Executive Decisionで学ぶマーケティング4P|Product/Priceはゲームでカバー、Promotion/Placeは振り返りで補完

【結論】市販ボードゲーム「Executive Decision」は、需要と供給の動きを体験しながらProduct(何を売るか)とPrice(いくらで売るか)を学べるマーケティング研修向けの教材です。ただし4PのうちPromotion・Placeはカバーされていないため、ゲーム後の振り返りでフレームワーク全体を補足することが重要です。

今回は珍しく、市販のボードゲームについての記事です。最近はカジュアルなパーティーゲームから経営シミュレーションまで、さまざまなボードゲームが書店やECで購入できる時代になりました。テレビでもよく取り上げられている「はぁって言うゲーム」もそのひとつです。

はぁって言うゲーム

ただ、今回紹介するのはパーティーゲームではなく、マーケティング研修で使えそうな古典的な経営シミュレーションボードゲーム「Executive Decision」です。

Executive Decisionの概要

Executive Decisionは経営シミュレーションゲームの一種で、3種類の部品を仕入れ、部品を組み合わせて製品を作り、製品を販売して売上を獲得していくゲームです。

具体的には、A・B・Cという製品があり、X-FINE / FINE / STD(Standard)という3種類の部品を組み合わせて作ります。たとえばAという製品を作るにはX-FINE2つとFINE1つが必要、といった構造です。

X-FINEはFINEやSTDの上位互換として使え、FINEはSTDとしても使えます。さらにプレイヤー同士の交渉で部品を交換することもできるため、部品の融通がゲームの戦略性を高めます。

このゲームの面白い点は、部品の仕入れ値と製品の売値が需要と供給のバランスで変動することです。たとえばX-FINEは最初1つ40で仕入れられますが、購入希望が多くなるほど次のラウンドの価格が上がります。逆に購入希望が少なければ価格が下がります。製品の売値も同じロジックで動きます。

このようなロジックの中で需要と供給のバランスを見ながら仕入れ・販売を行うため、参加者はマーケットメカニズムを直感的に学ぶことができます。

ゲームの流れの概要は以下のYouTube動画も参考になります。


参照:The Game Gallery Channel

実際にプレイしてみると逆転の要素は少なめで、序盤の部品仕入れの判断がそのまま終盤の利益に影響しやすい構造です。研修利用時はその点を踏まえて振り返りを設計するとよいでしょう。

このゲームがマーケティング研修として使えると考える理由は、マーケティングの4PのうちProduct(何を売るか)とPrice(いくらで売るか)の2つを体験的に学べるからです。

研修で扱えるマーケティング論点

Executive Decisionをマーケティング研修で活用する場合、ゲーム後の振り返りで以下の論点に展開できます。

論点 ゲーム内の体験 振り返りの問い
価格弾力性 部品・製品の価格が需要量で変動 自社製品の価格弾力性はどう測るか
製品ミックスとコスト構造 A/B/Cの必要部品の違い 自社のポートフォリオは利益率を最大化しているか
市場予測と意思決定 他プレイヤーの動きから次ラウンドの価格を予測 どの情報を見て意思決定するか
交渉と相互依存 部品交換の交渉 サプライヤー・チャネルパートナーとの関係をどう設計するか

参加者が陥りやすい失敗とファシリテーターの問い

研修の場で観察されやすいパターンとして、以下のようなものがあります。これらを振り返りの問いに転換すると学びが深まります。

・序盤に部品を買い込みすぎてキャッシュが枯渇する → 「在庫リスクをどう見積もるか」
・交渉を行わず単独で仕入れる → 「協業で得られる価値を見落としていないか」
・市場価格の動きを読まず固定戦略に固執する → 「環境変化に応じて戦略を変える判断基準は何か」

マーケティング4Pフレームワークのカバー範囲

4P要素 内容 Executive Decisionでの体験
Product (製品) 何を売るか ○ A/B/C どの製品を作るかの選択
Price (価格) いくらで売るか ○ 需要供給で売値が変動
Promotion (販促) どうやって売るか × ゲームに含まれない
Place (流通) どこで売るか × ゲームに含まれない

ただし、Promotion(どうやって売るか)とPlace(どこで売るか)はゲームの仕組みに含まれていません。研修の振り返りでは、ゲームでカバーできている部分とカバーできていない部分を明確に説明し、4Pフレームワーク全体を整理することが重要です。Promotion/Placeに関しては、ゲーム後に簡単なグループワーク(「あなたの担当製品をどのチャネルで、どんなメッセージで売るか」)を追加すると、4P全体を網羅した研修設計になります。

なお、Executive DecisionはAmazonで購入できますが、絶版のため中古で高額になっていることが多い点はご注意ください。

マーケティング研修向けの書籍紹介

ボードゲームでマーケティング4Pの一部を体験した後、理論を体系的に学ぶには以下の書籍がおすすめです。

まとめ

今回はマーケティング研修で使えそうな市販のボードゲームとしてExecutive Decisionを紹介しました。需要と供給の動きを体験しながらProduct/Priceを学べる一方、Promotion/Placeはカバーされないため、振り返りで4P全体を整理することが研修設計のポイントです。


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