人狼」 というゲームをご存知でしょうか。
数年前から流行し、現在でもイベントとして人狼会が開催されたり、人狼カードゲームが発売されていたり、LINEグループを用いた人狼運営システムがあったりと、人気は衰えていないようです。

人狼 研修
参考URL:http://jinrodou.com/whats-jinro/

カードゲームとしてアマゾンでも販売されています。

今回は、そんな人狼がコミュニケーション研修のコンテンツとして利用できるのか?という研究について紹介したいと思います。

人狼ゲームを用いたコミュニケーショントレーニングの効果測定

今回紹介するのは、人狼ゲームをコミュニケーション研修として使ったときの効果測定についての研究です。

人狼ゲームを用いた コミュニケーショントレーニングの 効果測定
東京福祉大学 丹野 宏昭

https://osf.io/t9np2/

人狼ゲームとは

まず、人狼をご存じない方に簡単に人狼というゲームを説明したいと思います。
資料の中では以下のように説明されています。

人狼陣営と村人陣営にわかれて行われる
会話を中心としたコミュニケーションゲーム。

人狼陣営は自分の正体がばれないように嘘をつき、 村人陣営は人狼陣営がだれか探す

少し詳しく書いておくと、以下のような形式です。

1.村人の中に数名の人狼が隠れています。(6人チームなら2名程度)
2.人狼同士はだれが人狼なのかを知っています。
3.村人は全ての人狼を、人狼は全ての村人を処刑すれば勝利です。
4.ゲームは昼と夜の2つのターンを繰り返して行われます。
5.昼のターンではだれが人狼なのかを全員による話し合いの中で見つけていきます。
6.昼の最後に、多数決で人狼だと思われる人物を1人処刑します。
   ※人狼側の嘘によって村人を処刑してしまう可能性があります
7.夜のターンでは、人狼側だけがコミュニケーションをとり、村人のうち1名を処刑することができます。
8.夜の最後に、処刑された人物が言い渡されます。
9.5〜8をゲームが終了するまで繰り返します。

村人は全ての人狼を、人狼は全ての村人を処刑すれば勝利です。

コミュニケーション研修としての効果

人狼 研修 効果

資料によればゲームの実施、振り返りを3回実施したときの、研修実施前、研修実施後(2週間後、3ヶ月後)の各種指標の比較による分析が行われています。

結果として以下のような結論が導き出されています。

人狼ゲームを用いたトレーニングによって、 社会的スキルと自己主張の持続的な促進効果が期待できる。

つまり、この研究では、人狼はコミュニケーション研修として効果的である、ということです。

人狼によって他者疑念が増すデメリットはみられない

また、下記のようにも記載されています。

他者疑念が増すというデメリットはみられない

人狼は嘘をついたり、つかれたり、というゲームですので、ゲームをすることで他者疑念、疑り深くなることがデメリットとして考えられますが、この研究ではそのようなデメリットは見られないということでした。

社会的スキル(KiSS-18)とは

ここで注目したいのが社会的スキルとは何か?ということです。
資料では社会的スキルを測る尺度としてKiSS-18(菊池 1998)という尺度を用いています。

KiSS-18研究ノート(菊池章夫)によればKiSS-18は Kikuchi’s Scale of Social Skills の略で、社会的スキルを18個の項目で測定する尺度とされています。

また、同資料の中で、社会的スキルとは、対人関係を円滑にするスキル、と説明されています。

KiSS-18研究ノートのダウンロードはこちからから。
ダウンロード:https://ci.nii.ac.jp/naid/110004677435

さて、KiSS-18の18項目とは以下の項目です。

1.他人と話していて、あまり会話が途切れないほうですか。
2.他人にやってもらいたいことを、うまく指示することができますか。
3.他人を助けることを、上手にやれますか。
4.相手が怒っているときに、うまくなだめることができますか。
5.知らない人でも、すぐに会話が始められますか。
6.まわりの人たちとの間でトラブルが起きても、それを上手に処理できますか。
7.こわさや恐ろしさを感じたときに、それをうまく処理できますか。
8.気まずいことがあった相手と、上手に和解できますか。
9.仕事をするときに、何をどうやったらよいか決められますか。
10.他人が話しているところに、気軽に参加できますか。
11.相手から非難されたときにも、それをうまく片付けることができますか。
12.仕事の上で、どこに問題があるかすぐに見つけることができますか。
13.自分の感情や気持ちを、素直に表現できますか。
14.あちこちから矛盾した話が伝わってきても、うまく処理できますか。
15.初対面の人に自己紹介が上手にできますか。
16.何か失敗したときに、すぐに謝ることができますか。
17.周りの人たちが自分とは違った考えをもっていても、うまくやっていけますか。
18.仕事の目標を立てるのに、あまり困難を感じないほうですか。

これらに対して以下の5つの中から自分に合致しているものを選びます。

「いつもそうだ」 = 5
「たいていそうだ」 = 4
「どちらでもない」 = 3
「たいていそうでない」 = 2
「いつもそうでない」 = 1

合計値は18〜90までの値を取るので統計的に以下のように分類されることがあるようです。

得点が54点以下が下位25%の「低社会的スキル群」

得点が63点以上が上位75%の「高社会的スキル群」

参考:
社会的スキルと学業パフォーマンスとの関連性
内藤 誼人 2013

KiSS-18については他にも面白い研究がたくさんあるので今後書いていきたいと思います。

まとめ

まとめとしては、研究によれば人狼はコミュニケーション研修として効果的であり、社会的スキルの促進に効果があるということです。

内定者研修や新入社員研修などの若手向けの研修に取り入れてみるのはいかがでしょうか。

社内で実施する際の注意点

ただし、注意点として人狼経験者と未体験者がいるかと思いますので、最初は未経験と経験者はチームを分けて実施することをおすすめします。

なお、弊社では人狼ではないものの、ゲームを用いたコミュニケーション研修を実施しております。
詳細は下記を御覧ください。

【所要時間別】コミュニケーション研修で使えるゲーム10選


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