2018年9月号のハーバード・ビジネス・レビューの特集「発想するチーム」に興味深い記事が掲載されていました。

タイトルは、ブレインストーミングではあえて「問い」を追求せよというもので、MITのハル・グレガーセン氏の論文です。

ハル・グレガーセン氏はあの、イノベーションのDNAの著者でもあります。

今回はこの論文の中で、紹介されているクエスチョン・バーストという新しいブレストの手法について紹介したいと思います。

クエスチョン・バースト誕生の経緯

ハル・グレガーセン氏はMBAのクラスの中で学生たちにブレインストーミングを実施していましたが、問いが難しかったのか、ありきたりなアイデアばかりがでて、盛り上がりに欠けていました。

そこで、氏が最近の読んだ本の影響を受けて、とっさに「このブレストではアイデアを出すのではなく、この問題についての新たな問いを考えてみましょう」と、提案しました。

すると、問題についての解決策となるアイデアを出すブレストよりも有意義であったというところからクエスチョン・バーストという手法が生まれることになりました。

なお、クエスチョン・バーストについてはハル・グレガーセン氏のホームページでも細かく紹介されています。

https://halgregersen.com/big-ideas/question-burst/

クエスチョン・バーストの効果

問題についての解決策ではなく、問題についての問いを考える、というクエスチョン・バーストとは簡単に言うとどういうことで、どのような効果があるのでしょうか?

例えば、新入社員の成長速度を高めるためにはどうすればよいか?というテーマでブレインストーミングを行う場合、通常のブレインストーミングでは、問いについての解決策を考えるところですが、クエスチョン・バーストでは、この問いについての問いのみを考えます。

例えば

・何ができるようになったら成長したと呼べるのか?
・新入社員の成長を阻害している要因はなんだろうか?
・上司はどこまで手を差し伸べるべきだろうか?
・成長速度を高めることは本当に良いことなのだろうか?

といったような問題についての問いをできるだけ多くリストアップするというものです。

このように問題についての問いを行うことで以下のような効果を得ることができます。

・問題についての自分たちの思い込みに気づくことができる
・問題についての理解度が増す(表面的ではなくなる)
本当に解決すべき問題が見えてくる
・メンバー間の前提条件が整う

クエスチョン・バーストのやり方

それでは、クエスチョン・バーストの具体的なやり方について紹介したいと思います。大きく3つのパートから成っています。

1.Set the Stage
⇒舞台を準備する

2.Brainstorm the questions
⇒問いのブレストを行う

3.Identify a quest – and commit to it
⇒問いを見極め、全力で取り組む

1.Set the Stage

まずは、「Set the Stage」ということで、日本語では「舞台を準備する」とされています。

・自分たちが深く気にかけている課題を選択します

・その課題について新鮮な視点を持って協力してくれる数名の協力者をブレストに招待します

・招待する人の理想形はその問題について直接的な経験の無い人や、あなた達とは考え方が全く違う人が推奨

2分以内で招待者にあなた達の問題を共有します。

ポイントは協力者の存在と、2分以内という問題の共有時間です。

通常のブレインストーミングもそうですが多様な参加者で話し合ったほうがありきたりなアイデアではなく、突飛な、(時には)優れたアイデアがでることがあります。そこでクエスチョン・バーストでも、問題に直接的な経験のない人の参加を推奨しています。

また、招待者への問題の共有時間が2分以内と短いのもポイントです。このように短い時間に設定することで問題の肝となる部分だけを共有することになり、大局的な視点で問題を考えることができます。

2.Brainstorm the questions

続いて、「Brainstorm the questions」ということで先程紹介した、問いのブレストを行います。

・ブレストは4分間で行います。

・課題についての問いをできるだけ多くだすことが重要です。

問いについての答えや、問いを出した理由を話してはいけません

4分間で15-20個の問いを生み出さなければなりません

・出てきた問いは話したとおり、聞いたとおりに(紙などに書いて)記録する

ポイントは4分間で15-20個という、短時間でできるだけ多くというところです。このようにすることで、途中で問いについての解決策を考え出すことができなくなる効果があるようです。

3.Identify a quest – and commit to it

最後が「Identify a quest – and commit to it」で、問いを見極めて、全力で取り組むプロセスとなります。

・問いブレストで出てきた問いを見返す

・2〜3個の現状をぶち壊す核心的な問いを選択する

・選んだ核心的な問いを解決するアイデアを考える

このプロセスによって、氏は「問題解決への新たな小道が見える」だろうと記しています。

以上がクエスチョン・バーストの具体的なやり方です。さらに細かい部分についてはHBRをご覧ください。

クエスチョン・バーストとプロアクションカフェ

ここまで、クエスチョン・バーストについて紹介してきましたが、この論文を読んでいて、私はプロアクションカフェに近しいなと感じました。

プロアクションカフェ
画像参照:http://yukogendo.com/?p=2829

長くなってしまうのでプロアクションカフェについては別の記事に譲りたいと思いますが、簡単に書くと、問題を持っている人(提案者)に対してサポーター(支援者)が協力して問題解決を行う対話の手法です。

プロアクションカフェは3ラウンドで行い、各ラウンドで話し合う問いが大筋で決められています。

1ラウンド目:提案者から問題についての説明と、前提条件についての質問

2ラウンド目:その問題を解決するために不足していることへの質問

3ラウンド目:エレガントでミニマムな最初の1歩についてのブレスト

いかがでしょうか。ややクエスチョン・バーストに似ていると思いませんか?さらにプロアクションカフェについて知りたい方はこちらをご覧ください。

プロアクションカフェについて

まとめ

いかがでしたでしょうか。クエスチョン・バーストという問いについてのブレストについて紹介しました。

ぜひ社内のブレストで活用してみてください。