、ネットワークの集積のこと

引用:プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術
P.91-93

さて、上画像を見て、自分のチェックが付いていたところ、付いていなかったところを分析してみると
どの分類が多く、逆にどこ分類が少ないのかが見えてきます。

私の場合はビジネスプロダクティビティの分類はチェックが多くビジネスリテラシーや組織外活動が少ないことが分かりました。

コロナ禍もあり(言い訳ですが)、組織外活動が少ないのは確かに今後のキャリアを考えると少しマズイかなと感じています。
みなさんもぜひプロティアン・キャリア診断を実施し、自分のキャリアについて内省してみてくだい。

プロティアン・キャリア WEB診断テスト(無料&登録不要)

本書の15個の質問に基づいたプロティアン・キャリア WEB診断テストを弊社で作成しました。
各項目に「該当する/該当しない」で回答するだけで、プロティアン人財/セミプロティアン人財/ノンプロティアン人財の判定と、ビジネス資本・社会関係資本のカテゴリ別チェック数が即時に表示されます。

プロティアン・キャリア診断テスト 設問画面

診断結果は下記のように表示されます。
プロティアン・キャリア診断テスト 結果画面

下記URLからプロティアン・キャリア WEB診断テストを無料で実施することができます。
名前やメールアドレスなどの入力も不要です。

プロティアン・キャリア WEB診断テストページ

まとめ

【要点】本記事では、田中研之輔先生の著書「プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術」(日経BP)を引用し、15個の質問で手軽に自己分析ができるプロティアン・キャリア診断をご紹介しました。変化の激しい現代において、自らのキャリア資本を築き、主体的に生き抜くための現状把握にぜひお役立てください。

いかがでしたでしょうか。今回は15個の質問でわかるプロティアン・キャリア診断ということで、田中研之輔先生の著書「プロティアン」を引用してご紹介しました。

ぜひ本書も読んでみて下さい。
プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術
田中研之輔 日経BP

コミュニケーション研修を目的別に選ぶための3つの分類を示す図解

【結論】コミュニケーション研修を成功させるには、「社員間の活性化」「社内向けスキル向上」「社外向けスキル向上」という3つの目的から自社の課題を明確にすることが重要です。
例えば、社員間の交流活性化にはビジネスゲームやスポーツ、社内向けにはコーチング、社外向けにはアサーションや質問力を高める研修など、目的に応じた最適な手法を選択しましょう。

目次

1. コミュニケーション研修の目的の分類
2. 社員間のコミュニケーション活性化が目的の場合
3. 1-1.普段関わりのない社員とコミュニケーションを取って欲しい
4. 1-1-a.ビジネスゲーム
5. 1-1-b.スポーツ
6. 1-1-c.体を動かすアクティビティ
7. 1-2.普段は言えない本音を話したり、組織変革を行いたい
8. 社内向けのコミュニケーションスキル向上が目的
9. 2-1.ファシリテーション研修:会議でのコミュニケーション促進
10. 2-2.コーチング研修:部下とのコミュニケーション促進
11. 社外に対するコミュニケーションスキル向上が目的
12. 3-1.アサーション研修:自分のコミュニケーションスタイルを知る
13. 3-2.質問力を高める研修:相手のニーズを引き出す
14. まとめ

弊社ではコミュニケーション研修をお探しの企業様からのお問い合わせを頂くことが多々あります。

しかし、ひとくちにコミュニケーション研修といってもその目的や定義によって効果のある研修や手法は異なります

ここでは、コミュニケーション研修をお探しの方に向けて目的別にどのような研修を選んだら良いのかを書いていきたいと思います。

コミュニケーション研修の目的の分類

【要点】コミュニケーション研修の選び方で失敗しないためには、自社が求める研修の目的を明確にすることが重要です。研修は、社員間の活性化、社内向けのスキル向上、社外に対するスキル向上の3つに分類され、誰を対象とするかで選ぶべき内容が異なります。自社の課題に最適な研修を選択するために、まずはこれら3つの目的の違いを正しく理解しましょう。

コミュニケーション研修は大きく分けて以下の3つの目的に分けて考えることができます。

1.社員間のコミュニケーション活性化が目的(例:チームビルディング)
2.社内向けのコミュニケーションスキル向上が目的(例:コーチング)
3.社外に対するコミュニケーションスキル向上が目的(例:営業力強化)

社員間のコミュニケーション活性化が目的なのか、社内で使えるコミュニケーションスキル向上が目的なのか、顧客や、外注先といった社外の方とのコミュニケーションスキルの向上なのかによって選ぶべき研修も変わってきます。

それぞれについて少し詳しく見て行きましょう。

1.社員間のコミュニケーション活性化が目的の場合

【要点】社員間のコミュニケーション活性化を目的とする研修選びでは、自社が求める具体的なゴールを明確にすることが重要です。この目的は、普段は業務上の関わりがない他部署などの社員同士の交流を促したい場合と、普段は言えない本音を互いに引き出して組織変革にまで繋げたい場合の2つに細分化されます。それぞれの目的に合致した最適な研修プログラムを選択する必要があります。

社員間のコミュニケーション活性化が目的の場合は研修を通して他部署の方や、普段の業務ではコミュニケーションをあまり取らない方とのコミュニケーションを取って欲しいという意図があると思います。

その中で目的を更に細分化すると以下の2つにまとめられます。

1-1.普段関わりのない社員とコミュニケーションを取って欲しい
1-2.普段は言えない本音を話したり、組織変革を行いたい

1-1.普段関わりのない社員とコミュニケーションを取って欲しい

【要点】普段関わりのない社員同士の交流を促すには、みんなで楽しめるワークを取り入れた研修を選ぶことが重要です。具体的には、参加者同士が自然と打ち解けられるビジネスゲームや、体を動かすアクティビティ、スポーツなどを実施する研修が適しています。これらの研修は、お互いの緊張をほぐし、円滑なコミュニケーションを引き出す効果があります。

このような目的の場合は、みんなで楽しめるワークを実施するのが効果的です。
具体的にはビジネスゲームを使った研修や、スポーツ、体を動かすアクティビティが効果的です。

それぞれの特徴を簡単にまとめておきましょう。

ビジネスゲーム

1-1-a.ビジネスゲーム

【要点】コミュニケーション研修におけるビジネスゲームは、情報共有や交渉などの仕事の要素を取り入れながら取り組めるのが特徴です。弊社が最も得意とする分野であり、1年間で400社以上のチームビルディング研修を実施した実績があります。導入企業にはグーグル合同会社やApple Japan合同会社、三菱商事株式会社など、数多くの大手企業や団体が名を連ねています。

ビジネスゲームとは情報共有、交渉などビジネスの要素が入ったゲーム
単純なゲームよりも少し仕事を意識させながら取り組ませることができる。

コミュニケーション研修におけるビジネスゲームとしては

A.協力
B.合意形成
C.Win-Winな交渉

の大きく分けて3つの種類があります。
具体的なゲームについてはこちらを御覧ください。

3種類のコミュニケーションゲーム

なお、弊社が最も得意としているのがこの分野です。
弊社では1年間で400社以上のチームビルディング研修を実施しております。

導入実績の一例(敬称略)

グーグル合同会社、Apple Japan 合同会社、アマゾンジャパン合同会社、
日本マイクロソフト株式会社株式会社日本政策投資銀行、株式会社みずほ銀行、
アサヒビール株式会社、パナソニック株式会社、三菱商事株式会社、
三井物産株式会社、三菱重工業株式会社、株式会社デンソー、
JAXA(宇宙航空研究開発機構)、全国労働者共済生活協同組合連合会(COOP)

詳しくはこちら

バブルサッカー

1-1-b.スポーツ

【要点】コミュニケーション研修にスポーツを取り入れることで、仕事とは異なる一面を把握し、業務外での良好な関係性を構築できます。一方で、参加者の中に運動が苦手な人がいる場合や、当日の天候によって実施が左右される点には注意が必要です。具体的な実施例としては、バブルサッカーなどが挙げられます。

仕事を離れた関係性を構築できる。仕事とは違う一面を把握することができる。
スポーツが苦手な人や、実施が天候に左右される可能性がある。

スポーツの例:バブルサッカー

ヘリウムリング
参照元:http://icebreak-iroha.jp/icebreak/helium-ring(現在は停止中)

1-1-c.体を動かすアクティビティ

やや仕事を離れた関係性を構築できる。協力することの重要さを体感できる。
年配者には少し参加しづらいワークが多い。

アクティビティの例:企業研修向け脱出ゲーム

ヘリウムリングのやり方

1-2.普段は言えない本音を話したり、組織変革を行いたい

ダイアローグでチームビルディング

このような目的の場合は、じっくり時間を取って本音を話し合い、今後のアクションについて全員が合意できる目的・目標を設定することが重要です。

具体的にはダイアログと呼ばれる「対話」が効果的です。
ダイアログにはワールドカフェと呼ばれるブレインストーミングに近い手法や、より深い話を促進するOST(オープンスペーステクノロジー)すごい会議という手法があります。

ワールドカフェのやり方

はじめてのOST(オープンスペーステクノロジー)

2.社内向けのコミュニケーションスキル向上が目的

【要点】社内向けのコミュニケーションスキル向上を目的とする場合、大人数での活性化ではなく、少人数でのコミュニケーションスキル向上を目指すことが重要です。個々のスキルを高めるために、具体的に効果的な2つの研修を導入することが推奨されます。

前述の目的との違いがわかりづらいですが、大人数でのコミュニケーション活性化を目的としているのに対して、こちらは、少人数でのコミュニケーションスキルの向上を目指しています。

具体的には以下の2つの研修が効果的です。

2-1.ファシリテーション研修:会議でのコミュニケーション促進

会議で参加者の意見を引き出すためにはファシリテーション研修が効果的です。

ファシリテーション グラフィック
参考URL:http://jobstylelab.blogspot.jp/2011/05/blog-post_31.html

さらに特殊な研修ではファシリテーショングラフィックと呼ばれる議事録に変わる新しいレコーディング手法を学ぶ研修も存在します。

2-2.コーチング研修:部下とのコミュニケーション促進

【要点】部下との関係性を深め、自発的な成長を促すためにはコーチング研修の導入が最適です。この研修では、相手の主体性を引き出すための傾聴や質問のスキルを体系的に学びます。指導側が一方的に指示を出すのではなく、双方向の対話を通じて信頼関係を築く手法を習得できるため、組織全体の活性化やマネジメント力の向上を目指す企業におすすめのプログラムです。

コーチング研修
参考URL:https://www.hj.sanno.ac.jp/cp/incompany-training/prog/IT016.html

部下のモチベーションを上げたり、部下の本音を引き出したりと1対1でのコミュニケーションを取るためにはコーチング研修が効果的です。

3.社外に対するコミュニケーションスキル向上が目的

【要点】社外の顧客や外注先との関係構築においては、相手の要望を引き出すスキルや、自身の振る舞いが相手に与える影響を客観的に理解することが求められます。そのため、自らのコミュニケーションスタイルを把握し、対外的なやり取りを円滑にするための実践的な研修を選択することが重要です。

最後は社外の顧客や、外注先とのコミュニケーションスキル向上が目的の場合です。相手の要望を引き出したり、自分のコミュニケーションスタイルを知り、それが相手に与える影響を学ぶ研修が効果的です。

3-1.アサーション研修:自分のコミュニケーションスタイルを知る

【要点】アサーション研修は、自身のコミュニケーションスタイルを客観的に把握し、周囲に与える影響を客観的に見つめ直すための研修です。この研修を導入することで、受講者は自己の傾向を正しく理解し、他者との関わり方を改善するきっかけを得られます。自社に最適な研修を選ぶためにも、まずはこの手法がもたらす効果やアサーションの基本的な概念を正しく理解することが重要です。

アサーション
アサーションとはコミュニケーションタイプを以下の3つのタイプに分けます。
アグレッシブ(攻撃的)、ノンアサーティブ(非主張的)、アサーティブ(バランス型)
自分のコミュニケーションスタイルを知り、相手に与える影響を考えることができます。

3-2.質問力を高める研修:相手のニーズを引き出す

SPIN 研修

質問力を高める研修には営業技法としてのSPIN研修や、ヒアリング研修などが効果的です。

営業に理論を!「SPIN式」営業とは

まとめ

【要点】失敗しないコミュニケーション研修の選定においては、実施目的に合わせて最適な研修を選ぶことが重要です。目的は、チームビルディングなどの「社員間の活性化」、コーチングやファシリテーションといった「社内向けスキル向上」、そしてアサーションや質問力を高める「社外向けスキル向上」の3つに大別されます。それぞれの目的に適した研修手法を理解し、自社の課題に合致するものを選びましょう。

弊社では今回紹介したいくつかのコミュニケーション研修の中で、ビジネスゲームとアクティビティによるコミュニケーション活性化研修を提供しております。

弊社で提供しているゲーム、アクティビティはこちらを御覧ください。

弊社提供のビジネスゲーム/アクティビティ一覧

最後にもう一度。コミュニケーション研修と言ってもその目的によって実施すべき研修は変わります。選定の際の参考になれば幸いです。

1.社員間のコミュニケーション活性化が目的(例:チームビルディング)
 1-1.普段関わりのない社員とコミュニケーションを取って欲しい
  1-1-a.ビジネスゲーム
  1-1-b.スポーツ
  1-1-c.アクティビティ

 1-2.普段は言えない本音を話したり、組織変革を行いたい
  1-2-1.ダイアログ

2.社内向けのコミュニケーションスキル向上が目的(例:コーチング)
 2-1.ファシリテーション研修:会議でのコミュニケーション促進
 2-2.コーチング研修:部下とのコミュニケーション促進

3.社外に対するコミュニケーションスキル向上が目的(例:営業力強化)
 3-1.アサーション研修:自分のコミュニケーションスタイルを知る
 3-2.質問力を高める研修:相手のニーズを引き出す

グローバル人材育成の3つのポイント|語学力・社会人基礎力・異文化理解力の図解

目次

1. グローバル人材の定義とは?
2. グローバル人材育成のための3つのポイント
3. 弊社が提供するグローバル人材育成のためのゲーム
4. まとめ

前回は、グローバル人材に必要なグローバルマインドセットの3要素をご紹介しました。

グローバル人材に必要なグローバルマインドセットの3要素

今回はグローバル人材を育成するためにはどうすればよいのか?というテーマで3つのポイントを紹介したいと思います。

グローバル人材の定義とは?

まずは、グローバル人材の定義を明確にしておきたいと思います。
ここでは弊社ならではの定義ではなく、公的な機関が発表した2つの定義をご紹介します。

グローバル化が進展している世界の中で、主体的に物事を考え
多様なバックグラウンドをもつ同僚、取引先、顧客等に
自分の考えを分かりやすく伝え、文化的・歴史的な
バックグラウンドに由来する価値観や特性の差異を
乗り越えて、相手の立場に立って互いを理解し、
更にはそうした差異からそれぞれの強みを引き出して活用し、
相乗効果を生み出して、新しい価値を生み出すことができる人材

産学人材育成パートナーシップグローバル人材育成委員会,2010年4月

世界的な競争と共生が進む現代社会において、
日本人としてのアイデンティティを持ちながら、広い視野に立って
培われる教養と専門性、異なる言語、文化、価値を乗り越えて
関係を構築するためのコミュニケーション能力と協調性
新しい価値を創造する能力、次世代までも視野に入れた
社会貢献の意識などを持った人間。

産学連携によるグローバル人材育成推進会議,2011年4月

どちらの定義もかなり長いですね。とても覚えられそうもありません。。。

グローバル人材育成のための3つのポイント

上記2つの定義のどちらにも共通するのは以下の3項目となり、これがグローバル人材育成のための3つのポイントと言えるでしょう。

1.語学力
2.社会人基礎力
3.異文化理解力

1つ目は先程の定義の中には記されていませんが、前提条件として外国語(特に英語)でのコミュニケーションが取れるかどうかが重要になります。

なお、ここでいう語学力とは以下のレベルに分けることができ、③までは必須のようです。

① 海外旅行会話レベル
② 日常生活会話レベル
③ 業務上の文書・会話レベル
④ 二者間折衝・交渉レベル
⑤ 多数者間折衝・交渉レベル

グローバル人材育成推進会議中間まとめ(2011年6月)

2つ目は社会人基礎力とさせていただきましたが、定義の中では「主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感」といったキーワードで表されています。これらをまとめて、経済産業省が提唱する社会人基礎力とさせていただきました。

社会人基礎力

最後のポイントが異文化理解力です。
3つの中では一番分かりづらいと思うのがこの異文化理解力だと思います。

ここでは異文化理解力を3つに分けて紹介したいと思います。

1.「異文化の差」が存在するということを認識して行動すること

2.「異文化の差」を「良い・悪い」と判断せず、興味・理解を示し、
柔軟に対応
できること

3.「異文化の差」をもった多様な人々の中で比較した場合の、
自分を含めたそれぞれの強みを認識し、それらを引き出して活用し、
相乗効果を生み出して、新しい価値を生み出すこと

産学人材育成パートナーシップグローバル人材育成委員会 報告書より

特に、2、3の部分は以前にも紹介したコンフリクトマトリックスとも関係してくると思います。

コンフリクト・マトリクスと異文化理解

弊社が提供するグローバル人材育成のためのゲーム

最後に、弊社はビジネスゲームを活用した研修会社ですが、上記の3つのポイントを鑑みて活用できるゲームをご紹介したいと思います。

まず、コンテンツ自体が英語対応しているゲームの一覧はこちらからご覧いただけます。資料やゲームキットが英語対応済みのゲームとなります。

英語対応ゲーム一覧

多数者間折衝・交渉レベルのゲーム

語学力の中でも、④、⑤の多数者間折衝・交渉レベルのゲームとしてご紹介できるのが「ベストチーム」です。

ゲームの概要は下記からご覧いただければと思いますが、ゲーム中に他のチームのメンバーとのカード交換などの交渉が求められるビジネスゲームです。

心理的安全性を知り、高めるゲーム型研修「ベストチーム」

2026年4月現在、ベストチームの導入社数は約180社、受講者満足度は4.91(5点満点)となっております。


※最新のユーザー満足度についてはこちらからご覧いただけます。

また、交渉ではありませんが、多数者間折衝・合意形成が求められるのがNASAゲームです。

こちらも下記から概要をご覧いただけますが、チームとしての合意形成がテーマになっています。

2026年7月現在、NASAゲームの導入社数は約570社、受講者満足度は4.82(5点満点)となっております。

最新の満足度はこちらからご覧いただけます。

多数者間折衝・合意形成ゲーム「NASAゲーム」

異文化理解のゲーム


画像引用元:https://www.j-cho.jp/seminar/report/2019/1203.html

異文化理解をテーマにしたゲームとしてはバーンガというゲームがあります。前述のNASAゲームもそうなのですが、ダイバーシティ&インクルージョンの文脈で活用されることが多いゲームです。

概要は下記からご覧いただけますが、トランプを使ったシンプルなゲームながら異文化に触れた時に自分がどのような行動を取るのかを考えさせられるゲームです。

異文化理解ゲーム「バーンガ」

まとめ

いかがでしたでしょうか。
グローバル人材の育成のための3つのポイントは以下のとおりです。

1.語学力
2.社会人基礎力
3.異文化理解力

特に、語学力の5つのレベルや、異文化理解力の3つの段階については知っておいて損がないかと思います。

① 海外旅行会話レベル
② 日常生活会話レベル
③ 業務上の文書・会話レベル
④ 二者間折衝・交渉レベル
⑤ 多数者間折衝・交渉レベル

グローバル人材育成推進会議中間まとめ(2011年6月)

1.「異文化の差」が存在するということを認識して行動すること

2.「異文化の差」を「良い・悪い」と判断せず、興味・理解を示し、
柔軟に対応
できること

3.「異文化の差」をもった多様な人々の中で比較した場合の、
自分を含めたそれぞれの強みを認識し、それらを引き出して活用し、
相乗効果を生み出して、新しい価値を生み出すこと

産学人材育成パートナーシップグローバル人材育成委員会 報告書より

ビジネスゲーム開発におけるテーマから試作までの6つの設計ポイントを示す図解

【結論】ビジネスゲーム開発では、テーマやコアな学びを1つに絞り、新入社員などの対象者、プレイ時間や人数といった運営面を初期に設計することが重要です。
例えば「ストマネ」や「マナーストーリー」のように、知識教授か知識活用かによって、1卓5名で全体40名に対応する最適なシステムを決定します。
ジレンマやランダム性を考慮し、まずは既存システムをベースに試作品を作ることが成功の鍵です。

目次

1. ゲーム開発時に我々が意識していること
2. 実施のついての運営面
3. ゲームシステムについて
4. ゲームシステムは悩ましい。だから試作品をつくる
5. ジレンマについて
6. ランダム性について
7. まとめ

先日、とある方から「ビジネスゲームってどうやって作るんですか?」という質問を受けて自分自身の開発プロセスを振り返るきっかけがありました。

この記事をご覧頂いている方の中にもビジネスゲーム、研修用ゲームを作ってみたいけど作り方がわからないという人がいるかもしれません。

そこで今回は、ビジネスゲームを作るために我々が意識していることと、具体的な要素の1つであるジレンマについて書いてみたいと思います。

ゲーム開発時に我々が意識していること

まずは、ゲーム開発時(初期フェーズ)に我々が意識していることを紹介したいと思います。ざっと書くとこんな感じです。

・テーマ
・コアな学びの要素

・対象者
・プレイ時間
・プレイ人数

・知識教授 / 知識活用
・元となるゲームシステム
・ジレンマ
・ランダム性の有無

上記は初期フェーズで考えている要素なので、フェーズが進むとゲームバランスなどについても考えていきますが、そこは今回は一旦置いておきます。

まずはテーマを考えます。考えると言うよりも思いつくという感じかもしれません。

例えば、ストレスチェック義務化によってメンタルヘルス対策研修が増えていくるだろうからメンタルヘルス対策ゲームが必要になるかな、とか、ビジネスマナーって受ける方も、実施する方もつまらないのではないか?といったようにテーマについては日常の中で思いつくという感じです。

次に考えるのはコアな学びの要素を考えます。コアな、と書いたのは、1つのゲームに複数の学びの要素を盛り込むと複雑になりすぎたりするので、基本はコアを1つに絞ります

例えば、メンタルヘルス対策ゲームの「ストマネ」であれば、ラインケアにおける上司・同僚の支援の重要性を学んでもらおうといったことです。

実施のついての運営面

ここからは順不同ですが、運営面についても考えます。具体的には対象者や、プレイ時間、プレイ人数などを考えます。

例えば、対象は新入社員の方なのか、管理職の方なのか、若手社員か、といった形で、テーマの時点である程度対象は絞られてくると思います。

プレイ時間は研修用のゲームとして開発する場合、1日研修の中の最初の1時間で使ってもらうゲームなのか、最初から2時間枠の研修でゲームと講義を配置するのか、といった形です。これによってゲームの難易度も限定されていきます。(1時間のゲーム時間だと複雑にはできない)

プレイ人数というのは研修参加者数という大枠の人数と、1卓何名まで対応可能なのか、という2つの視点です。全体で40名程度が参加する研修で、1卓5名で8卓あってもファシリテーター2人で運用に耐えられるか?といったようなことを考えていきます。

ファシリテーターが多くなると事前のティーチングも必要になります。また、研修となると通常のボードゲーム会とは異なり、同じゲームを複数卓で実施することがデフォルトなのでそのあたりも考慮が必要です。

ゲームシステムについて

ここからは実際のゲームシステムについてです。
まずは、今回のゲームを通して知識を提供したいのか、知識を活用してほしいのかを考えます。

例えば、新入社員にとって名刺交換などのビジネスマナーの知識はほとんどないと考えられます。そこでビジネスマナーゲームの「マナーストーリー」はどちらかといえば知識教授をイメージして開発しました。

一方、メンタルヘルス対策ゲームの「ストマネ」はお互いを支援することの重要性は頭ではわかっているが、実際にできるか?という活用に着目して開発しました。

このように対象者がそのテーマや、コアな学びについて事前にどれぐらいの知識を有しているかを考えます。これがゲームシステムの選択に影響を与えます。

ここでやっとゲームのコアとなるゲームシステムを考えます。ゲームシステムと言われてもナンノコッチャだと思うのですが、例えば、そもそも競争ゲームなのか、協力ゲームなのか(例えばカタンは競争、パンデミックは協力)といったものもゲームシステムですし、もっと言えば、すごろく形式なのか、カードゲーム形式なのかといった形です。

ゲームシステムは悩ましい。だから試作品をつくる

【要点】ビジネスゲームのシステム構築に悩む場合は、早く試作品を作ってみるのが最善の解決策です。ゲームシステムを考えるのはプロでも難しく模索が続く領域であるため、まずは既存のシステムをベースに試作品を作成し、テストプレイと改善を繰り返すアジャイル方式を採用して進めることを推奨します。

我々の場合は、コアな学びから、一旦既存のゲームシステムをベースに試作品を作ってみます。

例えば「メンタルヘルス ✕ すごろく」でゲームを作ってみるということです。ゲームの作り方がわからないという方の場合、このゲームシステムを考えるのが難しいのだと思います。正直、ここは僕らでも未だに模索中で、今の所の結論としては早く試作品を作ってみるのが良いということです。

作って、テストプレイしてから改善するというアジャイル方式を採用するのをオススメします。

ジレンマについて

ただし、以下の2つの要素については最初から考えておいても良いかもしれません。それがジレンマとランダム性です。

ジレンマとはあちらを立てればこちらが立たずという状態で、ゲームを面白くする1つの要素です。

具体的に、メンタルヘルス対策ゲームの「ストマネ」では、仕事を進めるとストレスが増える、ストレスを減らすと仕事も進まないというジレンマが埋め込まれています。プレイヤーはそのジレンマの中で効率的なプレイを求められるわけです。

ジレンマの要素は特にビジネスゲームにおいては重要で、会社というものはあらゆるリソースが限られていますので、その中でどこに何を配分するのかを考えることが求められます。

ランダム性について

次にランダム性についてです。具体的に言えば、ゲームにサイコロを使うかどうかなどがそれにあたります。
すごろくなどはまさにサイコロを使いますが、出目によって勝敗が左右されると思います。サイコロを振るという行為は昔から楽しさの要素として使われてきました。

例えば、弊社で取り扱っているプロジェクトテーマパークというゲームでもサイコロを用いることで楽しさを演出できています。

一方、ビジネスゲーム(特に研修で使う場合)でサイコロを使うと、「サイコロの出目で負けた。運が悪かった。」という感想を持つ方も出てきますので、本来伝えたかったコアな学びがぼやけてしまうことがあります。

ではビジネスゲームでサイコロを使うのはNGか?と言われるとそうでもありません。どういうことかというと、「サイコロの出目で負けた。運が悪かった。」といえる逃げ道を用意してあげるということも重要なのではないか?と思うからです。

メンタルヘルス対策ゲームの「ストマネ」では最悪の場合、仕事は終わらないし、かつ、メンバーも休職してしまうという結果になることがあります。もしこの状況が現実と同じ場合、心理的なショックが大きい可能性があります。

そこで、「今日はサイコロの運がついてなかっただけかもしれません」というエクスキューズを残しておくことも重要だと考えています。

このように扱うテーマがシリアスな場合は多少ランダム性を残しておくというのも良いと思います。

まとめ

【要点】ビジネスゲームの作り方におけるジレンマやランダム性の要素について解説してきました。本記事では、ゲームデザインの重要なポイントを整理し、実践的な開発のヒントをまとめています。また、記事内で紹介したマナーストーリーストマネといった具体的なビジネスゲームの事例についても、詳細ページにて情報を公開しています。

いかがでしたでしょうか。本当はもっといろいろと書きたいことがあるのですがそれはまた別の機会に。

記事内で紹介したマナーストーリー、ストマネについてはこちらをご覧ください。

マナーストーリー

ストマネ詳細ページ

大学生のリーダーシップを見極める6因子を示す採用面接とキャリア教育向け図解

【結論】大学生のリーダーシップは立教大学等の研究により「率先垂範」や「挑戦」など6因子で構成され、特に「成果志向支援」がチームワークに最も影響します。
社会人と比較すると、学生は「挑戦」や「目標管理」といった成長プロセスに関する行動が独立している点が特徴です。
新卒採用やキャリア教育では、この6因子を基準に面接評価や育成を行うことが有効です。

目次

1. 大学生のリーダーシップ行動を構成する6因子
2. チームワークに最も影響する因子は「成果支援行動」
3. 社会人のリーダーシップ行動との違い
4. 採用面接・キャリア教育での活用
5. リーダーシップ行動を学ぶ書籍
6. まとめ

リーダーシップのある学生を見極めたい」というニーズは、新卒採用の面接担当者やキャリア教育の大学関係者から多くいただくテーマです。しかし、学生のリーダーシップは社会人と違って「役職」や「実務経験」が少ないため、どの行動を見れば適切に評価できるのかが難しい領域でもあります。

本記事では、大学生のリーダーシップ行動を実証分析した木村・舘野・松井・中原(2019)の論文(日本教育工学会論文誌)を手掛かりに、大学生のリーダーシップ行動を構成する6因子、チームワークとの相関、そして社会人のリーダーシップ行動との違いを整理します。

大学の経験学習型リーダーシップ教育における学生のリーダーシップ行動尺度の開発と信頼性および妥当性の検討

木村 充*1, 舘野泰一*1, 松井彩子*2, 中原 淳*1
*1 立教大学経営学部
*2 一橋大学大学院経営管理研究科

日本教育工学会論文誌 43巻(2019) 2号

J-STAGE 論文リンク

大学生のリーダーシップ行動を構成する6因子

【要点】大学生のリーダーシップ行動は、率先垂範や挑戦、目標共有、目標管理、成果志向支援、対人志向支援の6因子で構成されています。採用面接やキャリア面談で学生のリーダーシップを見極めるには、これら6因子の具体的な行動が観察できるかを聞き出すことが出発点となります。立教大学の調査分析に基づくこの指標を活用し、学生の行動を的確に把握することが重要です。

同論文では、立教大学経営学部のリーダーシップ教育受講生を対象にした質問紙調査を因子分析し、大学生のリーダーシップ行動を以下の6因子で構成されると結論づけています。

因子 具体的な行動の例
1. 率先垂範 自ら動いて手本を示す、最初に発言する
2. 挑戦 失敗を恐れず新しいやり方を試す
3. 目標共有 チームのゴールを明示し、メンバーに共有する
4. 目標管理 進捗を確認し、ゴール達成のため軌道修正する
5. 成果志向支援 メンバーが率直に言い合える雰囲気をつくる
6. 対人志向支援 メンバーの気持ちに配慮し、相互理解を促す

大学生リーダーシップ行動 6因子の具体項目

採用面接や学生のキャリア面談で学生のリーダーシップを見極めるには、「この6因子のどの行動が観察できるか」を聞き出し・観察することが出発点になります。

チームワークに最も影響する因子は「成果支援行動」

【要点】チームワークに最も強い影響を与えるリーダーシップ因子は、成果志向支援です。この因子にはメンバーが率直に意見を交わせる雰囲気づくりが含まれており、近年注目を集める心理的安全性の概念とも深く重なっています。リーダーが場の空気を整える行動をとることが、チームの連携を活性化させる上で極めて重要であると示唆されています。

同論文では、6因子それぞれとチームワーク得点との相関分析も行っており、6因子すべてがチームワークに対して有意に正の相関を示すと報告されています。

リーダーシップ行動6因子とチームワークの相関

もっとも相関が強いのは成果志向支援で、「メンバーが率直に言い合える雰囲気をつくっている」といった項目が含まれます。これは近年注目されている心理的安全性の概念と重なる部分が大きく、リーダーの行動として「場の空気を整える」ことの重要性が示唆されます。

社会人のリーダーシップ行動との違い

【要点】大学生と社会人のリーダーシップ行動は多くの因子で重なり合う一方、大学生は「挑戦」や「目標管理」といった成長・学習プロセスに関する行動が重視され、社会人は「ポジティブなフィードバック」など相手への対人影響の精緻化が強調されるという違いがあります。学生は自らの成長志向の行動がリーダーシップと認識されるのに対し、社会人は他者への具体的な働きかけが求められます。

大学生のリーダーシップ行動を、社会人のリーダーシップ行動と比較してみます。

社会人側の参照論文として、外食チェーン店長を対象にした浜田・庄司の研究を取り上げます。

外食チェーン店長のリーダーシップ行動尺度の作成の試み

目白大学大学院心理学研究科 浜田 陽子
目白大学人間学部 庄司 正実

目白大学リポジトリ 論文リンク

同論文では、飲食店の店長のリーダーシップ行動として次の5因子が抽出されました。

1. 目標を示す
2. ポジティブなフィードバック
3. 配慮の提示
4. 自律性のサポート
5. 模範を示す

飲食店長のリーダーシップ行動 5因子

大学生×社会人の対応関係

両者の因子を対応付けると次のようになります。

社会人(飲食店長) 大学生
目標を示す 目標共有
ポジティブなフィードバック 成果志向支援(フィードバック成分)
配慮の提示 対人志向支援
自律性のサポート 成果志向支援(雰囲気づくり成分)
模範を示す 率先垂範

両者の因子はかなりの部分で重なり合っています。一方、違いも見えてきます。

社会人側は「ポジティブな」フィードバックが明記され、フィードバックの方向性が明確に定義されている
大学生側は「挑戦」「目標管理」といった、成長・学習プロセスに関する因子が独立して存在する

学生のうちは「新しいことにトライする」「自分の目標を管理する」という成長志向の行動そのものがリーダーシップと認識される一方で、社会人では「相手にどう働きかけるか」という対人影響の精緻化(ポジティブなフィードバック)が強調されるようです。

採用面接・キャリア教育での活用

【要点】大学生のリーダーシップを見極める6因子は、採用面接や大学でのキャリア教育、社会人初期の育成に幅広く活用できます。具体的には、面接設問や評価シートの設計に導入して候補者の行動特性を可視化できるほか、立教大学のような経験学習型カリキュラムを用いた学生育成プログラムや、自己分析、社会人向けのフィードバック学習にも応用が可能です。これにより、学生の強み・弱みに応じた段階的な成長支援が実現します。

この知見は、学生のリーダーシップを見極めたい採用担当者や、学生を育成したい大学・キャリアセンターの関係者に次のように活用できます。

面接設問の設計:6因子に沿った行動事例を聞き出す(例: 「ゼミやサークルで周囲を巻き込んだ経験を教えてください」→率先垂範・目標共有を確認)
評価シートの設計:6因子×3〜5段階の評価スケールで候補者を比較する
学生育成プログラムの設計:立教大学のような経験学習型カリキュラムで、6因子の行動を実際に体験させる
学生自身のセルフアセスメント:6因子を使って自分の強み・弱みを可視化し、行動計画を立てる
社会人初期の育成プログラム:大学で身につけた6因子をベースに、社会人で求められる「ポジティブなフィードバック」を新たに学習する

リーダーシップ行動を学ぶ書籍

リーダーシップの行動変容やフィードバック設計を学ぶには、同論文の中原淳氏による下記書籍が参考になります。

まとめ

【要点】大学生のリーダーシップは6つの因子で構成されており、その行動特性は社会人とも共通しているため、学生時代に培った経験はそのまま将来のキャリアに活かせます。この共通性を踏まえ、採用面接や大学におけるリーダーシップ教育の場において、これら6因子の視点を取り入れて評価や育成に役立てることが推奨されます。

大学生のリーダーシップ行動は率先垂範・挑戦・目標共有・目標管理・成果志向支援・対人志向支援の6因子で構成され、いずれもチームワークに正の相関を示します。社会人のリーダーシップ行動とはかなりの部分で共通しており、学生のうちに学び始めた行動がそのまま社会人キャリアでも通用することが示唆されます。採用面接や大学でのリーダーシップ教育に、この6因子の視点をぜひ取り入れてみてください。

「もう一度やりたい」と言われるビジネスゲーム研修を生む受講者・運営者・ゲーム構造の3視点を示すインフォグラフィック

【結論】ビジネスゲーム型研修が「もう一度やりたい」と言われる理由は、受講者が勝敗を通じて主体性を持つこと、運営者が集客や盛り上がりに安心感を得られること、そしてルールや他者との相互作用などのゲーム要素が揃っているためです。
弊社では、心理的安全性を高めるビジネスゲーム「ベストチーム」を提供しており、多くの企業で高い満足度を獲得しています。

目次

1. 受講者視点
2. 運営者視点
3. ゲーム的視点
4. よくある質問
5. まとめ

弊社では企業経営を疑似体験できるビジネスゲームを用いた研修を実施していますが、それ以外にもプログラミングを疑似体験できるゲームや、ゲームを使わない座学的な研修も実施しています。

このうち、お客様から「もう一度やりたい!」と言われるビジネスゲームがいくつか存在します。
研修で「もう一度やりたい」と言われることは珍しいことだと思いますが、事実として、同じコンテンツを同じメンバーに実施するお客様が存在します。

昨日も財務・会計を学ぶビジネスゲームを体験いただいたお客様から「このゲームは毎年お正月とかにやりたい」と言って頂きました。

「もう一度やりたい」と言われるビジネスゲーム研修の特徴を3つの視点から考えてみたいと思います。

1.受講者視点

まずは、受講者の視点で考えてみたいと思います。
ビジネスゲーム研修はその名の通りゲームですから、「勝敗」が付きます

ちなみに、フランスの思想家ロジェ=カイヨワは「遊びと人間」という本の中で遊びを「競争」「模倣」「偶然」「めまい」の4つに分類しています。
※これに関しては別記事にしたいと思います。

ビジネスゲーム研修では「競争」の要素が面白く感じてもらうことが多く、勝った負けたという勝敗が、「次やったら勝てる!」「もっとこうすればさらに伸びる!」
という気持ちを生み出すのだと思います。

その結果、受講者から「もう一度やりたい!」という声を頂くことがあります。

2.運営者視点

2つめは研修を企画する運営者の視点で考えてみます。
研修を企画・運営する担当者の方の心配事はいくつかありますが、特に「人が集まるか」「盛り上がるか」「学びがあるか」という3点が挙げられると思います。

※盛り上がるかというのは満足度が高いか、受講者が主体的に参加してくれているか、というものを含むものと思って頂ければ幸いです

コンテンツ(特にそのタイトル)に魅力が無いと当日キャンセルなど人が集まらないという事態になりますし、研修内容がつまらない、または実際の現場で使えそうなものがない、となると学びに繋がりませんし、研修実施中にあまりにも「しーん」としていると盛り上がりに欠けてしまいせっかく時間を割いて来てもらったのが申し訳なく感じてしまいます。

しかし、ビジネスゲーム研修はゲームと伝えることで「お、なんか今日は面白そうだな」という印象をあたえることができますし、前述のとおり、勝敗がつくこともあり、少なくとも座学型の研修よりは盛り上がることは必至です。

「学び」に関してはゲームにもよるのですが、「知識」というよりは「経験」を通した学びが得られます。

研修実施後、多くの担当者の方から「みんな楽しそうで、盛り上がっていて良かったです。
発表を聞いているとちゃんと学びもあるようで安心しました。

という声を頂くことが多いのがビジネスゲーム型研修の特徴です。

その結果、運営者から「もう一度やりたい!」という声を頂くことがあります。

弊社製品の満足度についてはこちらからご覧いただけます。

弊社製品の満足度を確認する

3.ゲーム的視点

最後はゲームという視点で考えてみます。
全てのゲームが「もう一度やりたい」と言われるわけではないというのも事実です。

では、「もう一度やりたい」と言われるゲームとはどのようなものでしょうか。

瀧本哲史さんの著書「戦略がすべて」の中でゲームについてこのような記述があります。

大きなルールは決まっているが、
勝つ方法は一直線ではなく
他のプレイヤーとの相互作用があって、
多少、確率、運の要素があるようなゲームが望ましい。

瀧本さんはゲームが戦略脳を育み、中でも上記の定義から「麻雀」を薦めていますが、弊社の中でも「もう一度やりたい」と言われるゲームは上記の条件を満たしていると思います。

逆に言えば、ルールが明確で、正解があり、個人で進めていくゲームは「知識の定着」には効果があると思いますが、「もう一度やりたい」とはなりづらいようです。
(弊社で言えばフローチャートパズルがこれにあたります)

ベストチーム
弊社ではベストチームなどがこちらの条件に該当します。

心理的安全性を知り、高めるゲーム型研修「ベストチーム」

2026年4月現在、ベストチームの導入社数は約180社、受講者満足度は4.91(5点満点)となっております。


※最新のユーザー満足度についてはこちらからご覧いただけます。

たしかに、瀧本さんの条件を満たしているビジネスゲームの満足度は高いようです。

よくある質問

Q. ビジネスゲーム型研修「ベストチーム」の対象人数や所要時間はどのくらいですか?

ベストチーム(カード版)は、15名から100名以上の大人数に対応しており、所要時間は1時間半から3時間程度です。受講者の人数や研修の目的に合わせて柔軟に調整して実施いただけます。

Q. ベストチームはオンラインでの実施に対応していますか?

現在、ベストチーム(カード版)はオンラインでの実施には対応しておらず、対面でのリアルなコミュニケーションを重視したカードゲーム形式となっています。対面ならではの活発な相互作用を体験いただけます。

Q. 研修の費用や見積もりについて教えてください。

ベストチーム(カード版)の導入費用やレンタル料金などの詳細な金額については、時期や受講人数によって異なるため、資料請求やお問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。

Q. なぜビジネスゲーム研修は座学よりも盛り上がるのですか?

ビジネスゲームには勝敗という「競争」の要素があり、受講者が主体的に関わるためです。心理的安全性を高めるベストチーム(カード版)では、他者との相互作用や適度な運の要素も加わり、より深い学びと盛り上がりを両立できます。

Q. ベストチームを導入することでどのような効果が期待できますか?

受講者がゲームを通じて心理的安全性の重要性を体感し、チームビルディングやコミュニケーションの活性化に繋がります。多くの企業で高い満足度を得ているベストチーム(カード版)は、経験を通した深い学びを提供します。

Q. 研修の企画が初めてでもスムーズに運営できますか?

はい、運営者向けのサポートや分かりやすいルール設計がなされているため、初めての方でも安心して実施いただけます。盛り上がりと学びが両立するベストチーム(カード版)は、企画担当者の負担を軽減する工夫が施されています。

まとめ

【要点】「もう一度やりたい」と言われるビジネスゲーム型研修は、受講者には勝敗によるモチベーションを、運営者には安心感をもたらす特徴があります。また、ゲームとしては大きなルールの中で勝つ方法が一直線ではなく、他者との相互作用や多少の運の要素があるものが望ましいです。詳細な資料や無料のサンプル貸し出し、お見積りをご希望の方は、下記よりお気軽に資料請求をお願いします。

ビジネスゲーム型研修が「もう一度やりたい」と言われる理由は受講者としては「勝敗」があり、「次は勝ちたい!」と思うこと、運営者としては「人が集まり」「盛り上がり」「学びがある」という安心感が得られること、ゲームとしては、以下のような条件を満たすこと、と言えます。

大きなルールは決まっているが、
勝つ方法は一直線ではなく
他のプレイヤーとの相互作用があって、
多少、確率、運の要素があるようなゲームが望ましい。

スライド形式での説明資料はこちらをご覧ください。

詳細な資料や、無料のサンプル貸し出しをご希望の方はまずは下記より資料請求をお願いします。

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その他、実施時期や受講人数など(300文字以内)

ファシリテーターの6つの役割|動機付け・場の空気づくり/適切な説明・教示/コミュニケーションの支援/状態把握/不測の事態への対応/プログラム調整の図解

【結論】研修におけるファシリテーターはマニュアルがあれば誰でも実施可能ですが、安斎氏らの学術論文によると「メイン活動」と「振り返り」のフェーズで多くの人が困難を感じています。
具体的には、空気づくりや適切な説明、不測の事態への対応など6つの役割が求められ、特にビジネスゲーム研修ではルール説明と現実社会に繋げる振り返りの難易度が高くなります。

目次

1. ファシリテーターが困難さを感じる2つのフェーズ
2. ファシリテーターの難しさからみる6つの役割
3. 研修ファシリテーターに特徴的な困難さ
4. まとめ

今回はファシリテーターの役割というテーマで書いてみたいと思います。
弊社のビジネスゲームへお問い合わせいただくお客様の中でも「ファシリテーションは誰でもできますか?」というご質問をいただくことがあります。

※注意点として、ここでいうファシリテーターとは、研修講師のイメージに近いものと考えてください。いわゆる、会議におけるファシリテーターとは意味合いが異なります

ということで、研修におけるファシリテーターは誰でもできますか?という意味という前提で、もちろん弊社ではゲームキットと合わせてパワーポイント形式の運営スライド・マニュアルや、動画形式のファシリテーター向けマニュアルをご用意しておりますので、事前準備は必要ですが、基本的にはどなたでもファシリテーションを行うことは可能です。(下図参照)

しかし、このような質問をいただくことがあるということは、やはりファシリテーターを行うことへの困難さを感じている方が多いということでしょう。そこで今回は、下記の論文を紹介しながらファシリテーターの役割と困難さについてまとめてみたいと思います。

ワークショップ実践者のファシリテーションにおける困難さの認識
安斎勇樹 青木翔子 2018

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjet/advpub/0/advpub_42073/_pdf/-char/ja

論文では企業内人材育成を始めとして、学校教育やまちづくりなど様々なシーンでファシリテーションを行っている初心者〜熟達者(これは経験年数で区切っている)ファシリテーターにアンケートとインタビューを実施し、ファシリテーションのどこに困難さを感じているかを調査し、その結果をまとめています。

ファシリテーターが困難さを感じる2つのフェーズ

ワークショップ 困難さ
画像参照:ワークショップ実践者のファシリテーションにおける困難さの認識 安斎、青木 図1より

まず、ワークショップ全体を開始前、イントロダクション、アイスブレイク、サブ活動、メイン活動、発表、振り返り、終了後の8つのフェーズに区切った場合、上図の通り、メイン活動と振り返りにより困難さを感じている方が多いことがわかります。

ちなみに、弊社のビジネスゲーム研修の場合は、ファシリテーターの方が難しさを感じるのは、ゲームのルールの説明にあたるサブ活動と、ゲームと現実社会をつなげる振り返り部分になると思います。

ゲームのルールは間違って伝えたり、伝え漏れたりすると場合によってはゲームとして成立しない場合がありますし、振り返りが弱いと「楽しかった」だけで終わってしまいます。
※ただし、楽しい研修は気づきが多いということがわかっています。詳しくは過去記事を御覧ください。

「楽しい研修」は学べるのか?データで見る「楽しさ」と「気づき」

ファシリテーターの難しさからみる6つの役割

【要点】ファシリテーターに求められる理想の役割とは、実践者が直面するファシリテーションの困難さの6つのグループから紐解くことができます。具体的には、場を暖めてわかりやすい説明を行い、適度な介入でコミュニケーションを活性化させ、参加者の状態を把握しながら、その様子を発表時のコメントと絡めて納得感を醸成し、状況に合わせてプログラムや時間をリアルタイムで調整していく役割が求められます。

論文ではさらに、ファシリテーターへのインタビューを通して、ファシリテーションの困難さを6つのグループにまとめています。

1.動機付け・場の空気づくり
⇒雰囲気作りや、参加者との信頼関係づくりなど

2.適切な説明・教示
⇒参加者に合わせたイントロダクション、伝え方など

3.コミュニケーションの支援
⇒議論が意図した方向に進まない、参加者の意見を引き出せないなど

4.参加者の状態把握
⇒議論の様子を把握できないなど

5.不測の事態への対応
⇒参加者の質問に答えられない、発表に対するコメントが思い浮かばないなど

6.プログラムの調整
⇒時間調整を行うことが難しい、プログラムをリデザインすることが難しい

その他
⇒自分の心理的な課題を制御できないなど

引用:ワークショップ実践者のファシリテーションにおける困難さの認識 安斎、青木 表3より

個人的にはこの6つのグループが理想のファシリテーターに求められる役割なのではないか?と思いました。

具体的には、メイン活動に向けて場を暖め、わかりやすい説明で、適度な介入でコミュニケーションを活性化し、参加者の状態を把握し、その様子を発表時のコメントと絡めて話し納得感を醸成し、場の盛り上がりに合わせてプログラムや時間をリアルタイムで調整していく、という形でしょうか。

研修ファシリテーターに特徴的な困難さ

また、研修などの企業内人材育成のファシリテーターの特徴としては、他のシーンのファシリテーターに比べて動機付け・場の空気づくりに困難さを感じていること下図を見るとがわかります。


画像参照:ワークショップ実践者のファシリテーションにおける困難さの認識 安斎、青木 図2より

これは、

参加が強制であるがゆえに根本的に主体的な学習活動を促すことへの困難さが認識されていたことが読み取れる.

とされています。

つまり、研修ファシリテーターにはより一層、動機付け・場の空気づくりのスキルが求められるということでしょうか。

この点で言えば、弊社が提供しているビジネスゲームゲームというコンテンツ自体が人をワクワクさせる力を持っていると思いますので、ファシリテーターが無理に盛り上げなくても、ゲームで使う備品を見せ、ルールを説明する中で、他のワークショップ型研修と比べると自然と場を温めることがやりやすいと思います。

弊社が提供しているビジネスゲームの一覧はこちらからご覧いただけます。

ビジネスゲーム一覧

まとめ

【要点】ファシリテーターが直面する困難さから紐解く役割には、場の空気づくりや適切な説明、コミュニケーション支援、状態把握、不測の事態への対応、プログラム調整の6つがあります。これら実践者の抱える課題や詳細な分析については、安斎勇樹氏と青木翔子氏による学術論文や、堀公俊氏と加藤彰氏の著書であるワークショップ・デザインの関連書籍から深く学ぶことができます。

いかがでしたでしょうか。今回はファシリテーターが感じている困難さから、ファシリテーターの役割について考えてみました。

1.動機付け・場の空気づくり
⇒雰囲気作りや、参加者との信頼関係づくりなど

2.適切な説明・教示
⇒参加者に合わせたイントロダクション、伝え方など

3.コミュニケーションの支援
⇒議論が意図した方向に進まない、参加者の意見を引き出せないなど

4.参加者の状態把握
⇒議論の様子を把握できないなど

5.不測の事態への対応
⇒参加者の質問に答えられない、発表に対するコメントが思い浮かばないなど

6.プログラムの調整
⇒時間調整を行うことが難しい、プログラムをリデザインすることが難しい

その他
⇒自分の心理的な課題を制御できないなど

引用:ワークショップ実践者のファシリテーションにおける困難さの認識 安斎、青木 表3より

詳細についてはぜひ、論文も御覧いただけばと思います。

ワークショップ実践者のファシリテーションにおける困難さの認識
安斎勇樹 青木翔子 2018

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjet/advpub/0/advpub_42073/_pdf/-char/ja

また、ワークショップデザインについてはこちらの書籍もおすすめです。

相談を受けたときのメンタルヘルス・ファーストエイド5原則を示すインフォグラフィック

みなさんは友人や部下からうつ病かも?と思われるような相談をされたらどうしますか?
正直、ちょっと焦ってしまうのではないでしょうか?

研究によれば、大学生は自分のうつ病の症状について専門家よりも友人に援助を要請しやすいことがわかっています。大学生に限らず社会人もそうかもしれません。

経験がないからわからないな・・・専門家じゃないし知識もないよ・・・下手なこと言って追い込んじゃったら・・・というのが正直なところかと思います。

メンタルヘルス・ファーストエイドとは?

そんな友人・部下にうつ病と思われる相談を受けたときに役立つのがメンタルヘルス・ファーストエイドです。

メンタルヘルス・ファーストエイドの定義は以下のようになっています。

メンタルヘルス・ファーストエイドとは
専門家からの援助を受ける前に身近な友人のような非専門家から提供される初期援助
Kichener & Jorm 2002

メンタルヘルス・ファーストエイドについてはメンタルヘルスファーストエイドジャパンという組織が書籍も出しています。

メンタルヘルスファーストエイドジャパン HP

「り・は・あ・さ・る」の5原則

【要点】メンタルヘルス・ファーストエイドの具体的な実践方法として、「り・は・あ・さ・る」の5原則が定義されています。これは、自傷・他害のリスク評価、批判のない傾聴、安心と情報の提供、専門家への相談推奨、そしてセルフ・ヘルプの促進という5つのステップから構成される行動指針です。この原則に沿って対応することで、うつ病の相談を受けた際に適切な初期支援を行うことが可能となります。

では、具体的にどうようにしたらメンタルヘルス・ファーストエイドができるのでしょうか?その答えは「り・は・あ・さ・る」の5文字で表されます。

:自傷・他害のリスクをチェックする

判断(はんだん)、批判をせずに話を聞く

安心(あんしん)と情報を与える

:専門家のサポートを得るように勧める

自分でできる対処法(セルフ・ヘルプ)を勧める

あなたが男性でかつ、相談された時の注意点

もしあなたが男性で、友人・部下から相談された時には少し注意が必要です。

大学生を対象とした研究では、男性ほど非推奨のメンタルヘルスファーストエイド方略を取る可能性が高いことがわかっています。

非推奨のメンタルヘルスファーストエイド方略とは以下のようなことを言います。

・しっかりしろときつく言う
・問題を紛らわすために飲酒を勧める
・軽快するまで無視する
・元気づけるために友達を集める
・問題から気をそらさせるために忙しくさせる
・もっと体を動かすように促す

もしこのような言動を取っているとしたら、先ほど紹介した「り・は・あ・さ・る」の5原則を活用するように変更してください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
友人や部下からうつ病かも?と思われるような相談をされたら、「り・は・あ・さ・る」の5原則を思い出しサポートしてあげてください。

:自傷・他害のリスクをチェックする

判断(はんだん)、批判をせずに話を聞く

安心(あんしん)と情報を与える

:専門家のサポートを得るように勧める

自分でできる対処法(セルフ・ヘルプ)を勧める

さらに詳しく知りたい方こちらの書籍もオススメです。

参考論文
大学生のうつ病に対する認知およびファーストエイド方略
河合 輝久 東京大学

ゲームを用いたメンタルヘルス研修について

【要点】メンタルヘルスについて主体的に学ぶ手法として、ビジネスゲームと呼ばれる研修用のゲームを用いた研修が注目されています。この研修は、受講者がグループワーク形式で楽しみながら実践的な知識や対応方法を身につけられる点が特徴です。座学だけでは得られない気づきを促し、職場でのメンタルヘルス対策やファーストエイドの理解を深める効果的なアプローチを提供します。

なお、弊社ではビジネスゲームと呼ばれる研修用のゲームを用いたメンタルヘルス研修を行っています。

詳しくはこちらをご覧ください。

グループワーク形式で学べるメンタルヘルス研修3選

ファシリテーション進化論|発言のファシリテーションから論点のファシリテーションへ段階的に高度化する4ステップの図解

【結論】元BCGの高松智史氏が動画「コンサルの心得99」で提唱する「ファシリテーション進化論」では、スキルを5つの段階に分類しています。
単に発言の順番を整理するだけでなく、議論の脱線を防ぐ「論点構造のファシリテーション」を実践することが会議の活性化において極めて重要です。
この高度なファシリテーションを実践するためには、議論の構造を整理するロジカルシンキングの能力が欠かせません。

最近見たYoutubeの動画でとてもおもしろい動画があったのでご紹介します。
個人的には動画内のファシリテーション進化論というパートがとても学びがあり、シェアさせていただきます。
※この記事はほぼ個人ブログのようになっています。弊社サービスとは関係ありません

それがこちら。

コンサルの心得99。
コンサルタントも、事業会社の皆さんも、この1本動画を見て、
自分の成長を感じ、成長のヒントを見つけてください。

考えるエンジンちゃんねる

https://www.youtube.com/channel/UCKYzluBJPjqoIHOX7Nl8oZA

こちらのチャンネルは元BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)高松智史さんによるチャンネルで、高松さんは下記のような書籍も出されています。

上記の動画は高松さんがBCGでコンサルタントをされていたときの学びを共有してくださっている動画となります。
タイトルの通り、99項目あり、かなり長いのでここではファシリテーションについての1項目だけ紹介したいと思います。

それが動画の開始から1時間7分程度経ったこのあたりです。
※下の動画は1時間7分後からスタートします。

ファシリテーション進化論というスライドで、個人的に良い気づきがありました。
それが、発言のファシリテーションと、論点のファシリテーションという大きく2つの項目でわけているところです。

動画の中ではさらに細かく以下の5つにわけています。

1.発言の「順番」をファシリテーション
2.発言の「反対意見」をファシリテーション
3.議題の「論点構造」をファシリテーション
4.参加者の「論点構造の違い」をファシリテーション
5.全てを予め予言するファシリテーション

最後の「全てを予め予言」するファシリテーションはもはや神業だと思いますのでここでは無視します。

会議などでファシリテーションを担当する場合、どこまで意識できているでしょうか。
1の発言の順番については意識できているケースが多いと思います。まだ発言していない人に話を振ったり話が長すぎる場合には回収したりといった行動です。

2の発言の反対意見についてもうまくできているケースが多いと思います。Aというアイデアについて反対意見はありますか?と聞いてみるという行動です。

3つ目の議題の論点構造については若干怪しくなってくるのではないでしょうか?
というのは、2の反対意見のファシリテーションを行うとそこで収集がつかなくなるということがあるからです。
ここで大事なのが議題の論点構造のファシリテーションとなります。
たとえば、ホワイトボードに議題の構造を書き出して、「あれ?今、どこの部分を話し合ってるんでしたっけ?」と質問するなどして明後日の方向に進みそうな議論を修正するといった行動です。

すると、そもそも参加者ごとに構造自体の認識が違うことに気づくことがあります。これが4つめの参加者の論点構造の違いをファシリテーションする、につながってくると思います。

したがって、ファシリテーション進化論のポイントとしては3の論点構造のファシリテーションができるかどうかになるのではないでしょうか。そのためにはファシリテーター自体が論点構造を理解している(または叩き出しを出せる)必要があり、2つ目までの発言のファシリテーションよりも難易度がぐっと上がると思います。

となると、やはり高度なファシリテーションスキルにはロジカルシンキングが欠かせない気がしてきます。

まとめ

【要点】本記事では、高松さんの動画「コンサルの心得99」からファシリテーション進化論の部分を解説しました。コンサルタントや事業会社で働くすべての人にとって、自身の成長を感じ、さらなる成長へのヒントを見つけられる非常に学びの多い内容となっています。YouTubeの考えるエンジンちゃんねるで公開されている動画全編とあわせて、日々の業務やキャリアアップにお役立てください。

今回は高松さんの動画「コンサルの心得99」からファシリテーション進化論の部分を紹介しました。
非常に学びの多い動画ですのでぜひ時間を見つけて全編ご覧になってください。

コンサルの心得99。
コンサルタントも、事業会社の皆さんも、この1本動画を見て、
自分の成長を感じ、成長のヒントを見つけてください。

考えるエンジンちゃんねる

https://www.youtube.com/channel/UCKYzluBJPjqoIHOX7Nl8oZA

内省を軸にした経験学習の4ステップ循環で変革型リーダーが育つことを示すインフォグラフィック

【結論】八木(2010)の中小企業後継経営者を対象とした実証研究によると、変革型リーダーシップは生まれつきの才能ではなく、日々の内省経験によって後天的に伸ばせます。
具体的には、経験学習尺度における「内省的省察」の4項目を意識し、KPTやYWTなどのフレームワークを用いて思考の歪みを捉え直すことが有効です。
他者との対話を取り入れながら、経験を振り返る習慣がリーダーの成長を促します。

目次

1. 結論:変革型リーダーシップは「内省経験」で伸びる
2. そもそも「内省」「リフレクション」とは何か
3. 内省経験の中身:経験学習尺度の「内省的省察」に学ぶ
4. 2026年のリーダーに内省が不可欠な3つの理由
5. 明日から使える内省フレーム:KPT・YWT・リフレクティブサイクル
6. 組織に内省文化を根づかせる3つの仕掛け
7. リーダー自身が内省を続けるための5つの問い
8. まとめ
9. 合わせて読みたい書籍

「変革型リーダーシップを身につけたい」「部下を動かせるリーダーに成長したい」――そう考えたとき、研修や読書よりも先に見直すべきことがあります。それは日々の経験を内省(リフレクション)する習慣です。

本記事では、八木(2010)の実証研究をもとに、変革型リーダーシップと内省経験の関係をわかりやすく整理します。あわせて、2026年現在のマネジメント現場で活用できる内省の具体的な進め方、1on1やEQとの接続、日常業務で実践できるリフレクションの問いまでをまとめました。管理職育成・次世代リーダー育成を担当されている方の参考になれば幸いです。

結論:変革型リーダーシップは「内省経験」で伸びる

最初に結論をお伝えします。八木(2010)の中小企業後継経営者を対象とした実証研究では、内省経験が変革型リーダーシップに対して大きな正の影響を持つことが示されています。

参考にした論文は以下です。

内省経験が変革型リーダーシップに与える影響 ―中小企業後継経営者を対象とした実証分析を通じて―
八木(2010)
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/ronbun1005_04.pdf

論文によれば、変革型リーダーは内省を通じて現実に起きている事象と、自分が持っているメンタルモデル(思考の枠組み)との間にある歪みを察知します。そして、その歪みに気づいた結果、現実に合わせて自分自身のメンタルモデルを変革できる――これが変革型リーダーを生み出すメカニズムだと説明されています。

つまり、変革型リーダーシップは「生まれつきのカリスマ性」ではなく、日々の経験を意識的に振り返り続けた結果として形成される後天的な能力と考えられるのです。

前提となる「変革型リーダーシップの4つの要素(4つのI)」については、

変革型リーダーシップとは?4つのI(アイ)をわかりやすく解説

こちらの記事で詳しく解説しています。

そもそも「内省」「リフレクション」とは何か

内省(リフレクション)とは、自分の経験・判断・感情をいったん立ち止まって捉え直し、そこから学びや課題を引き出す思考プロセスのことです。単なる「反省」や「後悔」とは異なり、感情的な自責に終わらせず、次の行動につながる解釈に変換する点に特徴があります。

経営学者のドナルド・ショーンは、内省を「省察的実践」と呼び、行動しながら省察する行為の中の省察(reflection-in-action)と、行動の後に振り返る行為についての省察(reflection-on-action)の2種類に分けました。変革型リーダーは、どちらも高いレベルでこなせる人物と言えます。

種類 タイミング リーダーの行動例
行為の中の省察 判断・行動の最中 会議中に「この進め方で本当に合っているか」と自問し、軌道修正する
行為についての省察 行動の後 1日の終わりに意思決定を振り返り、前提の歪みを見つける
メタ省察 長期(週次・月次) 「自分の判断の癖・価値観」そのものを問い直す

内省経験の中身:経験学習尺度の「内省的省察」に学ぶ

では、変革型リーダーが行っている「内省経験」とは、具体的にどのような行動でしょうか。

八木(2010)では内省経験を測定するために著者自身の「内省経験尺度」を用いていますが、その詳細項目は本論文中には記載されていません。そこで本記事では、近い概念を測定している経験学習尺度の「内省的省察」を手がかりに、内省の中身を具体化します。

経験学習尺度における内省的省察の設問は、以下のとおりです。

内省的省察の4項目
・必要な情報を集めて、経験したことを分析する
・経験したことを多様な視点から捉え直す
・自分の仕事の成功や失敗の原因を考える
・様々な意見を求めて自分の仕事のやり方を見直す

これら4つの行動を普段から取れている人は、経験学習尺度上で業務能力が高く、変革型リーダーシップにも大きな影響を与えると考えられます。

重要なのは、どれも「1人で悶々と考える」ものではないという点です。必要な情報を集める、多様な視点から捉え直す、他者に意見を求める――つまり内省とは他者との対話を伴った再解釈の作業なのです。

経験学習尺度の全項目については、

経験学習の診断を行うための16項目の尺度

で詳しく紹介しています。

2026年のリーダーに内省が不可欠な3つの理由

変革型リーダーシップ研究自体はバス(Bass)らによる1980年代の知見ですが、2020年代以降の経営環境では「内省できるリーダー」の重要性がさらに高まっています。理由は大きく3つあります。

理由1:答えのない時代にはメンタルモデルの更新が必須

VUCA・生成AI・人的資本経営・リスキリングといったテーマが連続的に押し寄せる現在、過去の成功体験をそのまま持ち越すと判断を誤るリスクが大きくなっています。内省はまさに「自分の前提を疑い、アップデートする」作業であり、変化の激しい時代のリーダーにとって必須のOSと言えます。

理由2:心理的安全性と1on1の普及で「問いかけるリーダー」が標準になった

心理的安全性の概念が浸透し、1on1ミーティングが多くの企業で制度化されました。メンバーに「どう感じた?」「次はどうしたい?」と問いかけ、相手の内省を引き出すことがリーダーの中心的な仕事になっています。リーダー自身が内省の経験値を積んでいなければ、他者の内省を支援することはできません。

関連して、

エドモンドソン教授による心理的安全を診断する7つの質問

も合わせてご覧ください。

理由3:EQ(感情知性)とリフレクションは一体で機能する

EQ(感情知性)の4領域は「自己認識・自己管理・社会的認識・人間関係の管理」ですが、出発点となる自己認識を支えるのは日々の内省です。自分の感情や反応パターンに気づけない人は、他者の感情にも鈍感になり、変革型リーダーに不可欠な「個別配慮」が弱くなります。

明日から使える内省フレーム:KPT・YWT・リフレクティブサイクル

内省を習慣にするには、型を持つのが近道です。代表的な3つのフレームを紹介します。

KPT(Keep / Problem / Try)

アジャイル開発から広まった振り返り手法で、継続すべきこと(Keep)/課題(Problem)/次に試すこと(Try)の3つに分けて書き出します。短時間で実施でき、チーム全員の視点を集めやすいのが特徴です。週次の1on1やチーム定例の最後5分でも機能します。

YWT(やったこと・わかったこと・つぎにやること)

日本で普及している簡易フレームで、事実→気づき→次の行動という流れで内省を進めます。新入社員研修から経営会議まで幅広く使え、「わかったこと」を深く掘るほど変革型リーダーシップに近づく内省になります。

リフレクティブサイクル(ギブスの6段階)

看護教育を中心に発展したモデルで、記述・感情・評価・分析・結論・行動計画の6段階で内省を深めます。感情を言語化するステップが入っているため、EQ育成との相性が良いフレームです。

リフレクティブサイクルの詳細は、

振り返りのモデル「リフレクティブサイクル」とは

をご覧ください。

組織に内省文化を根づかせる3つの仕掛け

個人の努力だけで内省を習慣化するのは困難です。変革型リーダーを育てたい組織は、内省を「仕組み」として埋め込む必要があります。

仕掛け1:1on1で内省の問いを標準化する

上司から一方的に指導するのではなく、「この1週間で一番エネルギーを使った場面は?」「そこで自分の前提が揺さぶられたことはあった?」といった内省を促す問いをテンプレート化します。上司が問いを読み上げるだけでも、メンバーの内省経験尺度は確実に積み上がります。

1on1の進め方の基本は、

シリコンバレーでは当たり前?「1on1」のやり方

を参考にしてください。

仕掛け2:週報・日報をリフレクション媒体として再設計する

進捗報告だけの週報は情報量のわりに学習効果が低くなりがちです。「やったこと」に加えて「判断に迷ったこと」「自分のメンタルモデルが揺らいだ瞬間」を書く欄を設けると、週報そのものが変革型リーダー育成装置になります。

詳しいやり方は、

週報を活用したリフレクション(振り返り)のやり方

で紹介しています。

仕掛け3:チームでの振り返りを短サイクルで回す

個人の内省には限界があります。他者からのフィードバックが入ることで、自分では気づけないメンタルモデルの歪みを発見できます。プロジェクト終了時だけでなく、2〜4週間の短サイクルでチーム振り返りを設計するのが効果的です。

この点については、

チームでの振り返りが活動の改善につながるという実験結果

も参考になります。

リーダー自身が内省を続けるための5つの問い

最後に、変革型リーダーを目指す方が1日の終わりに自分に投げかけたい5つの問いを紹介します。経験学習尺度の内省的省察4項目を参考に、管理職向けに再構成したものです。

①今日の意思決定の中で、最も前提に依存していたのはどれか?
②その前提は、現実のデータや現場の声と一致していたか?
③失敗・停滞があったとき、原因をメンバーではなく自分の行動に戻して説明できるか?
④今日、自分と異なる意見を持った相手に、何個の質問を返せたか?
⑤明日、自分のメンタルモデルを1つだけ更新するとしたら、どれを変えるか?

5問すべてを毎日書く必要はありません。週のうち2〜3日、3分でもノートやメモアプリに書き留める習慣を持つだけで、半年後の自分のリーダーシップ行動には明確な差が生まれます。

リーダーシップ理論を俯瞰的に整理したい方は、

リーダーシップ理論とは?代表的な10理論を一覧でわかりやすく解説

もあわせてご覧ください。

内省フレームワーク比較

フレーム 出典・特徴 適した場面
KPT Keep/Problem/Try の3分類で短時間に整理 週次・スプリント振り返り
YWT やったこと/わかったこと/次にやること 経験学習のPDCA起点
リフレクティブサイクル Gibbs の6段階で感情も含め深く内省 1on1・研修の節目

まとめ

本記事では、変革型リーダーシップと内省経験の関係について、八木(2010)の研究をベースに整理しました。ポイントをまとめます。

・変革型リーダーシップは、内省経験によって大きく伸ばすことができる後天的な能力である
・内省とは、経験を分析し、多様な視点で捉え直し、他者の意見を求め、仕事のやり方を見直すという対話を伴った再解釈の作業
・2026年のVUCA・心理的安全性・EQの時代では、内省できるリーダーほど組織変革をリードできる
・KPT・YWT・リフレクティブサイクルなどの型を持つと、内省は習慣化しやすい
・組織としては1on1・週報・チーム振り返りを仕組みとして設計することで、変革型リーダーを継続的に輩出できる

明日の1日の終わり、3分だけノートを開いて「今日の自分の前提は現実と合っていたか?」と自問してみてください。その積み重ねが、変革型リーダーへの最短ルートです。

合わせて読みたい書籍

【要点】変革型リーダーに求められる内省を実践するための、具体的なメソッドが書かれたおすすめの書籍です。本書では、自分とチームの成長を加速させるための内省の技術が紹介されています。著者の熊平美香氏による、内省を日々の行動に落とし込むための実践的なアプローチを学ぶことができます。

変革型リーダーに不可欠な「内省」を実践メソッドに落とし込んだ一冊。5つの認知プロセスと対話フレームが具体的です。

ゲームで学ぶ異文化コミュニケーション研修(バーンガとNASAゲーム)|2ゲーム比較インフォグラフィック

【結論】ゲームを用いた異文化コミュニケーション研修では、バーンガやNASAゲームなどのビジネスゲームを活用し、外国人社員との協働や多様な価値観の相互理解を疑似体験できます。
多くの企業で導入され高い満足度を得ているこれらの研修は、講師派遣だけでなく、社内講師で実施可能なゲームキットのレンタルも提供しています。
英語対応や多様性理解の第一歩として効果的です。

ここ数年で弊社には外国人社員も一緒にできる研修コンテンツはありますか?というお問い合わせがいます。

これは単に英語で研修できますか?という言語の問題と、異文化コミュニケーションの問題の2つの要素があると感じています。

異文化コミュニケーションの意味合いとしては外国人社員と日本人社員との価値観の違いによるコミュニケーションギャップを解消したいというのはもちろん、日本人同士でも、ジェネレーションギャップダイバーシティを意識した異文化コミュニケーションが求められているのだと思います。

そこで、弊社では、ビジネスゲームと呼ばれる教育研修用ゲームを用いて異文化コミュニケーション研修を提供しています。

なぜ、ゲームを用いるのか、といえば、ゲームを行いながら異文化コミュニケーションの疑似体験ができるからです。例えば、日本人しか参加していない研修だとしても異文化コミュニケーションを体験できる仕掛けがゲームに含まれています。

ここからは異文化コミュニケーション研修で使える具体的なゲームを紹介したいと思います。

1.バーンガ

1つめのゲームはバーンガというゲームです。このゲームは普段は常識だと思っていたことや、ルールなどの前提が通用しない時にどのような気持ちになったり、どのように対応できるのか(すべきなのか)を体感するゲームとなっています。

ゲームの概要は以下のようになっています。

1.4グループ(各グループ4〜6名)以上で実施します。
2.各グループではトランプゲームを行います。(ただし、無言で)
3.各グループの1位と最下位は別のグループに移動します。
4.またトランプゲームを行い、2と3を繰り返します。


※画像は弊社提供のバーンガのゲームセット

単にグループを移動しながらトランプゲームを行うだけなのですが、異文化コミュニケーションを体験できる仕掛けがあります。実は各グループで行うトランプゲームのルールが微妙に異なるということ、そして、それはあらかじめ知らされていません。また、ゲームは無言(ジェスチャーは可能)ということです。

したがって、各グループの1位と最下位が別のグループに移動すると、自分たちのグループとは異なったルールでゲームが行われます。するとこんなことが・・・

株式会社HEART QUAKE

参加者A

え?そのカードは出せないでしょ!!

元々そのグループに居た人に怒られてしまうのです。
一方、相手は他のグループから来た人はビックリして反論しようとします。

お客様

参加者B

え?なんで?出せるでしょ!
前のグループでは出せたよ!

しかし、この会話を無言(ジェスチャーのみ)で行わなければならないため、うまく指摘できません。このような状況下でどのような行動を取るか、がポイントになります。

ゲーム後の解説では上図のコンフリクトマトリクスを紹介します。ゲーム中、自分の意見をジェスチャーで主張せず、相手のルールに合わせようとする人は右下の適応行動と言えます。

一方、自分の意見をジェスチャーで主張し、相手のルールと戦う人は左上の競争行動と言えます。できれば右上の協働が望ましいわけですが、普段のコミュニケーションでもゲーム中と同じような行動を取っていないかを振り返っていただきます。

2025年12月現在、バーンガの導入社数は約30社、受講者満足度は5.0(5点満点)となっております。

弊社ではバーンガの実施にあたって、講師派遣型はもちろん、実施キット(パワーポイント資料含む)の貸出による社内講師での実施が可能です。

バーンガについての詳細はこちらもご覧ください。

異文化コミュニケーションを体験するゲーム「バーンガ」

英語版の資料の提供もございます。

2.NASAゲーム

NASAゲーム

2つめはNASAゲームと呼ばれるコンセンサス(合意形成)ゲームです。

このゲームは、特定のシチュエーションの中で各自が意見を考え、その後、1人1人の意見を最終的にチームの意見に集約するなかで納得感のある合意形成ができるかどうかというゲームとなります。

特定のシチュエーションとは、NASAゲームの場合は月での遭難状態となり、母船に無事にたどり着くために手元に残った15個のアイテムに優先順位をつけることとなります。(下画像参照)

ゲームを行っていくと、月でこのアイテムは使えるのか?月は暑いのか寒いのか?この距離なら歩けるのか?などそれぞれの持つ情報や解釈が違うことに気づきます。

例えばこんな会話が生まれます。

株式会社HEART QUAKE

参加者A

ピストルは危ないから15番でいいよね?

このように具体的なアイテムの優先順位について話す人もいれば、こんな人も居ます。

お客様

参加者B

ピストルのメリットも考えようよ。ていうか、食べ物とか、移動系とか、そういうもっと大きいカテゴリーから考えるのはどお?

さらにこんな人もいます。

お客様

参加者C

そもそも、助けを待つのか、自分たちで目的地に向かうのかから考えない?

株式会社HEART QUAKE

参加者D

てか、全員で生き残るの?誰か1人でも生き残ればいいのかな?そうなるとピストルは・・・

ゲーム後の解説では、下図のような、人によって意見が異なる要因を説明し、チームとして意見をまとめていくには、まずは目的を確認(合意)していくことが重要であることを伝えていきます。

異文化コミュニケーションにおいて、価値観や情報は異なれど目的が理解できれば相互理解できるという可能性が高まると思います。

英語版の資料のご用意もありますので、外国人社員と一緒に実施することも可能です。
英語 研修 グループワーク

2026年7月現在、NASAゲームの導入社数は約570社、受講者満足度は4.82(5点満点)となっております。

最新の満足度はこちらからご覧いただけます。

弊社ではNASAゲームを実施するにあたってのNASAゲームキット(カード、ボード、運営スライド(pptx形式)、ワークシート(PDF形式)、ファシリテーター向け動画マニュアル)のレンタル(貸し出し)を行っております。

NASAゲームについての詳細はこちらもご覧ください。

NASAゲーム実施の流れ

各ゲームの詳細資料(PDF・無料)請求について

上記でもすでに説明しておりますが、弊社では上記のゲーム型異文化コミュニケーション研修のコンテンツを講師派遣型はもちろん、ゲームキットのレンタル(社内講師で実施可能)で提供しています。

提供するパワーポイントには講師向けのトークスクリプトや解説が含まれています。

※画像はバーンガ

詳細な資料や、無料のサンプル貸し出しをご希望の方はまずは下記より資料請求をお願いします。

詳細な資料、お見積りをご希望の方はまずは下記より資料請求をお願いします。

※同業他社様からのお問い合わせはご遠慮ください。

よくある質問

Q. 異文化コミュニケーション研修でゲームを用いるメリットは何ですか?

ゲームを通じて、異なるルールや価値観に直面した際のコンフリクトや合意形成を疑似体験できる点です。座学だけでは気づきにくい、自身のコミュニケーション傾向や他者理解の重要性を客観的に振り返ることができます。

Q. 英語での研修実施や、外国人社員が参加する研修にも対応していますか?

はい、対応しています。ご紹介しているNASAゲームや、異文化のルールギャップを体感するバーンガでは、英語版の資料やワークシートもご用意しているため、外国人社員と日本人社員が合同で実施する研修にも最適です。

Q. 社内講師を使って自社で研修を運営することは可能ですか?

可能です。弊社では講師派遣だけでなく、運営スライドやファシリテーター向けのマニュアル動画がセットになったゲームキットのレンタルサービスを提供しています。社内講師の方でもスムーズに質の高い研修を進行できます。

Q. オンラインでの実施に対応しているゲームはありますか?

対面での実施が難しい場合は、オンライン版のゲーム研修もご用意しております。例えば、NASAゲームなどはウェブ会議システムを活用したオンライン実施にも対応可能ですので、実施環境に合わせて最適なプランをご提案いたします。

Q. 研修の費用や見積もりについて教えてください。

研修の実施費用は、参加人数や実施形態によって異なります。具体的な金額や詳細なお見積りについては、資料請求やお問い合わせフォームよりお気軽にご確認ください。

Q. バーンガの研修はどのような流れで進行しますか?

バーンガは、無言でトランプゲームを行いながらグループ移動を繰り返すことで、ルールの異なる「異文化」を体験します。ゲーム終了後は、コンフリクト発生時の行動特性を振り返る講義とグループワークを行います。

お問い合わせ内容

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ご担当者様氏名 (姓と名の間に半角スペースを入れてください)

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※メールアドレスは企業アカウントのみ有効とさせて頂いております。
研修目的

※必須

※研修の目的、ゴール、実施背景など箇条書きで構いませんのでご記入下さい。

その他、実施時期や受講人数など(300文字以内)

健康投資がもたらす2つの成果(コスト削減とワーク・エンゲイジメント向上)|健康経営インフォグラフィック

【結論】職場の健康投資は、プレゼンティーイズムなどの健康関連コストを削減するだけでなく、従業員のワーク・エンゲイジメント向上にも直結する「攻め」の施策です。
東京大学の古井祐司特任教授らの研究論文でも、活力・熱意・没頭の3要素からなるエンゲイジメントを高めることで、出勤時の生産性低下を防ぐ効果が実証されています。
自社で健康投資を設計する際は、この両取りを目指す視点が不可欠です。

目次

1. 健康投資がもたらす2つの成果:コスト削減とエンゲイジメント向上
2. ワーク・エンゲイジメントとは何か
3. 職場での健康投資とワーク・エンゲイジメントの関係(論文データ)
4. 2026年の健康投資:制度動向と実務の変化
5. 自社で健康投資を設計するときの3つの論点
6. まとめ:健康投資は「コスト削減+エンゲイジメント向上」の両取り施策

本記事では、職場における健康投資(健康経営の取り組み)が従業員のワーク・エンゲイジメントに与える影響について、論文データと2026年現在の制度動向を交えて解説します。人事担当者・経営者の方が「健康経営を進めたいが、投資対効果をどう説明すればよいか」「働き方改革やウェルビーイング経営とどうつなぐか」と考える際の判断材料としてご活用ください。

2018年の初稿から8年が経ち、健康経営優良法人認定の累計認定数は1万法人を超え、2023年3月期からは有価証券報告書での人的資本情報の開示が上場企業に義務付けられました。こうした制度面の追い風を踏まえ、健康投資が単なるコスト削減ではなく、従業員のエンゲイジメントと生産性を同時に引き上げるレバーになるという視点で再構成しています。

健康投資がもたらす2つの成果:コスト削減とエンゲイジメント向上

厚生労働省や経済産業省の資料では、健康関連コストは大きく医療費・アブセンティーイズム・プレゼンティーイズムの3つに分かれるとされています。このうち金額として最も大きいのが、出勤はしているが体調不良で生産性が落ちているプレゼンティーイズム(傷病就業)であり、全体の7割前後を占めるという試算が複数の研究で示されています。

健康関連コスト 医療費 アブセンティーイズム プレゼンティーイズム

画像参照:厚生労働省HPより

1人当たり年間のコスト削減インパクトについては、健康経営の促進で1人当たりコストが30万円削減できる? で詳しく紹介したとおり、健康投資の回収可能性は定量的に裏付けが進んでいます。プレゼンティーイズムの構造と対策については健康経営で求められるプレゼンティーイズム対策も併せてお読みください。

アブセンティーイズム:病気や体調不良で欠勤・休職している状態。
プレゼンティーイズム:出勤はしているが、体調不良により仕事遂行能力が低下している状態。

ここで重要なのは、健康投資の効果はコスト削減だけでなく、従業員のワーク・エンゲイジメントの向上という「攻め」の成果にもつながる点です。以下、論文データに基づいて関係性を整理していきます。

ワーク・エンゲイジメントとは何か

ワーク・エンゲイジメントは、オランダのユトレヒト大学のシャウフェリ教授らが提唱し、日本では慶應義塾大学の島津明人教授らが研究を牽引してきた概念です。簡潔には次のように定義されます。

ワーク・エンゲイジメントは活力(Vigor)・熱意(Dedication)・没頭(Absorption)の3要素から構成される。ワーク・エンゲイジメントの高い人は、仕事に誇り(やりがい)を感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得て活き活きと働いている状態にある。
(島津 2017 ほか)

ワーク・エンゲイジメントはバーンアウトの対極にある概念と位置づけられ、離職意思の低下・創造性の発揮・顧客満足への波及などと正の相関が確認されています。厚生労働省が2019年から労働経済白書で継続的に取り上げていることもあり、健康経営とセットで議論されるキー指標になっています。より実務的な活用の論点は「キャリア安全性」とは?ワーク・エンゲージメントを高める新視点でも扱っています。

職場での健康投資とワーク・エンゲイジメントの関係(論文データ)

【要点】職場での健康投資は、従業員のワーク・エンゲイジメントや一体感を高め、生産性低下を防ぐ効果があります。研究データによると、ラジオ体操などの共通体験が職場の一体感を醸成するほか、睡眠習慣の改善がプレゼンティーイズムの防止に直結することが示されています。心身の健康維持とコミュニケーションの活性化を図る施策が、企業の生産性向上において極めて重要です。

以下の内容は、東京大学の古井祐司特任教授らが中小企業を対象に実施した労働生産性の損失と影響要因に関する研究をもとにしています。中小企業を含む日本企業の現場データを扱っている点が、大企業中心の海外研究と比較した価値です。

参考論文:中小企業における労働生産性の損失とその影響要因
古井 祐司(東京大学特任教授)/村松 賢治(東京大学受託研究員)/井出 博生(東京大学特任准教授)

(1) ワーク・エンゲイジメントとプレゼンティーイズムは負の相関

ワーク・エンゲイジメントとプレゼンティーイズムの相関

論文の分析では、ワーク・エンゲイジメントや職場の一体感が低いほど、プレゼンティーイズム(出勤しているのに生産性が落ちている状態)が高くなるという負の相関が確認されました。つまり、運動習慣が乏しく・ストレスが高い職場ほど、従業員の一体感やエンゲイジメントが下がり、それが見えない生産性ロスとして表れるということです。

一方で、アブセンティーイズム(欠勤)との直接的な相関は見られませんでした。欠勤は「出るか・出ないか」の二値になりやすく、数字に表れる前の「気力の低下」がまずプレゼンティーイズムに出る、というのが実務的な読み方です。

(2) 職場のラジオ体操が「一体感」を押し上げる

ラジオ体操と職場の一体感の関係

もう一つ興味深いのは、毎朝ラジオ体操の音楽をかけ、任意参加で実施していた事業所では、従業員が職場の一体感を強く感じているというデータです。ラジオ体操そのものの運動効果というより、共通の時間を共有する儀式性と、そこで生まれる軽い会話(雑談)がコミュニケーション量を押し上げていることが要因と推察されます。

これは近年、心理的安全性の文脈で語られる「小さな相互作用の積み重ねが一体感を作る」という議論とも整合的です。ハイブリッド勤務が定着した2026年の職場では、オフィスでのラジオ体操に代えて、朝会冒頭の軽いストレッチ動画や歩数チャレンジ等に置き換える企業も増えています。チームの一体感を体験的に学ぶ研修設計についてはチームビルディングにオススメなゲーム5選が参考になります。

(3) 睡眠習慣とプレゼンティーイズム

健康投資による効果の枠組み

論文内の「健康投資による効果の枠組み」を読み解くと、睡眠習慣が従業員の健康リスクと強く相関していることが見て取れます。良質な睡眠が取れていないとプレゼンティーイズムが悪化するというのは、睡眠が業績に与える影響と睡眠の質を向上する要素でも詳しく紹介しています。

夜間睡眠の改善に加え、日中の短時間仮眠(パワーナップ:15〜20分)を許容する企業も増えています。仮眠の許容は「怠けの容認」ではなく、午後のパフォーマンスを取り戻すための生産性施策として位置づけるのが近年の潮流です。

2026年の健康投資:制度動向と実務の変化

2018年の初稿公開時には「健康経営」という言葉がようやく浸透し始めた段階でしたが、2026年現在は以下のように制度と経営の接続が進んでいます。

領域 2018年頃 2026年時点
認定制度 健康経営銘柄、優良法人認定が始動 認定法人が1万超。中小企業部門ブライト500が定着
開示義務 任意開示中心 上場企業で人的資本情報の有価証券報告書開示が義務化
メンタル対策 ストレスチェック制度が50人以上事業場で義務化 50人未満事業場への拡大議論、若年層のメンタル不調対応が重点課題
経営用語 健康経営 ウェルビーイング経営・人的資本経営と統合

特に人的資本開示義務化の影響は大きく、有価証券報告書の「従業員の状況」に、離職率・研修投資額・エンゲージメントスコア・メンタル不調者の推移といった指標を盛り込む企業が増えています。健康投資は「コスト削減」ではなく、投資家とステークホルダーに開示する人的資本の柱としての位置づけに変わりました。

ウェルビーイング経営の観点からの具体的な研修アプローチはエンゲージメント向上につながるゲーム研修3選|効果がある理由と選び方で扱っているので、実務への落とし込みに合わせて参照いただくとよいと思います。

自社で健康投資を設計するときの3つの論点

実務担当者が健康投資を設計するとき、筆者が相談を受けてきた中で繰り返し論点になるのは次の3つです。

(1) 測定指標の設計:健康診断の有所見率・ストレスチェックの高ストレス者比率・プレゼンティーイズム指標(WHO-HPQ、SPQ等)・ワーク・エンゲイジメント指標(UWES-9)を組み合わせ、経年で追える形に揃える。

(2) ラインケアとセルフケアの両輪:セルフケア施策(運動・睡眠・食事)は個人差が出るため、管理職のラインケア力を同時に高めないと効果が分散します。ラインケアを体験的に学ぶ設計としてゲームを使ったラインケア研修(メンタルヘルス)のやり方を参照ください。

メンタルヘルスゲーム「ストマネ」

(3) 「会話が生まれる仕掛け」を組み込む:論文のラジオ体操の例が示すとおり、健康施策の効果は施策単体ではなく、施策をきっかけに社員同士の会話が増えることで初めて一体感に転化します。歩数チャレンジ、社食の共通テーマ、朝会での体調シェアなど、会話のトリガーになる仕組みをセットで設計することが肝心です。

まとめ:健康投資は「コスト削減+エンゲイジメント向上」の両取り施策

本記事の要点を整理します。

ワーク・エンゲイジメントや職場の一体感は、プレゼンティーイズムと負の相関がある(健康リスクが高い職場ほど生産性が見えないところで落ちている)。

・ラジオ体操のような共通の時間を共有する儀式は、会話のきっかけを通じて職場の一体感を押し上げる。

・睡眠習慣はプレゼンティーイズムに強く影響する。夜間睡眠改善+日中のパワーナップ許容が効果的。

・2026年の健康投資は、コスト削減に加え、人的資本開示・ウェルビーイング経営と接続する「攻めの経営指標」へと役割が広がっている。

健康経営の効果を従業員エンゲイジメントまで波及させるには、施策を「やって終わり」にせず、会話と一体感を生み出す仕掛けを同時に設計することが要になります。健康投資の理論的背景や実装のヒントをさらに深めたい方は、以下の書籍も参考になるはずです。

革新的なビジネスモデルを生む2つの発想パターン(転用・応用と逆転)と経営者3タイプ|インフォグラフィック

【結論】革新的なビジネスモデルは、オズボーンのチェックリストを基にした「転用・応用」と「逆転」という2つの発想パターンから生まれます。
ヤマト運輸の小倉昌男氏やニトリの似鳥昭雄氏のような他業界の仕組みを持ち込む転用・応用型と、元LINEの森川亮氏のような常識を覆す逆転型を意識することが重要です。
早稲田大学の井上達彦教授の研究をベースに、明日からの企画会議で使える再現性の高い思考法を解説します。

目次

1. 結論:革新的ビジネスモデルを生む発想パターンは「転用・応用」と「逆転」
2. 背景:なぜ2026年の今、あらためて発想法を学び直す必要があるのか
3. オズボーンのチェックリストとは何か
4. 科学者・芸術家の発想パターンと経営者の分類
5. 井上先生が本連載で強調したこと
6. 2025〜2026年の具体例で見る「転用・応用」と「逆転」
7. 明日から日常に取り入れる3つの問い

新規事業開発や企画職の現場では「革新的なビジネスモデルはどうやって生まれるのか?」という問いに直面します。才能や閃きの問題に見えますが、実はその多くが再現可能な発想パターンで説明できます。

本記事では、一橋ビジネスレビューに掲載された早稲田大学商学学術院教授・井上達彦先生の研究をベースに、革新的なビジネスモデルを生み出した経営者たちの発想法を整理します。オズボーンのチェックリストを切り口に、「転用・応用」と「逆転」という2つの発想パターンがなぜ重要なのかを解説し、2025〜2026年の生成AI時代における具体的な応用方法までまとめました。

本記事を読むと、明日からの企画会議やブレストで「どの方向に頭を動かせば革新につながるか」が見えるようになります。

結論:革新的ビジネスモデルを生む発想パターンは「転用・応用」と「逆転」

先に結論をお伝えします。世界で活躍する科学者・芸術家・経営者の発言を分析した井上達彦先生の研究によれば、革新的なビジネスモデルは「転用・応用」と「逆転」という2つの発想パターンから生まれることが多いとされています。

つまり、ゼロから何かを生み出すのではなく、「別の業界・別の領域で成功しているものを自社に持ち込む(転用・応用)」か、「業界の常識を真逆にひっくり返す(逆転)」かのどちらかの頭の使い方を日常的に繰り返すことで、革新的な発想にたどり着けるのです。

具体的には、ヤマト運輸の小倉昌男氏やニトリの似鳥昭雄会長は転用・応用型、元LINEの森川亮氏や「俺の」シリーズの坂本孝氏は逆転型、元セブンイレブンの鈴木敏文氏や楽天の三木谷浩史氏は両方を使いこなすバランス型と分類されています。

背景:なぜ2026年の今、あらためて発想法を学び直す必要があるのか

本記事の元になった論考は、早稲田大学の井上達彦先生が一橋ビジネスレビュー(2018年SUM.66巻1号)の連載最終回で発表された、科学者・芸術家・経営者の発言内容を分析し、それぞれがどのような発想・思考を行っているのかを明らかにした研究です。

井上先生といえば、模倣の経営学シリーズでも有名で、ビジネスにおける「真似の技術」を学術的に整理した先駆者として知られています。

2026年の今、発想法の重要性はむしろ増しています。生成AIが企画書の壁打ちや市場調査を肩代わりしてくれる時代になり、人間側に残された価値は「何を問うか」「どの方向に発想を飛ばすか」というフレーミングの力に集約されつつあります。AIに投げるプロンプトの質は、そのまま発想法の引き出しの多さに比例します。だからこそ、転用・応用と逆転という普遍的なフレームを押さえておく価値があります。

イノベーションを起こす人に共通する5つのスキルでも触れている通り、革新を起こす人は個人の才能というより、発想の型と行動パターンを意識的に繰り返しています。

オズボーンのチェックリストとは何か

井上先生の分析の軸になっているのが、ブレインストーミングの提唱者であるアレックス・F・オズボーンが作ったオズボーンのチェックリストです。これは既存のアイデアや製品に対して9つの切り口で問いかけることで新しい発想を強制的に生み出すフレームワークです。

9つの切り口は、・転用(他に使い道はないか)・応用(似たものはないか、真似できないか)・変更(意味・色・形・動きを変えられないか)・拡大(大きく、強く、頻度を増やせないか)・縮小(小さく、軽く、省略できないか)・代用(人・物・材料を代えられないか)・置換(順序や配置を入れ替えられないか)・逆転(上下・前後・役割を反対にできないか)・結合(他のアイデアと組み合わせられないか)、という9つです。

オズボーンのチェックリスト

この9つのうち、革新的な発想を生む上で特に効果が高いのが「転用・応用」と「逆転」だというのが、井上先生の研究から浮かび上がった知見です。ブレストの場でアイデアを拡散させる一般的なテクニックについてはアイデアを沢山出すためのファシリテーションスキルも参考になります。

科学者・芸術家の発想パターンと経営者の分類

【要点】革新的なビジネスモデルを生み出す分岐点は、「転用・応用」「逆転」という2つの発想パターンを使いこなせるかどうかにあります。分析によると、世界で活躍する科学者は転用・応用、芸術家は逆転の発想が多く、経営者もこれらを多用する「科学者型」「芸術家型」「バランス型」の3タイプに分類されます。これら2つの発想の共通点を理解することが重要です。

井上先生は連載の中で、科学者・芸術家・経営者の発言内容を分析し、それぞれがオズボーンのチェックリストのどのパターンに該当する発想をしているかを整理しました。

科学者は「転用・応用」型が多い

例えば、湯川秀樹山中伸弥教授はオズボーンのチェックリストでいう「転用・応用」的発想・思考が多いとされています。山中教授のiPS細胞研究も、別の分野で確立された手法を応用することで生まれた成果として説明できます。

芸術家は「逆転」型が多い

一方、岡本太郎村上隆「逆転」的発想・思考が多いことが紹介されています。既成の価値観を真逆にひっくり返すことで、これまで誰も見たことのない表現を生み出してきました。

経営者も3タイプに分かれる

この分析を革新的なビジネスモデルを生み出した経営者たちで行った結果、次のように分類されました。

タイプ 発想パターン 該当する経営者
科学者型 転用・応用が多い ヤマト運輸・小倉昌男氏/ニトリ・似鳥昭雄会長
芸術家型 逆転が多い 元LINE・森川亮氏/「俺の」シリーズ・坂本孝氏
バランス型 転用・応用と逆転の両方 元セブンイレブン・鈴木敏文氏/楽天・三木谷浩史氏

ここから読み取れるのは、世界で活躍する科学者・芸術家・経営者のいずれもが転用・応用と逆転を多用しているという共通点です。この2つの発想を使いこなせるかどうかが、革新的なビジネスモデルを生む分岐点になります。

井上先生が本連載で強調したこと

記事の中で井上先生は次のように書かれています。

本連載では「転用・応用」や「逆転」が特に重要な発想法であることを踏まえ、
それぞれ「模倣」(模範教師からの学び)と
「逆転」(反面教師からの学び)として紹介してきた。

一橋ビジネスレビュー 2018 SUM P.188

重要なのは、「模倣」が単なるコピーではなく「模範教師からの学び」として位置づけられている点です。優れた事例の構造を理解し、自社の文脈に合わせて再構築することが本物の転用・応用です。同じく逆転も単なる反抗ではなく、「反面教師からの学び」、つまり業界の常識のどこに歪みがあるのかを見極める行為だと整理されています。

2025〜2026年の具体例で見る「転用・応用」と「逆転」

2018年の研究時点からビジネス環境は大きく変化しました。生成AI、サブスクリプションの成熟、プラットフォーム経済の定着、サステナビリティ起点のビジネスなど、新しい事例で発想パターンを見直してみます。

転用・応用の最新例

SaaSで確立されたサブスクリプションモデルは、自動車・家具・衣料・飲食など、かつてはサブスクと無縁だった業界に次々と転用されています。これは典型的な「他業界のビジネスモデルの転用」です。また、生成AIチャットのUI/UXが設計ツール・営業支援・カスタマーサポートなどあらゆる業務ソフトに組み込まれているのも、汎用技術の応用の典型例です。

逆転の最新例

所有から利用へ、広告課金から課金なし、店舗中心からオンライン中心、説明中心から体験中心など、これまでの業界常識を真逆にした事業はいずれも「逆転」の発想から生まれています。近年ではサステナビリティ起点で「売上最大化」を捨て「資源循環最大化」に振り切るビジネスも登場しており、これもゴール設定を逆転させた発想です。

バランス型の最新例

生成AIのB2Bサービスは、既存業務を応用しながらも、UIや課金モデルを大胆に逆転させる企業が成功しているケースが多く見られます。新規事業立ち上げのためのエフェクチュエーションの5原則で紹介している行動原理と合わせて読むと、不確実性の高い環境でどう発想を回すかが立体的に見えてきます。

明日から日常に取り入れる3つの問い

革新的なビジネスモデルを作りたいのであれば、転用・応用と逆転を日常の問いに落とし込むのが近道です。会議や企画検討の場で、次の3つの問いを習慣化するところから始めてみてください。

問い1(転用):この課題に似た構造の成功事例は、別の業界・別の国・別の時代にないか?

問い2(逆転):この業界の「当たり前」のうち、逆にしたら面白くなるものはどれか?

問い3(結合):転用した要素と逆転した要素を組み合わせたら、どんな新しい価値が生まれるか?

この3つの問いをブレストのテンプレにしておくだけでも、参加者の視点が「既知の延長線」から「構造の組み替え」に切り替わります。アイデアが出た後の実行段階ではブレストで出たアイデアはなぜ実行されないのか?とその対策も合わせて参照してください。

オンライン研修を成功させる7つのポイント|研修会社が教える実施のチェックリスト

【結論】ZoomやMicrosoft Teams等を用いたオンライン研修を成功させるには、ディスカッション時間を対面の1.5倍で設計し、講師とシステムサポートの最低2名体制を敷くことが重要です。
さらに、受講者の回線切断を想定した復帰フローの準備や、使用ツールを2つまでに絞るなどのトラブル対策も欠かせません。
これらのポイントを押さえることで、100名規模の大人数でも成果の出る研修運営が可能になります。

目次

1. オンライン研修を成功させる7つのポイント(結論)
2. グループディスカッションの時間は1.5倍で設計する
3. 講師とシステムサポートの役割を分ける
4. 受講者は落ちる前提で復帰フローを準備する
5. 受講者からの反応を引き出す仕掛け
6. ブレイクアウトルームを使いこなす
7. 外部講師にはホスト権限を委譲する
8. 受講者が使うツールは2つまで
9. オンライン研修で使えるビジネスゲームの事例
10. NASAゲームオンラインとは
11. まとめ
12. オンライン研修|研修・ビジネスゲーム導入をご検討の方へ

オンライン研修は、コロナ禍で一気に普及してから約6年が経ち、2026年現在は「実施できる」から「成果を出せる」フェーズに移行しています。本記事では、株式会社HEART QUAKEが年間400社以上の研修実績の中で培った、オンライン研修を効果的に進めるための7つの実践ポイントを、Zoom・Microsoft Teams・Google Meetでの運用を前提にまとめます。

「画面の向こうで受講者が集中しているかわからない」「ブレイクアウトでトラブルが起きる」「対面より手応えが薄い」——こうした悩みを抱える研修担当者の方に向けて、時間配分・運営体制・ツール選定・参加者の巻き込み方まで、すぐに運用に落とし込める粒度で解説します。ハイブリッド研修に進む前段として押さえたい基本も含みます。

オンライン研修を成功させる7つのポイント(結論)

まずは結論から。細かい背景や現場での事例は、後のセクションで1つずつ補足します。

1. グループディスカッションの時間は1.5倍で設計する

2. 講師とシステムサポートの役割を分ける(最低2名体制)

3. 受講者は回線が落ちる前提で復帰フローを準備する

4. 受講者からの反応を引き出す仕掛けを先に仕込む

5. ブレイクアウトルームを使いこなす

6. 外部講師にはホスト権限を委譲する

7. 受講者が使うツールは2つまで(実質プラス1つ)

7つのポイント早見表

# ポイント 具体アクション 失敗パターン
1 時間設計 ディスカッション時間を対面の1.5倍 対面と同じタイムラインでカツカツ
2 運営体制 講師+システム担当の2名体制 講師1人でトラブル対応まで抱える
3 復帰フロー 接続不可時の再参加手順を事前案内 離脱者を放置/講義停止
4 反応の仕掛け グランドルールで反応方法を先に共有 無言視聴が続く
5 ブレイクアウト 操作練習+講師の巡回ルート設計 本番初操作で混乱
6 外部講師運用 ホスト権限を講師に委譲 録画/BRC操作不能
7 ツール数 使用ツール2つまで 複数ツール併用で操作負担過多

以下、それぞれのポイントを運用の具体レベルで説明します。

1.グループディスカッションの時間は1.5倍で設計する

1つ目のポイントは時間配分です。オンラインではグループディスカッションに割り当てる時間を、対面研修の1.5倍確保することを推奨します。

対面で20分のディスカッションを設計しているなら、オンラインでは少なくとも25分、できれば30分を取ってください。理由は単純で、オンラインでは発言がかぶりやすく、ネット回線のゆらぎで声が途切れる、画面共有の切り替えに数秒かかるなど、対面にはない摩擦コストが積み上がるためです。

2026年時点ではZoomやTeamsに慣れた受講者も増えましたが、それでも「誰が次に話すか」を決める時間は対面より確実に長くかかります。タイマーを共有し、残り時間を可視化しておくと運営側のコントロールがしやすくなります。同じ観点は対面とオンラインを同時並行で行うハイブリッド研修でグループワークを実施する方法でも重要になるため、混在型を設計する際は時間バッファをさらに厚めに取ってください。

2.講師とシステムサポートの役割を分ける

2つ目は運営側の体制です。オンライン研修ではブレイクアウトルームの出し入れ、チャットの拾い上げ、入退室・音声トラブルへの即応など、講師が1人で捌き切るのは現実的ではありません。

そこで講師役とシステムサポート役の最低2名体制を原則とします。講師はコンテンツの説明・問いかけ・ファシリテーションに集中し、システムサポートは接続トラブル対応、ブレイクアウトルームの開閉、チャットモニタリングを担当します。100名を超える大規模運営では、さらに補助スタッフを加えた3〜4名体制が安全です。大人数のオンライン研修固有の論点は100人超えの大人数でのオンライン研修で気をつけるべき5つのポイントに詳しくまとめています。

3.受講者は落ちる前提で復帰フローを準備する

3つ目は接続トラブルへの備えです。オンライン研修では受講者の端末・回線状況を完全にコントロールできません。自宅Wi-Fiの混雑、スマホのテザリング接続、社内VPNによる帯域制限など、落ちる要因は複数あります。

弊社の実績では、受講者20名以上で90分のオンライン研修を行った場合、約1割の受講者が一度は接続が切れる傾向があります。特にブレイクアウトルームへの割り当て時に落ちやすく、再度メインルームに戻ってしまうケースも少なくありません。

そのため運営側では次の3点を事前に決めておきます。

・落ちた受講者を再度どのブレイクアウトルームに戻すかのルール

・再参加時の説明を誰がチャットで個別に行うか

・接続が安定しない場合の代替連絡手段(メール/電話/Slack等)

受講者側には事前に回線速度のセルフチェックを依頼しましょう。画面共有を行う講師側は下り・上り30Mbps以上、受講者側は15Mbps以上が安定動作の目安です。速度測定にはFast.comが手軽です。

4.受講者からの反応を引き出す仕掛け

4つ目は受講者のリアクションをどう可視化するかです。オンライン研修の最大のストレスは、講師側から見て「伝わっているのかわからない」という状態です。ギャラリービューで20名以上が並ぶと1人ひとりの表情は読み取れず、カメラオフの参加者がいればなおさらです。

この壁を越えるために、研修冒頭でグランドルールを明示的に合意することが有効です。具体的には次のような運用を案内します。

・同意や理解の合図はリアクションボタン(拍手・いいね)で示してもらう

・問いかけにはチャットで短く返信してもらう(全員発言のハードルを下げる)

・カメラは原則ONにし、通信が厳しい時だけOFFにする

・名前の表記を「氏名(所属)」で統一し、誰が発言しているかを明示する

講師側からの問いかけも、オープンクエスチョンだけでなく「3つのうちどれに近いですか?」のような選択式の問いかけを混ぜることで、チャット反応が集まりやすくなります。詳しくは講師・ファシリテーター向け・受講者から質問がでないことへの工夫もあわせて参考にしてください。

5.ブレイクアウトルームを使いこなす

5つ目はブレイクアウトルームの運用です。オンライン研修でグループディスカッションやグループワークを行う場合、Zoomではブレイクアウトルーム機能、Microsoft TeamsやGoogle Meetでも同等のブレイクアウト機能が標準で使えるようになっています。2020年当時は機能差が大きかったものの、2026年時点では主要3ツールとも実用レベルに揃いました。

それでも運用ノウハウが問われるのは次の観点です。

・ブレイクアウトルームの事前割り当て(名簿ベースでの自動配置)

・制限時間のカウントダウン表示と、時間切れ時の挙動設定

・ホストが各グループを巡回するときの入り方・出方

・全グループへのブロードキャストメッセージの活用

・ブレイクアウト中に落ちた受講者を同じグループに戻す手順

ビジネスゲーム型研修では、ブレイクアウトルームの巡回中に講師が意図的に介入するタイミング設計が成果を大きく左右します。Zoomでの具体操作についてはゼロから始めるZoomでオンライン研修|第一回のシリーズで順を追って解説しています。

6.外部講師にはホスト権限を委譲する

6つ目は外部講師を活用する際の運用です。HEART QUAKEでは、Zoomでのオンライン研修の際はお客様側でミーティングルームを用意していただき、実施開始直後にシステムサポート役へホスト権限を委譲してもらう運用をおすすめしています。

ホスト権限を委譲してもらうと、ブレイクアウトルームの操作・録画開始・参加者の再入室対応などを講師側で完結でき、研修運営がスムーズになります。ブレイクアウトルームの事前設定だけはお客様側で行っていただくのが通例です。

この運用には以下のメリットがあります。

・ホスト委譲をしない場合、お客様担当者がブレイクアウト操作に張り付きになり、担当者自身が研修に参加しづらくなる

・外部講師側でルームを作成する場合、事前に受講者名簿を提供いただく必要があり、個人情報の社外持ち出しが発生する

つまり「お客様側がルームを作成し、当日ホスト権限を一時的に委譲する」運用が、セキュリティと運営負荷の両面でバランスが良いのです。

7.受講者が使うツールは2つまで

最後のポイントは、受講者が研修中に操作するツールはビデオ会議システム+もう1つまでに絞ることです。

ここでいう追加ツールとは、Googleスプレッドシート、Googleスライド、Miro、Excelなど、グループワーク中に書き込む共同編集ツールを指します。2026年時点ではMiroやFigJamといったオンラインホワイトボードも研修で広く使われていますが、便利だからといって複数ツールを同時投入すると受講者の認知負荷が急増します。

特にデジタルツールの習熟度が低い参加者が混在する研修では、Zoom+Googleスプレッドシートのようにシンプルな構成に抑えることで、ワーク自体に集中してもらえます。どうしても複数ツールが必要な場合は、事前に短時間のチュートリアルを用意するか、オンラインで実施可能なグループワーク用ツール5選を参考に1つに統一する方向で設計してください。

オンライン研修で使えるビジネスゲームの事例

ここまでの7つのポイントは、研修の「器」をつくる話でした。実際の「中身」としてどんなワークを入れるかで、参加者の体験は大きく変わります。HEART QUAKEでは、オンラインでも対面と同等の学習効果を設計できるよう、以下のようなビジネスゲームを提供しています。

オンラインで実施可能なコンセンサスゲーム「NASAゲームオンライン」——合意形成プロセスをチームで体験する定番ワーク

オンラインでできるチームビルディングゲーム11選——目的別にゲームを選ぶ際のカタログ

ハイブリッド研修/イベントで実施できるビジネスゲーム4選——対面とオンラインの混在環境に対応

NASAゲームオンラインとは

NASAゲームオンライン

月面に不時着した宇宙飛行士になりきり、限られた持ち物15個から「どれを優先して持っていくか」をチームで話し合って合意形成するコンセンサスゲームです。Zoom・Teams等のビデオ会議とブレイクアウトルームを使い、完全オンラインで1〜2時間で実施可能。遠隔拠点・リモートワーカー混在の研修でも、対面版と同等の合意形成プロセスを体験できます。

NASAゲームオンライン満足度

2026年1月現在、NASAゲームオンラインの導入社数は約310社、受講者満足度は4.76(5点満点)となっております。

オンライン研修とハイブリッド研修は、設計の勘所が少しずつ異なります。完全オンラインでノウハウを固めた後、段階的にハイブリッドへ展開していくのが現実的な進め方です。

まとめ

本記事では、オンライン研修を成果につなげるための7つのポイントを整理しました。改めて要点をまとめます。

1. グループディスカッションの時間は1.5倍で設計

2. 講師とシステムサポートを分けた2名以上の運営体制

3. 受講者は落ちる前提で復帰フローを用意

4. グランドルールで反応を引き出す仕掛けを先に仕込む

5. ブレイクアウトルームの操作を習熟する

6. 外部講師運用ではホスト権限を委譲する

7. 受講者が使うツールは2つまでに絞る

2026年の今、オンライン研修は「やるかやらないか」ではなく「どう質を高めるか」のフェーズです。これら7つのポイントを運用に織り込み、対面研修に劣らない学習体験を設計してみてください。

オンライン研修|研修・ビジネスゲーム導入をご検討の方へ

株式会社HEART QUAKEでは、企業研修用ビジネスゲームの企画・開発・提供を行っております。年間400社以上の研修実績があり、新入社員研修からマネジメント研修まで幅広く対応しています。

ゲームを通じて学ぶため、参加者の記憶に残りやすく、行動変容につながる研修設計が可能です。オンライン・オフラインどちらにも対応しています。

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