社内勉強会のメリットと進め方|人が育つ風土をつくる双方向の学び

進め方は「目的とテーマ→形式→時間と頻度→役割の持ち回り→続ける工夫」の5ステップで設計し、輪読会が続かない場合は本を1冊その場で分担して読むABD(アクティブ・ブック・ダイアログ)が有効です。
この取り組みこそが、自発的に「人が育つ風土」を社内に生み出すための鍵となります。
目次
1. 社内勉強会が活発な企業に共通する「変化の速さ」
2. 社内勉強会の4つのメリット
3. 「人を育てようとしない風土」の解決になりうる社内勉強会
4. 社内勉強会の進め方5ステップ
5. 具体例:本を1冊持ち寄る社内勉強会「ABD」
6. まとめ
7. 社内勉強会についてよくある質問
8. ジグソーメソッドを体験する研修ゲーム「ジグソータウン」
9. 研修導入をご検討の方へ
私の周りのIT企業ではエンジニアを中心に社内勉強会が活発に行われています。
内容としては、先週に行ってきたカンファレンスの報告、カンファレンスで話す内容の予行練習、読んだ本の紹介、最近知ったサービスを紹介するなど様々です。
本記事では、社内勉強会が「人を育てる」仕組みとして機能する理由(メリット)と、実際に立ち上げて続けるための進め方を解説します。
社内勉強会が活発な企業に共通する「変化の速さ」
IT企業のエンジニア職界隈で社内勉強会が活発に行われている理由の1つとして上げられるのは「時代の変化の速さ」でしょう。
日進月歩で進化するIT業界の中では既存の知識にしがみついて仕事をし続けることは不可能です。
しかし、その変化の速さゆえ、1人では変化を捉えきることは出来ません。
そこで、社内勉強会という形で各メンバーが捉えている変化を共有し、個人では補いきれない部分を相互補完しているのです。
いわば、教育・研修の分野でジグソーメソッドと呼ばれている手法です。
各個人はジグソーパズルのピースを持っていて、それぞれがピースを持ち寄って全体のパズルを完成させるさまを表しています。
教育研修で活用されるジグソーメソッド(ジグソー法)とは?
社内勉強会の4つのメリット
【要点】社内勉強会のメリットは、①1人では追いきれない変化をメンバー同士で相互補完できる、②「育てる側の献身」に依存せず学びが回る、③人に説明する側が最も理解を深める、④部署や役職を越えた関係ができ心理的安全性の土台になる、の4点です。研修のように体系立った知識は得づらい一方、業務時間の一部で継続でき、外部コストがほぼかからない点も実務上の利点です。
メリット1:1人では追いきれない変化を相互補完できる
前述のとおり、変化の速い分野では1人で全体を捉えることは不可能です。
社内勉強会は、各自が仕事の中で捉えた変化や試した技術を持ち寄る場になるため、個人では補いきれない部分をチームで補い合うことができます。
メリット2:「育てる側の献身」に依存しない
上司や先輩が時間を割いて部下を育てる単方向の教育は、育てる側の余裕と献身に依存します。
社内勉強会は全員が「自分が育つため」に参加する双方向の学び合いなので、特定の誰かの負担に頼らずに回すことができます。この点は次のセクションで詳しく述べます。
メリット3:人に説明する側が最も理解を深める
勉強会で発表するには、自分の知識を整理し、他者に伝わる形に組み立て直す必要があります。
発表準備の過程で「分かったつもり」だった箇所が明確になるため、教わる側だけでなく、教える側にとっても学びの機会になります。
これは、OJTトレーナー自身が育つ「育成座談会」と同じ構造です。
OJTトレーナー自身も育つ「育成座談会」という取り組み
メリット4:部署・役職を越えた関係が心理的安全性の土台になる
勉強会は業務上の指揮命令から切り離された場なので、部署や役職を越えて「分からない」「教えてほしい」と言いやすい関係が生まれます。
こうした関係は、失敗や疑問を率直に口に出せる心理的安全性の土台となり、学習する組織づくりにもつながります。
心理的安全性と学習する組織の関連
「人を育てようとしない風土」の解決になりうる社内勉強会
【要点】「人を育てようとしない風土」が生まれる背景には、新人がすぐ辞める・育てようとすると「パワハラ」と言われる・成果主義で自分の成果が優先になるといった構造があり、誰かが誰かを育てる単方向の学びは形成されづらくなっています。社内勉強会は「全員にとって自分が育つため」の取り組み、つまり双方向の学び合いであるため、この構造の中でも成立します。構造化された学びは得づらい一方、育てる側の献身に依存しない点がこの風土の解決策になりえます。
「新人が育たない」「部下が育たない」「上司が育てようとしていない」という問題は多くの企業が抱えている悩みではないでしょうか。
特に「人を育てようとしない風土」は大きな問題です。
社内勉強会という取り組みはこれらの問題を解決する1つの方法かもしれません。
そもそも、現在の社会構造では「人を育てようとする方が難しい」かもしれません。
育てようと思っているのに「パワハラ」だと言われてしまう
成果主義なのでどうしても自分の成果が優先になる
自分自身も会社を辞めるかもしれない
このような構造では「誰かが誰かを育てよう」とする単方向の学びは形成されづらいものです。
しかし、社内勉強会は少し勝手が違います。
社内勉強会は「全員にとって自分が育つため」の取り組みなのです。
双方向の学び合いとでもいえるでしょうか。
もちろん、社内勉強会では、誰かが持っている多くの知識を教えるというよりも、それぞれの持つ知識の一部を持ち寄るという形ですので、構造化された学びは得づらいかもしれません。
※ネットの記事よりも本の方が構造的にまとまっているというイメージです
しかしながら、個人としては企業としても時代の変化に対応していくためには学び続けることが重要になることは間違いありません。
社内勉強会の進め方5ステップ
【要点】社内勉強会は「①目的とテーマを決める→②形式を決める→③時間と頻度を固定する→④発表者・進行役を持ち回りにする→⑤続けるための工夫をする」の5ステップで設計します。最初から完成度を求めず、準備の負荷が低い形式(LT・カンファレンス報告)から始めて、必要に応じて輪読会やABDへ広げるのが定着させるコツです。
ステップ1:目的と「何を持ち寄るか」を決める
「最新技術の情報共有」「業務で試したことの共有」「1冊の本を全員で読む」など、何を持ち寄る場なのかを最初に決めます。
目的が曖昧なまま始めると、発表者がテーマ選びに悩んで準備が重くなり、そこで止まってしまいます。
ステップ2:形式を決める
代表的な形式と、準備の負荷・向いている場面を整理すると次のとおりです。
| 形式 | やること | 準備の負荷 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| LT(ライトニングトーク) | 1人5〜10分で最近知ったこと・試したことを話す | 低い | ネタが小さくても続けたい/発表のハードルを下げたい |
| カンファレンス・セミナー報告 | 参加してきた人が要点と現場への示唆を共有する | 低い | 外の変化を組織に取り込みたい |
| 輪読会 | 1冊を章ごとに分担し、事前に読んできて議論する | 高い(事前読書が要る) | 体系的な知識を身につけたい |
| ABD(アクティブ・ブック・ダイアログ) | その場で1冊を分担して読み、要約→リレープレゼン→対話 | 中程度(事前読書は不要) | 輪読会が続かなかった/全員に確実に読ませたい |
ステップ3:時間と頻度を固定する
「隔週の水曜16時から45分」のように、曜日・時間・長さを固定します。毎回日程調整をしていると、業務の繁忙に押されて自然消滅しがちです。
業務時間内に置くか就業後に置くかは会社の方針によりますが、業務時間内に置いた方が参加のハードルは下がります。
ステップ4:発表者と進行役を持ち回りにする
特定の人だけが発表し続けると、その人の負担が増えるうえ、他のメンバーが「聞くだけ」の単方向の学びに戻ってしまいます。
発表者と進行役を持ち回りにすることで、メリット3で述べた「説明する側の学び」を全員に回すことができます。
ステップ5:続けるための工夫をする
・発表資料は「完成していなくてよい」と最初に決めておく(準備のハードルを下げる)
・参加は任意にし、来られない回があっても責めない
・発表内容や議論のメモを社内Wikiやチャットに残し、参加できなかった人も後から追えるようにする
・カンファレンス参加やセミナー受講と組み合わせ、「参加した人が次回報告する」という流れを作る
事前に動画や資料で予習し、集まる時間を議論に使う反転学習の考え方を取り入れると、短い時間でも密度の高い勉強会になります。
企業研修に反転学習を導入!初心者でも成功する2つの方法とコツ
社内勉強会が続かない時のチェックポイント
・発表者がいつも同じ人になっていないか(ステップ4)
・準備に時間がかかりすぎる形式を選んでいないか(ステップ2)
・「成果を出すこと」を勉強会に求めすぎて、参加者が萎縮していないか
・日程が毎回変わり、業務に押し出されていないか(ステップ3)
輪読会が「読んでこない人が出て成立しない」という理由で止まった場合は、次に紹介するABDが解決策になります。
具体例:本を1冊持ち寄る社内勉強会「ABD」
【要点】「構造化された学びが得づらい」という社内勉強会の弱点を補うのが、本を教材にするやり方です。アクティブ・ブック・ダイアログ(ABD)は、1冊の本をその場で裁断してページを分担し、各自が要約をつくってリレープレゼンと対話まで数時間で行う参加型の読書手法です。全員が必ず担当ページを読む状態がつくられるため、知識を「持ち寄る」形を保ったまま、本という構造化されたコンテンツを扱えます。

ABDは、NPO法人「場とつながりラボHOME’S VI」の竹ノ内壮太郎氏によって開発され、同法人代表理事の嘉村賢州氏らの活動を通じて企業研修の現場に広がった手法です。
各参加者が担当ページという「ピース」を持ち寄って1冊を読み切るという意味で、まさに前述のジグソーメソッドを読書に応用した形といえます。事前に本を読んでくることを前提にした従来の読書会と違い、その場で分担して読むため「読まずに参加する人が出ない」のも、社内勉強会として運用しやすい点です。
アクティブ・ブック・ダイアログ(ABD)という新しい本の読み方
まとめ
・社内勉強会は断片的に広い知識を得ることができる(メリット1)
・今の構造では教える、教わるの単方向の学びは難しくなっている
・社内勉強会は育てる側の献身に依存しない双方向の学びになりえる(メリット2)
・進め方は「目的→形式→時間と頻度→持ち回り→続ける工夫」の5ステップ
・輪読会が続かないならABDで「全員が読む」状態をつくる
社内勉強会についてよくある質問
Q. 社内勉強会は業務時間内と就業後のどちらで行うべきですか?
会社の方針によりますが、参加のハードルを下げて「人が育つ風土」につなげたいのであれば、業務時間内に固定枠を設ける方が定着しやすくなります。就業後に置く場合は参加を任意にし、参加しないことを責めない運用が前提になります。
Q. 発表するネタがなくて続きません。どうすればよいですか?
「最近業務で試したこと」「読んだ本の1章」「参加したセミナーの報告」のように、持ち寄るものを小さく定義し直してください。完成した発表資料を求めず、LT(5〜10分)形式にするとネタのハードルが下がります。輪読会で「読んでこない人が出る」ことが原因なら、その場で分担して読むABDが有効です。
Q. 社内勉強会と研修は何が違いますか?
研修は体系立てられた知識を専門家から一方向で学ぶ場、社内勉強会はメンバーが持つ断片的な知識を持ち寄って双方向で学び合う場です。社内勉強会だけでは構造化された学びは得づらいため、本を教材にするABDや、外部研修の内容を勉強会で共有する形で組み合わせると補い合えます。
Q. 勉強会で「情報を持ち寄って協力する」感覚をチームに体験させる方法はありますか?
メンバーそれぞれが異なる情報を持ち、口頭で伝え合って1つの答えを導く「ジグソーメソッド」型のビジネスゲームを研修やキックオフで行う方法があります。勉強会を始める前に、情報を出し合うことで初めて全体像が見える体験をしておくと、勉強会の意義が共有しやすくなります。
ジグソーメソッドを体験する研修ゲーム「ジグソータウン」
社内勉強会の土台となる「1人ひとりが持つ情報を持ち寄って全体像をつくる」感覚を、チームで体験できるのが地図作成ゲーム「ジグソータウン」です。
参加者に配られた視点カード・情報カードの内容を口頭でのみ伝え合い、街の地図を完成させるチームビルディングゲームで、ジグソーメソッドをそのままゲームにした構造になっています。

2026年9月現在、ジグソータウンの導入社数は約100社、受講者満足度は4.89(5点満点)となっております。

【対象人数】3〜100名超(1チーム3〜6名推奨)
【実施時間】60〜80分程度(グループワーク40分)
【提供方法】キットレンタル(社内講師型)/講師派遣
新入社員研修や全社会議のアイスブレイクとして、勉強会文化を根づかせる前の「学び合いの体験」に活用いただけます。
地図作成ゲーム「ジグソータウン」のやり方
研修導入をご検討の方へ
弊社では研修をご担当されている方に向けて、体験型のビジネスゲーム研修を提供しています。
弊社では地図作成ゲーム「ジグソータウン」の情報カードや運営用スライド(pptx形式)、講師向け動画マニュアル、ワークシートなどを含むゲームキットのレンタルによって、社内講師での実施を可能にしています。

提供するパワーポイントには講師向けのトークスクリプトや解説が含まれているため、初めて社内講師を務める方でも進行できます。

詳細な資料、お見積りをご希望の方はまずは下記より資料請求をお願いします。
※同業他社様からのお問い合わせはご遠慮ください。


下記が受講者の主な反応でした。
「伝わるような話し方をしようと思いました。」
「伝える」を意識できている人は多いですが、「伝わる」まで意識できるケースが少ないかも、と思いました。
ボードゲーム的な要素は今後の研修でも継続できると良いと思います。
どれだけコミュニケーションが重要かを学ばさせていただきました。
遊び感覚、皆で話し合いながらコミュニケーション取れたので良かったです。