社内でアイデアソンをやることの4つの効果
社内でアイデアソンを実施することで得られる効果を、実務の期待値設計という観点で整理すると、「発想法の習得・社内コミュニケーション促進・新しい風土の醸成・新規事業/製品の創出」の4つになります。
よくある失敗は「4(新規事業創出)」を主目的に据えてしまい、実現可能なアイデアが出ずに失望してしまうこと。本記事では、主目的を1〜3に置き、4は副産物として扱うべき理由を、SCAMPER法の解説や実施設計のポイントと合わせて解説します。
ハッカソン・アイデアソンとは何か
ハッカソンは「ハック+マラソン」の造語で、もともとはIT系エンジニアが数時間〜数日間でマラソンのように新しいサービスを開発する開発合宿のようなものです。
アイデアソンは「アイデア+マラソン」の造語で、ハッカソンの前段階としてどんなサービスを開発すべきかを集中的に発想する取り組みを指します。現在はアイデアソンだけ単独で実施されるケースも多く、社外向け・社内向け双方で活用されています。
世界的に有名な外部プログラムとしてはスタートアップウィークエンド(3日間で起業体験)があります。
https://nposw.org/
近年は自社の部署横断・他部署混合メンバーで社内アイデアソンを企画する企業も増えてきました。本記事ではこの社内アイデアソンにフォーカスします。
社内アイデアソンで得られる4つの効果
2. 社員間のコミュニケーションが促進される
3. 新しいことをやっていこうという風土が生まれる
4. 新規事業・製品が生まれる
順番に解説します。
効果1. 発想法を学ぶことができる
実施前にSCAMPER法などの発想法を講義形式で伝えることで、イベント性だけでなく受講者の創造性を高める研修効果が得られます。
SCAMPER法は以下の7つの観点で既存のアイデアを変形し、新しいアイデアを生み出すフレームワークです。
Combine:結合できないか?
Adapt:応用・適用できないか?
Magnify / Modify:拡大できないか?修正できないか?
Put to other uses:ほかの使い道はないか?
Eliminate:削除できないか?
Rearrange / Reverse:再編成できないか?逆にできないか?
SCAMPER法以外にも、KJ法(発散した付箋を収束させる)、オズボーンのチェックリスト(SCAMPERの原型)、TRIZ(技術的矛盾を解決する40の発明原理)、デザインスプリント(5日間の意思決定+プロトタイピング)などの発想法があります。目的と時間に応じて使い分けるのが望ましいです。
効果2. 社員間のコミュニケーションが促進される
チームビルディングの古典的な前提として、「共通の目的に向かって何かをする(できれば遊びに近いこと)」が挙げられます(子どもが仲良くなるプロセスのイメージ)。
アイデアソンでは「新しい事業を考えよう」というテーマのもと、くだらないアイデアも含めて話し合うため、普段は業務で接点が少ないメンバー同士でも共通のテーマで対話できます。これにより部署横断の関係性構築が進み、社内アイデアソンはチームビルディングの効果も兼ね備える施策になります。
効果3. 新しいことをやっていこうという風土が生まれる
アイデアソンで話し合われるテーマは「新しいXX」「既存XXの改善」などポジティブなテーマで、アウトプットは「これまで発想になかった」新しいアイデアが多くなります。
成熟した産業や硬直化した組織では、アイデアソンを実施すること自体が「新しいことをやっていこう」というメッセージになります。DX推進・CX向上・新規事業創出といった文脈で経営層が重視するのも、この風土醸成効果があるためです。
ただし注意点として、出てきたアイデアを実行に移すサポート体制がないと逆効果です。「どうせ会社/部門は変わらない」という諦めを強化してしまい、社内アイデアソンそのものへの参加意欲が失われます。後述する「実施設計のコツ」で具体策を解説します。
効果4. 新規事業・製品が生まれる
最後の効果は「新規事業」や「既存の改善」案の創出です。くだらない着想の中から普段は思いつかないアイデアが生まれたり、複数部署が混ざることで当たり前と思っていた前提に気づき、ブレークスルーが起きることがあります。
ただし、この効果は期待値を適切に設定する必要があります。社内アイデアソンは「新規事業・製品を生み出すため」に実施されることが多いものの、上記1〜3の目的に対する副産物として「新規事業・製品」案が生まれる、ぐらいに考えたほうが良いというのが実施経験からの知見です。
高すぎる期待値を持った経営層がアイデアをフィードバックする設計にしてしまうと、「実現可能性があるアイデアはほとんどなかったね」という結論になりがちで、参加者のモチベーションも下がります。
社内アイデアソン実施設計の5つのコツ
社内アイデアソンを「効果が出た」イベントにするための設計ポイントを整理します。
①テーマを絞る: 「何でも良い」は一見自由度が高いですが、実際はアイデアが収束しにくくなります。「新規事業」「業務改善」「顧客体験」など1テーマに絞るほうが議論が深まります。
②混合チーム編成: 同じ部署だけでなく、部署・役職・年齢・性別をまたいだ混合チームで組む。多様性が発想の幅を広げます。
③SCAMPERなどの発想法を冒頭に講義: 発想の「型」を先に渡すことで、沈黙時間が減り議論が加速します。
④アイデアの実行サポート設計: 優秀賞・インキュベーション制度・20%タイム・小規模予算付与など、選ばれたアイデアの次ステップを事前に定義する。これが効果3の成否を左右します。
⑤経営層の適切な関与: 経営層が「実現可能性」だけで評価するとモチベーションが下がります。「面白い観点」「新しい視点」など多面的な基準で評価し、1〜3の効果を評価対象に含める設計にします。
アイデア発想と実行を体験する:ジョブスタ
アイデアソンで狙う発想力・当事者意識・チーム推進力は、テーマを「未来の職業創出」に置き換えるゲーム形式でも鍛えられます。弊社では新規事業立案を疑似体験する研修ゲーム「ジョブスタ」を提供しています。

ジョブスタは、カードを組み合わせて未来の職業を創り出すゲーム型研修。アイデア発想と選択、チーム内での検討プロセスを短時間で体感できます。社内アイデアソンの代替・前段としても活用いただけます。
2026年3月現在、ジョブスタの導入社数は90社、受講者満足度は4.9(5点満点)となっております。
詳細はジョブスタ紹介記事もご覧ください。
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※同業他社様からのお問い合わせはご遠慮ください。
社内アイデアソンに関するよくある質問
Q. オンラインでもアイデアソンは成立しますか?
A. Miro・FigJam・Notionなどのオンラインホワイトボードを用いれば十分成立します。対面より議論の熱量は下がりがちなので、ブレイクアウトルームと全体共有のリズム設計が重要です。
Q. 何人規模で実施するのが理想ですか?
A. 1チーム4〜6名、合計3〜6チーム(15〜30名)が標準的です。ファシリテーター1名、運営補助1〜2名を別途用意するとスムーズに進行できます。
Q. 時間はどれくらい必要ですか?
A. 半日(4時間)〜1日(7〜8時間)が目安。SCAMPER等の発想法解説30分、テーマ理解30分、発散60分、収束60分、プレゼン準備60分、発表60分+振り返り、という構成が基本パターンです。
まとめ
社内アイデアソンは、発想法の習得・社内コミュニケーション促進・新しい風土の醸成という3つの効果を主目的に据え、新規事業創出は副産物として扱うのが成功の秘訣です。テーマ選定・混合チーム編成・発想法事前講義・実行サポート設計・経営層の関与を押さえれば、社内の関係性と発想の幅が着実に広がります。
関連テーマとしてゲームを用いたデザイン思考の研修、心理的安全性を知り、高めるゲーム型研修「ベストチーム」もあわせてご覧ください。
