SMARTの法則|目標設定の形骸化を防ぐ5つの条件と2つのバージョンを図解したインフォグラフィック

【結論】目標設定の形骸化を防ぐ「SMARTの法則」には、基本版のほかに「Agreed upon(同意)」と「Result-oriented(成果直結)」を取り入れた別バージョンがあります。
企業の実務でMBOやOKRを運用する際は、上司と部下の納得感を高めて業績向上に直結しやすいこの別バージョンの活用がおすすめです。
5つの指標を正しく使い分け、形骸化しない目標を設定しましょう。

目次

1. 目標設定が雑だと何が起こるか
2. SMARTの法則(基本バージョン)
3. 別バージョンのSMART|A・Rが変わる
4. 目標設定例でバージョンを比較
5. SMARTを使うときの注意点
6. まとめ

2026年の新年度や期初にあたり、多くの企業で目標設定(MBO・OKR等)の見直しが行われる季節です。目標管理の仕組みは導入されていても、“良い目標とは何か”まで丁寧に議論されている企業は意外と多くありません。

目標設定の王道フレームワークとして、今も多くの企業で活用されているSMARTの法則を、2つのバージョンの違いと、実務で使える目標設定例まで含めて整理します。

SMARTの法則 目標設定の5要素

目標設定が雑だと何が起こるか

【要点】目標設定が雑だと、目標が抽象的で評価できなかったり、「頑張る」といった定性目標のみになったりする問題が生じます。また、ハードルが高すぎてやる気を失ったり、簡単すぎて成長が止まったり、達成しても成果に繋がらないといった弊害も。これらの目標設定の形骸化を防ぎ、具体的な目標設定を可能にするのが、これから紹介するSMARTの法則です。

まず、なぜ目標設定のフレームワークが必要かを押さえておきます。

雑な目標設定で起きること 背景
目標が抽象的で評価できない “頑張る”等の定性目標だけになる
ハードルが高すぎてやる気を失う 達成可能性の検討を飛ばしている
簡単すぎて成長が止まる 達成60〜70%水準を意識しない
目標達成しても成果に繋がらない 業績との因果が弱い目標を置いている

この雑さを補正するのが、これから紹介するSMARTです。

SMARTの法則(基本バージョン)

【要点】SMARTの法則とは、目標設定において満たすべき5つの条件を定めたものです。Specific(具体的)Measurable(計測可能)、Achievable(達成可能)、Realistic(現実的)、Timely(期限が明確)の頭文字を取っており、覚えやすい名称も相まって世界中で広く活用されています。

SMARTは5つの英単語の頭文字を取ったもので、目標が満たすべき5条件として定着しています。

頭文字 英語 意味
S Specific 具体的であること、わかりやすいこと
M Measurable 計測可能であること、数字になっている
A Achievable 達成可能であること
R Realistic 現実的であること
T Timely 期限が明確であること

覚えやすい名前も、SMARTが世界的に広まった一因です。

別バージョンのSMART|A・Rが変わる

【要点】SMARTの法則には、広く使われているもう一つのバージョンが存在します。特に「A」と「R」の頭文字が異なり、基本バージョンの「Achievable(達成可能)」と「Realistic(現実的)」に対し、別バージョンでは「Agreed upon(同意していること)」と「Result-oriented(成果に基づく)」となります。この別バージョンは、実務においてより使いやすいとされています。

実はSMARTにはもうひとつ広く使われているバージョンがあります。特にA・Rの中身が基本バージョンと異なります。

頭文字 基本バージョン 別バージョン(推奨)
S Specific Specific
M Measurable Measurable
A Achievable(達成可能) Agreed upon(同意していること)
R Realistic(現実的) Result-oriented(成果に基づく)
T Timely Timely

なぜ別バージョンの方が実務で使いやすいのか——具体例で比較してみます。

目標設定例でバージョンを比較

例として、ある営業担当者の営業成績を上げるという目標をSMARTで具体化してみます。

基本バージョンで設定した例

要素 内容
S(具体的) アポ取得率を上げる
M(計測可能) アポ取得率を現在から20%増やす
A(達成可能) 20%は達成可能だと思われる
R(現実的) 20%は現実的だと思われる
T(期限) 3ヶ月後までに達成

実際に書いてみると、M・A・Rの区別が曖昧になるのがわかります。”達成可能で現実的”は感覚的には似た意味なので、2つを埋めても得られる情報が少ないのです。

別バージョン(Agreed upon/Result-oriented)で設定した例

要素 内容
S(具体的) アポ取得率を上げる
M(計測可能) アポ取得率を現在から20%増やす
A(同意していること) この目標に上司・部下が同意している
R(成果に基づく) アポ取得率向上が営業成績向上に効果的
T(期限) 3ヶ月後までに達成

2つの工夫がかかっています。

ポイント 効果
Agreed upon(同意) 上司/部下の納得感を目標設定時に確保
Result-oriented(成果直結) “目標達成したのに成績が上がらない”問題を防ぐ

目標に納得感がなければ達成意欲は湧かず成果に直結していなければ目標達成しても成績は上がりません。企業内で使うなら別バージョンのSMARTがおすすめです。

SMARTを使うときの注意点

【要点】SMARTの法則は目標設定に有効ですが、使い方を誤ると形骸化を招く可能性があります。特に、評価制度をSMARTだけで完成させないこと、チェックリスト化しすぎないこと、そして達成可能(A)と現実的(R)を混同しないことが重要です。また、Timelyの期限を長く取りすぎず、短い振り返りサイクルで軌道修正を図り、OKRなど他のフレームワークと組み合わせることで、より効果的な目標設定が可能になります。

注意点 内容
SMARTだけで評価制度を完成させない チームの非連続な挑戦はOKRの方が向く
チェックリスト化しすぎない “5項目埋めたからOK”の思考停止に注意
AとRを混同しない 達成可能(A)と現実的(R)は似て非なるもの
Timelyの期限を長く取りすぎない 短い振り返りサイクルで軌道修正

OKRと組み合わせて使いたい方は、以下の記事もあわせてどうぞ。

OKRのやり方〜KRの設定と因果ループ図〜

その目標が組織をダメにする(東芝の不正会計より)

【スピードタッチ】講師不要!チームで「ストレッチ目標」のコツを1時間で体感

目標未達の部下へのフィードバック|4つのケース別の対処法と声かけ例

マンダラートを使った目標設定シートの作り方

まとめ

【要点】SMARTの法則は、目標を具体化するための「Specific/Measurable/Achievable(orAgreed upon)/Realistic(orResult-oriented)/Timely」という5つの条件からなるフレームワークです。企業で活用する際は、Agreed uponResult-orientedのバージョンを用いると、目標への納得感と成果への直結性を両立できます。目標設定や1on1、期初レビューの場面で効果を発揮します。

SMARTの法則は、Specific/Measurable/Achievable(orAgreed upon)/Realistic(orResult-oriented)/Timelyの5つの条件で目標を具体化するフレームワークです。

企業内での運用では、Agreed upon+Result-orientedのバージョンを使うと、納得感と成果直結性を同時に担保できます。目標設定・1on1・期初レビューの場面でぜひ取り入れてみてください。


この記事を書いた人

千葉 順
千葉 順
株式会社HEART QUAKE 代表取締役
元法政大学兼任講師(キャリアデザイン論)
→ 詳しいプロフィール

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