新規事業立案のためのホライゾン・スキャニングという未来洞察法
未来が見えないVUCAの時代と言われていますが、一方で、企業としては未来を洞察する力が求められています。
今回はそんな未来洞察法の1つであるホライゾン・スキャニングという手法を紹介し、企業における新規事業立案での活用法について書いてみたいと思います。
ホライゾン・スキャニングとは
ホライゾン・スキャニング(Horizon Scanning)は、1960年代にSRI(Stanford Research Institute)によって考案・開発された手法です。
ホライゾン・スキャニング手法による未来洞察活動
鷲田 祐一 · 七丈 直弘· 粟田 恵吾(2018)
科学技術・学術政策研究所によれば以下のように定義されています。
可能性のある変化の兆候をいち早く捉えることを目的とした
将来展望活動の一つである。
ホライズン・スキャニングに向けて~海外での実施事例と科学技術・
学術政策研究所における取組の方向性~科学技術動向研究センター
http://www.nistep.go.jp/wp/wp-content/uploads/00005.pdf
ホライズン・スキャニングの特徴としては下記の3点が挙げられます。
2.時間とインパクトという2軸で考える
3.「Weak signal」と呼ばれる弱いが、突発的な変化の兆しを捉える
特に3つめのWeak signalについては、デザイン思考の中で、エクストリーム・ユーザーを見つけよう!と言われているのと同じ感覚だと思います。
※エクストリーム・ユーザーとは、ある製品を極端に利用する人。または、極端に毛嫌いする人などを指す。
画像参照先:https://esaura.jp/ux-blog/how-to-observe-extreme-users
ホライゾン・スキャニングのやり方としては3つのプロセスからなっています。
2.情報の分析
(項目の特定とインパクト等の評価)
3.分析結果の展開
(多様な可能性の検討等)
ホライズン・スキャニングに向けて~海外での実施事例と科学技術・
学術政策研究所における取組の方向性~科学技術動向研究センター
http://www.nistep.go.jp/wp/wp-content/uploads/00005.pdf
ホライゾン・スキャニングを用いた新規事業立案ワークショップ
ここまではホライゾン・スキャニングについて説明していきましたが、ここからはでは企業の新規事業立案にどうやってホライゾン・スキャニングを活用するのか?ということになるかと思います。
未来年表 https://seikatsusoken.jp/futuretimeline/ よりスクリーンショット
まず最初の情報の収集と分類に関しては、生活総研が提供している未来年表(https://seikatsusoken.jp/futuretimeline/)が参考になるかと思います。
上画像のように西暦とジャンルを選ぶと、その年に予想されている事象が検索できるというスグレモノです。この情報を基にして来るべき未来に向けて自分たちはどのような製品・サービスを提供していくべきなのか?を考えることが一歩になるかと思います。
そこまでがっつり時間を取れないよ、という場合もあるかと思いますが、そんなときは弊社が提供しているジョブスタがお役に立てるかもしれません。
ジョブスタは20年後の未来に起こるとされている事象が記載されたイベントカード(上図オレンジ)を中心に、産業(同緑)、職業(同青)の3種類のカードを用いて、今後生まれくる職業や、必要となる製品・サービスを強制発想するためのツールです。(東京大学 藤本徹 氏らが開発)
ジョブスタの詳細はこちらから御覧ください。
ジョブスタ実施の流れ
その上で、情報の分析として、自社にとってのインパクトが大きな変化とその時間軸をマッピングし、まずはメインストリームの未来とそこから考えるる製品・サービスを考えます。
さらに、分析結果の展開として、Weak signalや自社にとってのエクストリームユーザーを考え、メインストリームではないが、起こる可能性がある未来を想像し、そこから考えるる製品・サービスを考えます。
このメインストリームではない未来から考え出される製品やサービスという視点がホライゾン・スキャニングを用いることの面白さだと言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は未来を洞察するための手法であるホライゾン・スキャニングのご紹介と、それを用いた新規事業立案ワークショップのやり方について書いてきました。
また、ホライゾン・スキャニングに近い考え方としてシナリオプランニングというものも注目を集めていますのであわせてぜひ調べてみてください。