バイアスとは|代表的な6つのバイアスとクリティカルシンキングによる対策

判断ミスを避けたい、多様性を受け入れたい、そう考える人ほど自分の中のバイアスと向き合う必要があります。

企業の意思決定・採用面接・チームマネジメント・顧客対応など、あらゆるビジネスシーンでバイアス(偏見)は判断を歪ませます。特にダイバーシティ&インクルージョンの文脈ではアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)研修が企業研修の定番となっています。

本記事ではバイアスの定義・代表的な種類・具体例を整理し、バイアスに振り回されないためのクリティカルシンキングの考え方をわかりやすく解説します。

バイアスとは?

バイアス(bias)とは英語で偏見・先入観・傾きを意味する言葉です。心理学や行動経済学の文脈では、認知の偏りを指し、人間が合理的な判断をする際に無意識に働いてしまう思考のクセとして扱われます。

ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー』や、ハンス・ロスリング『FACTFULNESS』(2019年出版、いまだに世界的ロングセラー)など、バイアスをテーマにした書籍は数多く出版されており、ビジネスパーソンの基礎教養として広く認知されるようになりました。

バイアスは悪いものではない

注意が必要なのはバイアスは悪いものではなく、生きていく上では不可欠であるということです。

バイアスとはいわば、今までの経験から導かれるパターンです。バイアスがなければ、日常の判断のたびに毎回ゼロベースで考えなければならず、意思決定のコストが膨大になります。「赤信号で止まる」「初対面の相手には敬語を使う」といった日常判断は、過去の経験から作られたパターンに従うことで素早く処理できています。

問題になるのは、バイアスを過信するあまり、今回は今までと違う状況なのに、過去と同じ判断をしてしまう時です。変化の激しい環境、多様な背景を持つ人との接点、前例のない意思決定の場面では、バイアスが判断ミスを生みやすくなります。

バイアスの代表的な種類と具体例

バイアス 種類

バイアスには数百種類あるとも言われますが、ビジネスシーンで特に押さえておきたい代表的なものを紹介します。

アンカリング効果

最初に提示された情報(アンカー)が基準になり、その後の判断が引っ張られる傾向です。

例えば、下画像のように全く同じ2枚のシャツに、それぞれ異なる値札が付いていたら、どちらを購入したくなるでしょうか?

アンカリング効果 例 シャツの値札

右側の値下げされているほうにお得感を感じる人は多いはずです。しかし2枚は全く同じシャツであり、右側の「定価2,980円」という表示が基準(アンカー)となって、1,980円が安く感じられているだけなのです。

アンカリング効果 解説

商談での価格提示、給与交渉、見積もり依頼など、最初の数字が判断基準を作るシーンで頻繁に発動します。

確証バイアス

自分が信じている仮説を裏付ける情報ばかりを集め、反証する情報を無視または軽視してしまう傾向です。「この候補者は良さそうだ」と思うと、良い面ばかりが目に入り、懸念点を過小評価してしまう、というように採用面接で特に問題になります。

正常性バイアス

自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう(Wikipedia)傾向です。災害時に「自分は大丈夫」と根拠なく考えて避難が遅れる、事業環境の変化を「自社には関係ない」と軽視して対応が遅れる、といった場面で発動します。

代表性ヒューリスティック

典型的・代表的なイメージに合致するものを、実際の確率を無視して「ありそう」と判断してしまう傾向です。「理系出身だから論理的」「営業出身だから押しが強い」といったステレオタイプはこれに該当します。採用・配属・評価の場面で注意が必要です。

後知恵バイアス

結果が出た後に「そうなると思っていた」と、自分が最初から予測できていたかのように思い込む傾向です。失敗後の振り返りで建設的な議論ができなくなる原因の1つです。

内集団バイアス

自分が属するグループの人を、他グループの人より好意的に評価してしまう傾向です。同じ部署、同じ大学、同じ趣味、といった共通項を持つ相手に無意識に肩入れしてしまうもので、ダイバーシティ推進の最大の障壁でもあります。

判断ミスを減らすクリティカルシンキング

バイアスをゼロにすることはできません。しかしバイアスが働いていることに気づき、判断を一度立ち止まって見直すことはできます。その思考法がクリティカルシンキングです。

クリティカルシンキングとは、日本語では「批判的思考」と訳されますが、他者を批判することではなく、自分の思考を健全に疑う姿勢を意味します。シンプルには以下の2つの問いを自分に投げかける思考法です。

・なぜ?(なぜ自分はそう判断したのか?)
・本当にそうなのか?(別の見方は無いか?)

先ほどのシャツの例で言えば、「右側がお得」と感じた瞬間に「本当にそうなのか?」と立ち止まり、「2枚とも同じシャツなら、どちらを買っても機能は同じでは?」と冷静に検討することで、アンカリング効果から自由になれます。

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