みなさんの職場では、週にどれくらいの時間を会議に割いているでしょうか。各種調査によると、ホワイトカラー職の業務時間のおよそ15〜20%が会議に費やされており、管理職ではさらに比率が高い傾向があります。

その貴重な時間の中で、「意見が出ない」「誰も否定できず発散して終わる」「いつも同じ人だけが話している」といった会議のコミュニケーション問題に心当たりがある方も多いはずです。

本記事では、ファシリテーター研修でもよく取り上げられるエドワード・デボノ博士の「6色ハット」を使って、会議の思考と発言のバランスを整える方法を紹介します。

会議のコミュニケーションが活性化しない背景

会議が活性化しない背景を分解すると、多くは参加者のマインド・役割認識の問題に集約されます。

会議で起きる現象 背景にあるマインド
意見が出ない 発言を批判されるのが嫌で黙る
否定的な意見が出ない 「空気を壊すのはまずい」という遠慮
発言が浅い/同じ人しか話さない 「会議は話を聞くもの」という思い込み
方向性が定まらない 誰がまとめ役かが曖昧

これらマインドや役割認識を変えるシンプルな方法のひとつが、次に紹介するデボノ博士の6色ハットです。

会議にルールを設定しよう

ファシリテーターがいるといつもの会議はどう変わるのか?

デボノ博士の6色ハット|思考パターンを”帽子”で切り替える

6色ハット デボノ

ラテラルシンキング(水平思考)の提唱者として知られるエドワード・デ・ボノ博士が開発した発想技法がシックスハット(6色ハット)です。会議での思考パターンを6色の帽子に割り当て、「今はこの帽子をかぶって考える」というルールで思考をコントロールします。

帽子 思考パターン 発言の方向性
感情・感覚・直感 「なんとなく〜な気がする」「直感的に好きor嫌い」
評価・肯定・メリット 「これのいいところは〜」「うまくいくシナリオは〜」
提案・刷新・創造 「こうしたらどうか」「別の選択肢として〜」
俯瞰・管理・結論 「話を整理すると〜」「結論としては〜」
懸念・注意・否定 「このリスクは〜」「反対意見として〜」
数字・データ・事実 「データ上は〜」「事実として〜」

人は無意識に思考のクセを持っています。何でも否定から入る人、数字を優先する人、直感で決める人——放っておくと、会議に参加しても自分のクセに沿った発言しか出てきません

デボノ博士はその思考のクセを6つのパターンに分類し、帽子という形で見える化しました。「赤の帽子をかぶって」「黒の帽子を」と明示されることで、参加者は意識的に普段と違う思考モードを使えるようになります。

今日は赤の帽子をかぶってください」とファシリテーターから促されることで、普段は数字重視の人も”感情・感覚”からの発言を試すようになります。

6色ハットを会議で使う手順

実際に会議に導入するときの手順は、次の5ステップです。

ステップ やること
①ファシリテーターが帽子の意味を共有 6色の帽子とその思考パターンを冒頭で説明
②各参加者に帽子を割り当てる サイコロを振るor事前配布。偏らないよう調整
③役割が見える名札を付ける 自分と周囲の両方に思考パターンが見える状態に
④1人最低1回は自分の帽子で発言 沈黙しても”帽子の責任”として発言する口実になる
⑤青の帽子(俯瞰)が結論をまとめる 議論の終着は必ず青でクロージング

6色ハットが効くポイント

効きどころ 具体的な効果
発言の心理的ハードル低下 「黒の帽子だから否定します」という”言い訳”が使える
思考のクセの自覚 普段使わない帽子をかぶると自分の偏りが見える
議論の抜け漏れ防止 感情・データ・創造・批判を一周させる構造
否定的な人への対処 「今日は肯定の帽子ですよ」と役割で諭せる

6色ハットと組み合わせて使いたい手法

6色ハットは、他の会議・発想手法と組み合わせるとさらに効きます。

組み合わせ手法 使い方
ブレインストーミング 発散=緑と赤の帽子、収束=青と黒の帽子で役割分担
クエスチョン・バースト 最初の5分だけ「全員が黒の帽子で問いを出す」
ロバート議事法 議題ごとに発散→収束の時間配分を明確化

他の会議手法と合わせて押さえたい方はこちらをどうぞ。

知っておきたい会議の手法7選

問いを考えるブレスト「クエスチョン・バースト」のやり方

会議を効率的に行うための「ロバート議事法」のやり方

ゲームを用いた水平思考(ラテラルシンキング)研修のやり方

まとめ

デボノ博士の6色ハットは、思考パターンに”役割”を与えることで、会議のコミュニケーションを意図的にコントロールするシンプルで強力な手法です。

会議中のコミュニケーションが少ない/方向性が揃わないと感じているチームは、一度取り入れてみる価値があります。最初はぎこちなくても、2〜3回繰り返すうちに、“帽子”という共通言語がチームに根付いていきます。

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