ワーク・ライフ・バランスという言葉はすでに一般化された言葉だと思いますが、ワーク・ファミリー・バランス、または、ワーク・ファミリー・コンフリクトという言葉は聞き慣れない方も多いと思います。

ワーク・ライフ・バランスが仕事と私生活の両立を目指すものなのに対して、ワーク・ファミリー・バランスは仕事と家庭の両立を目指すものということになります。
イメージとしてはワーク・ライフ・バランスが1人で目指せるものなのに対して、ワーク・ファミリー・バランスは複数人で目指すものということになるでしょうか。

特に中高年者においては、仕事と親の介護と子育てというサンドイッチ世代と呼ばれる方々にとってはワーク・ファミリー・バランスは重要になるかと思います。

ワーク・ファミリー・コンフリクトとは

ワークファミリーコンフリクト

ワーク・ファミリー・コンフリクトとは画像にある通り、仕事と家庭のコンフリクト(対立)というワーク・ファミリー・バランスの否定的な部分にフォーカスした話になります。

細かい定義としては下記となります。

仕事と家庭の役割が同時に生じることで,相互に両立しがたい
役割間のプレッシャーにより生じる葛藤

Greenhaus & Beutell 1985

これまでの研究で、就学年齢未満の子供を持つ共働き夫婦(特に女性)のワーク・ファミリー・コンフリクトが高いことを示唆されています。

また、50代前半においてワーク・ファミリー・コンフリクトが高い場合、10年後の退職を有意に予測することがわかっています。(Raymo & Sweeney 2006)

さらに、ワーク・ファミリー・コンフリクトは精神的な健康や、生活満足度、生活の質を負の関係があることがわかっています。

ワーク・ファミリー・コンフリクトの概念では仕事が家庭に影響を与えるのか(仕事⇒家庭)、家庭が仕事に影響を与えるのか(家庭⇒仕事)という考え方がありますが、仕事が家庭に与える葛藤の方が仕事満足度、生活満足度に負の相関があることがわかっています。(Kossek & Ozeki 1998)

以下の質問項目に当てはまる方は仕事が家庭に与える葛藤が高い可能性があります。

・仕事で時間がふさがり、家庭での責任が十分に果たせずにいる。
・仕事があるので、家族としての義務を果たせずにいる。
・仕事のために、家でやりたいと思うことをやれずにいる。
・仕事が家庭生活に割り込んでくる。
・やらねばならない仕事のおかげで、家族のための計画を変更することがある。

まとめ

共働き家族が増えていくる中でワーク・ファミリー・コンフリクトが高まっている可能性があります。
書いてきたとおり、ワーク・ファミリー・コンフリクトはは精神的な健康や、生活満足度、生活の質を負の関係がありますので意識してバランスを取っていくことが重要です。

この記事は下記の論文を引用して記述しています。

中高年者に適用可能なワーク・ファミリー・バランス尺度の構成

富田 真紀子、西田 裕紀子、丹下 智香子、大塚 礼
国立長寿医療研究センター
安藤 富士子 愛知淑徳大学
下方 浩史 名古屋学芸大学


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