今回は弊社で販売・提供を行っているキャリア教育ゲーム「ジョブスタ」の効果について開発者の明星大学 明星教育センターの福山佑樹先生らの研究論文をご紹介したいと思います。

ジョブスタとは

ジョブスタは20年後の社会に求められる職業を考えることを目的にしたキャリア教育ゲームです。

開発は東京大学の藤本 徹 氏らによるNPO法人 Educe Technologiesで、弊社(のみ)が販売・提供を行っております。

ニューヨーク市立大学のキャシー・デビットソン教授は以下のように言っています。

2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの 65% は
大学卒業時(2027年頃)に今は存在しない職業に就くだろう。

そんな馬鹿な、と思う方もいると思いますが、WEBデザイナーやスマートフォンアプリ開発者、プロサッカー選手も10〜30年前には存在しなかった職業です。

そこで、下図のようなカードを用いて、未来にどんな変化(イベント)が起こり、すると現在の職業(ジョブ)はどのように変化するのか?考え、発表します。

ジョブスタ ゲーム

グループの中で、魅力的なアイデアを出した人に投票を行い、複数回のゲームを通して最も多くの票を獲得した人が勝利となります。

ジョブスタの詳しい説明は下記から御覧ください。

ジョブスタ 実施の流れ

大学生のキャリア教育に「ジョブスタ」を利用した効果

今回は上記でご紹介したジョブスタを約240名の大学生が受講するキャリアデザインの授業内で用いたことによる事前・事後の効果について開発者の明星大学 明星教育センターの福山佑樹先生らのグループが論文を発表していますので紹介したいと思います。

大学生のキャリア形成に資するゲーム教材の実践
-社会とキャリアの関連性に着目して-

福山佑樹、見舘好隆、藤本 徹、浅見智子
日本教育工学会論文誌 43(2),127-138,2019

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjet/43/2/43_42140/_pdf

論文中では241名が受講する公立大学A大学の学生に対してジョブスタを実施し、その事前・事後でアンケートを行い、キャリア形成に資する能力を測定する尺度を用いて分析を行ったことが記載されています。

結果は以下の図にまとめられています。
ジョブスタ 効果

論文では大きく5つの能力について分析を行っています。それぞれのアンケート項目を含めて簡単に紹介したいと思います。

1.キャリア計画性
⇒私は,自分のキャリアの目的や目標がよくわかっている など
⇒GOULD(1979)の尺度を使用

2.キャリア自己理解
⇒自分の長所をどう将来の仕事上の成功に結び付けていくかよく理解している など
⇒RAABE et al.(2007)の尺度を使用

3.プロアクティブ行動
⇒大学生活で将来の仕事や職業において必要となると思われる知識やスキルを
身につけることは重要だ など
⇒CLAES and DE WITTe(2002)の尺度を使用

4.自己効力感
⇒私はたいていの困難に対処することができる など
⇒SHERER et al.(1982)の尺度を使用

5.職業に対する前向きさ
⇒どんな職業の中にも,私の能力を生かす仕事があると思う など
⇒独自作成尺度

Appendix 本研究で使用した質問項目 より

上図の分析結果を見るとプロアクティブ行動以外のキャリア計画性、キャリア自己理解、自己効力感、職業に対する前向きさの4項目については1パーセント水準で有意差が見られたとのことです。
著者はプロアクティブ行動の事前の平均値が4.44と、もともと高かったことが影響しているのではないか、と分析しています。

ジョブスタは職業と社会をつなげる?

この論文ではもう1つ興味深い研究が行われています。それは、大学生に以下のような質問をした時、どんな回答が返ってきたか?をジョブスタ実施の事前・事後で分析したものです。

仕事を選ぶ際には○○がもっとも重要だ,それは○○だからである

分析結果は下記のとおりです。
大学生キャリアゲーム

事前のアンケートでは「やりがい・興味関心」が57%、「能力・適性」が21%であったのに対して、ジョブスタ実施後のアンケートでは、「やりがい・興味関心」が40%と依然として高いものの、「社会・他者」が事前の1%から30%まで増えています

例えば、以下のような回答があったようです。

(仕事を選ぶ際には)自分の好きなもので社会のニーズがあること(がもっとも重要だ)。
(それは)自分が好きなものでないと続かないが社会のニーズがないとその仕事はなくなってしまう(からである)

この結果について著者はこのように書いています。

ジョブスタでは社会状況に応じて新しい仕事を生みだす活動を行う。
これは言い換えれば,「社会が必要に応じて新しい仕事を生み出していること」を体験したといえる。

このことを理解した学生は,自分のやりたいことだけではなく,社会状況を理解することや,ある仕事が社会へどのような貢献をしているのかを考えておくことが,不安定な社会における仕事探しに重要であるという意識を獲得したことが考えられる。

つまり、ジョブスタを実施すると自分中心のキャリア形成から自分と社会をつなげたキャリア形成という視点へと目線が高まったといえるのではないでしょうか。

まとめ

いかがでしたでしょうか。ジョブスタをキャリアデザインの授業で用いた効果についての論文をご紹介しました。
みなさんもぜひ全文ご覧いただければと思います。

大学生のキャリア形成に資するゲーム教材の実践
-社会とキャリアの関連性に着目して-

福山佑樹、見舘好隆、藤本 徹、浅見智子
日本教育工学会論文誌 43(2),127-138,2019

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjet/43/2/43_42140/_pdf

また、ジョブスタの詳しい説明は下記から御覧ください。

ジョブスタ 実施の流れ


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