新製品開発・UXリサーチ・サービス改善のワークショップで使えるKA法(KA分析)をご紹介します。ユーザーインタビューや行動観察から得た定性データを、ユーザーが求めている本質的な価値まで引き上げるための分析手法です。

2025年現在、デザイン思考・サービスデザイン思考の広がりとともに、KA法は新規事業の現場・製品改善のワークショップで再び注目されています。

KAカード

KA法とは|定性調査を”価値”まで引き上げる分析手法

KA法は次のように定義されています。

KA法とは、コンテキストインタビューや観察法などの定性調査から得られたデータを分析、モデリングし、ユーザーが求めている本質的な価値を導出するための分析手法である。
(引用:浅野志帆ほか『KA法を初心者が理解・実践するための研究』/J-Stage)

考案者は紀文食品のチーフ・マーケティング・アドバイザーであった浅田和実氏で、2006年に開発・公開されました。

KA法の位置づけ|他の手法との違い

デザイン思考やサービスデザイン思考の中で、KA法はどこに位置づけられるかを整理しておきます。

手法 得意領域 アウトプット
行動観察/コンテキストインタビュー ユーザーの生の事実を集める 出来事メモ、発言メモ
KA法 事実から”価値”を抽出する KAカード(出来事/心の声/価値)
KJ法 価値・カテゴリを構造化する グルーピング/ラベリング
カスタマージャーニーマップ 価値を時系列の接点に落とす ジャーニー図

KA法は「観察/インタビュー」と「アイデア発想」をつなぐ橋渡しの役割を果たします。

実験で判明!デザイン思考で重要なのは「ユーザーリサーチ」と「ニーズの定義」

ハイポイントインタビューのやり方

KAカードの書き方|3ブロックで整理する

KA法の特徴はKAカードと呼ばれる分析フォーマットにあります。1つの出来事につき1枚のKAカードを作り、出来事/心の声/価値の3ブロックで整理していきます。

ブロック 書き方の型 例(信号機) 例(スマホUI)
①出来事 状況+ユーザー行動
/ユーザー行動+結果
信号が赤だったので止まった ボタンだと思ってクリックしたが反応しなかった
②ユーザーの心の声 一人称のセリフで書く 「うわ、赤か…早く青に変わらないかな」 「え、これボタンじゃないの?押し間違える」
③価値 “動詞+価値”の形 青になるまでの待ち時間が目視できる価値 ボタン風の見た目は押したくなる/反応を期待する価値

①出来事|事実だけを”◯◯したので××した”で書く

出来事は事実として観察できたことだけを書きます。解釈や評価は混ぜません。

書き方の定型は以下の2パターンです。

構造
◯◯だったので××した 状況+ユーザーの行動
◯◯したら××だった ユーザーの行動+結果

②ユーザーの心の声|一人称のセリフに翻訳する

出来事の裏でユーザーが感じていたことを、一人称のセリフで書きます。「困った」「嬉しい」などの抽象語ではなく、口に出しそうなナマの言葉に寄せると、③の価値が見つけやすくなります。

③価値|”動詞+価値”の形で抽象化する

最後に、出来事と心の声からその背景にある価値を「動詞+価値」の形式で書き出します。ここで抽象度を上げられるかどうかが、そのままアイデアの広さに跳ね返ります。

KA法の活用例|製品改善と新製品発想の両方に使える

KA法は、既存製品の改善でも新製品の発想でも使えます。

活用シーン 使い方
既存製品の使い方を観察してKAカード化 改善すべき点が”価値”として浮かび上がる
家庭・現場での利用場面を観察 想定外の使い方から新機能アイデアが生まれる
競合製品とのA/B比較観察 自社にない”提供できていない価値”が見える
カスタマーサポートの事例をKA化 クレーム・要望の背後にある根源的ニーズを抽出

ある製造業メーカーでは、自社製品を社員宅に置いて、家族がどう使っているかを観察することを製品開発のヒント集めに活用しているそうです。そこで集めた出来事をKAカードに整理すれば、そのまま価値発想の素材になります。

ワークショップで回すときのコツ

KA法をワークショップで使うとき、つまづきやすいポイントと対処法を整理しました。

つまづきパターン 対処
出来事に”解釈”や”良し悪し”が混ざる 2パターンの定型文(◯◯したので/◯◯したら)で書かせる
心の声が抽象的(「困った」等)になる ユーザーが実際に呟きそうなナマのセリフに書き直す
価値が”動詞+価値”の形にならない 「〇〇できる価値」「〇〇したくなる価値」のテンプレ提示
似た価値が大量に出て整理できない KA法の後にKJ法で価値をグルーピング

サービスデザイン思考・デザイン思考とセットで押さえたい方は以下もどうぞ。

サービスデザイン思考の5原則とは?デザイン思考の課題とアート思考との違い

デザイン思考を理解する3つのポイント

デザイン思考におけるキーワード「ダブルダイヤモンド・モデル」

まとめ

KA法は、ユーザー観察・インタビューで集めた出来事・心の声・価値をKAカードで整理することで、定性データから本質的な価値を抽出するための手法です。

KAカード

新製品開発・UXリサーチ・サービス改善のワークショップで、観察からアイデアへの橋渡しとしてぜひ活用してみてください。

関連研修のご紹介|新規事業アイデアを体験するゲーム型研修「ジョブスタ」

新規事業や新製品開発の発想を、チームで疑似体験できるゲーム型研修「ジョブスタ」をご用意しています。KA法のような分析手法と組み合わせて、アイデア発想の初期段階を体感する素材として活用いただけます。

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