日本語では燃え尽き症候群と呼ばれるバーンアウトが問題になっています。

なぜならバーンアウトからの回復、端的に言えば復職には5週間〜50週間の時間を要すると言われています。これは個人としても、組織としても大きな機会損失のように思えます。

できることならばバーンアウトしない方が良いのですが、今回はバーンアウトからの回復過程の6つの段階について書いてみたいと思います。

バーンアウトからの6つの回復過程

まずは結論から。

第一段階:問題を認める

第二段階:仕事から距離を取る

第三段階:健康を回復する

第四段階:価値観を問い直す

第五段階:仕事に関する新しい可能性を探る

第六段階:新しい仕事や変化を起こす

なお、この6段階モデルはバーンアウトにより引き起こされた深刻な事態から回復した事例を収集し、整理したBerneir(1998)の研究によるものです。

Bernier, D. (1998).
A study of coping: Successful recovery from severe burnout and other reactions to severe work-related stress. Work & Stress, 12(1), 50–65.

まず、第一段階は問題を認めるという段階で、これは現在の症状が、単なる疲労から来ているものではなく、心理的な要素が含まれていることを自分で認めるという段階です。

第二段階は仕事から距離を取るという段階です。ここでのポイントは仕事との心理的な距離を取ることです。また、職場のメンバーが休暇を取ることに理解があることも重要です。

ここでの休職の期間が先程書いた最短でも5週間〜最長50週間、平均で3ヶ月半とされています。

第三段階は健康を回復する段階で、Berneirによる20名へのインタビューによれば、寝ることが最高の特効薬であったと回答した人が多かったようです。
また、この段階では努力しないことが大事であるとも言われています。

第四段階は価値観を問い直すという段階で、自分自身を見つめ直す内省によって自分を再発見したとインタビューで回答した人が多かったようです。こう書くとポジティブに思えますが、この段階では、これまでの自分を自己否定することもあり、最も辛い段階とも言われています。

第五段階は仕事に関する新しい可能性を探る段階で、第四段階で自分という「内」に思考が向かっていたが、この段階では「外」の世界との関わりを模索するようになります。
この段階では、特に扶養する家族がいる場合に経済的な困難を体験した人が多かったようです。

最後の第六段階は新しい仕事や変化を起こすで、実は20人のインタビューの結果、休職前と同じ仕事に復帰した人は1名だけでした。仕事や役割を変えながらストレスのある職場から離れていく傾向にありました。
現実的には復職後の部署変更や、業務内容の変更が考えれます。

まとめ

いかがでしょうか。今回はバーンアウトからの6つの回復過程をご紹介しました。セルフケア研修などでバーンアウトについて触れるときの参考になれば幸いです。

参考:
教師ストレス(バーンアウト)からの回復と予防 佐野(2014)
https://ci.nii.ac.jp/naid/110009794313

バーンアウト(燃え尽き症候群)–ヒューマンサービス職のストレス (特集 仕事の中の幸福)
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2007/01/pdf/054-064.pdf

なお、バーンアウトの理解についてはこちらの書籍がオススメです。


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