“採用弱社”の戦略論をシリーズでお届けしております。
なお、学生から見たネームバリューや認知が弱い企業 = 採用弱者、または、採用弱”社”に向けた記事となります。

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”採用弱社”の戦略論

コンピテンシー面接の「3つの欠点」

今回のテーマはコンピテンシー面接についてです。

コンピテンシーとは、特定の職務におけるハイパフォーマー(高い成果を生み出す社員)に共通する行動特性(特徴的な行動パターン)を意味し、このコンピテンシーを評価基準に組み込んだ面接手法がコンピテンシー面接と呼ばれます。

コンピテンシー面接を導入することで、(社内の)ハイパフォーマーと同じ行動特性を有する人材、つまり、入社後の活躍期待値の高い人材を採用することができます。

過去記事でも面接官研修で教える面接理論〜コンピテンシーモデル〜として下図のような図を紹介しました。

コンピテンシー面接

面接官研修で教える面接理論〜コンピテンシーモデル〜

採用のゴールは入社ではなく、入社後の活躍である」と考える場合において、コンピテンシー面接は優れた面接手法であることは間違いありません。

しかし、コンピテンシー面接は万能ではなく、幾つかの欠点があります。そして、その欠点を知らずにコンピテンシー面接を導入することで逆効果になることもあります。

そこで今回は、採用弱社が新卒採用でコンピテンシー面接の導入を検討する上で押さえておきたい3つの欠点をご紹介します。

まずは結論から。

欠点1:導入コストが大きい
欠点2:オリジナルコンピテンシーを設定しづらい
欠点3:見極めができるが志望度は上がらない

欠点1:導入コストが大きい

コンピテンシー面接を導入するには、面接官を担当する社員に対して、コンピテンシー面接の実施方法についての 研修 を行う必要があります。

特に、現場社員が面接官を行う際にはコンピテンシー面接を行う意義や、その具体的な方法を伝え、ロールプレイングを行わなければなりません。

なお、コンピテンシー面接を行う際の具体的な質問のフレームワークとしてSTARモデルがあります。

starモデル 面接

なお、STARモデルについてはこちらをご覧ください。

面接官研修で教える深掘り手法〜STARモデル〜

このようにコンピテンシー面接を導入するには導入研修を実施する必要があり、工数という意味での導入コストが大きいのは事実です。

欠点2:コンピテンシーを設定しづらい

冒頭でコンピテンシーとは、特定の職務におけるハイパフォーマー(高い成果を生み出す社員)に共通する行動特性(特徴的な行動パターン)であることを説明しました。

新卒採用におけるコンピテンシーには図で紹介した5つのレベルによる分類がよく使われますが、 自社オリジナルのコンピテンシー を設定したいと思うとなかなか大変です。

具体的に、自社の中でモデルとなるような ハイパフォーマーを抽出します。なお、モデルがいない場合は(精度は落ちますが)求める人物像からコンピテンシーを定義することも可能です。

その上で、彼らの 思考・行動プロセスを分析 したり、彼らが 学生時代にどのような行動をとっていたのかをヒアリング したりと、コンピテンシーを定義するための活動(調査や分析)にはかなりの手間がかかります。

コンピテンシー設定を採用コンサルティング会社などに依頼する手もありますが、その費用は安くはありません(工数を要する分、高額になります)。

採用弱者にとってはその費用は捻出できないというのが現実ではないでしょうか。

欠点3:見極めができるが志望度は上がらない

面接は、 見極め(評価)をするだけでなく、動機付け(志望度向上) を行う貴重な機会です。限られた面接時間の中で、見極めをしつつ、動機付けをする バランス感覚 が要求されます。

この観点において、コンピテンシー面接は学生の見極め(評価)をする手段としては優れていますが、見極めに時間を取られてしまいがちで動機付けをする時間の確保が難しいことは知っておくべきです(※)。

※ コンピテンシー面接は、一つの話題を深く掘り下げていく形式で進行します。面接をする側・面接をされる側が、互いにその場で質問や回答を考えながらの対話となり、一般的な面接と比較して時間がかかるデメリットがあります。

また、コンピテンシー面接では「なぜ、そのように考えたのですか?」「なぜ、その行動を起こしたのですか?」という具合に深堀りの質問を重ねていくため、圧迫面接をされているような印象を学生に抱かせてしまうこともあります。

せっかく見極めを行えても学生の自社への志望度が下がってしまい、次の選考を辞退されてしまうリスクがあるということも覚えておきましょう。

まとめ

いかがでしょうか。今回は世間でよく使われている面接手法であるコンピテンシー面接の3つの欠点をご紹介しました。

実施のところ、コンピテンシー面接は応募者が多く、学生の見極めをしっかりと行いたい採用強者には良い面接手法だと思いますが、応募者も少なく、選考辞退が懸念される採用弱者には面接の中で見極めよりも動機付けができるかが勝負どころだと思います。


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