仕事における目標設定の具体的な方法として、ビンゴを用いたインセンティブビンゴという手法があります。目標管理というとMBO・OKR・KPIなどの仕組みが頭に浮かびがちですが、インセンティブビンゴは目標達成の「支え合い」を自然に生む、組織文化づくりにも効く軽量な仕組みです。

この方法は、株式会社リンクアンドモチベーションの代表取締役・小笹芳央氏の著書『モチベーション・マネジメント』で紹介されています。

インセンティブビンゴとは

インセンティブビンゴは部門や個人の目標を3×3のマスに配置し、ビンゴの要領で目標達成を促す仕組みです。

インセンティブビンゴ 目標配置

各目標が達成されたらそのマスにチェックが入ります。ビンゴの要領で、縦・横・斜めのいずれかの1列のマスすべてにチェックが入ったら、その列の達成者(もしくは部門)に特別なインセンティブ(表彰・報酬など)を与える、というルールです。

インセンティブビンゴ 目標達成ゲーム

インセンティブビンゴの3つの効果

インセンティブビンゴは、目標設定にゲームの要素(ゲーミフィケーション)を加えることで、以下のような効果を生みます。

効果 生まれる行動
達成したくなる仕組み 縦2マス達成時、あと1マスでビンゴ!の手応えが推進力になる
他メンバーの目標への関心 自分のビンゴのために他者の進捗を気にかけ、声をかけ合う
組織の壁を壊すきっかけ 自分の目標だけでなく、部門間の助け合いが自然に発生

例えば、縦の2マスにチェックが入っていて、あと1マスでビンゴが完成するとき、その1マスの他の人の目標達成をサポートしたくなる心理が働きます。たとえサポートまでしなくても、他の人(部門)の目標・仕事に興味を持つきっかけになります。

チーム 目標設定 インセンティブビンゴ

これが、部署間のサイロ・縦割り構造に悩む組織にとって、組織の壁を壊すきっかけになるのではと考えています。特にリモート/ハイブリッド環境では雑談経由の情報共有が減るため、こうしたゲーム的な「相互関心の仕組み」が以前より効きます。

インセンティブビンゴのポイント:目標の配置

ビンゴのどの場所にどの目標を配置するかについて、書籍では以下のように整理されています。

配置場所 置くべき目標 理由
真ん中 最も目標数字の大きい目標 縦・横・斜めのすべてのビンゴに必要で、全員が関心を持つ
四隅 次に目標数字の大きい目標 斜めを成立させる必須マスで注目が集まる
残りのマス 相対的に軽めの目標 小さい達成を積み上げるための足場

個人的には、真ん中には複数人が関係する目標(部門目標や全社KPIなど、1つ大きい単位の目標)を配置するとさらに効果が高いと感じます。全員が真ん中に自分の責任を感じる構造になり、結果として部署を越えた助け合いが生まれやすくなります。

運用の注意点

インセンティブビンゴを導入する際に、気をつけたい点もいくつかあります。仕組みを入れただけで終わらせず、運用の副作用まで設計しておくと失敗しにくくなります。

注意点 対応策
目標の粒度がバラバラだとマスの価値が揃わない 事前に「難易度3段階」で分類して配置
達成しやすいマスだけ狙われる 各マスの目標に「評価指標」を紐づけ、達成基準を揃える
個人プレーで他者の目標を無視する ビンゴのインセンティブを「列に関わる全員」に付与する
ゲーム化が評価制度と矛盾する 本評価のサブ施策と位置づけ、人事評価とは切り離して運用

特に本評価と混ぜないことは重要です。評価と直結させるとプレッシャーが高まりすぎて、「お祭り的に相互支援が生まれる」というインセンティブビンゴの良さが損なわれます。

まとめ

インセンティブビンゴは、コスト0で実施できる目標設定の仕組みとして、非常に有益なアイデアです。3×3マスに目標を配置し、1列揃ったらインセンティブを付与するというシンプルなルールで、「達成したくなる」「他者を応援したくなる」の両方を同時に引き出します。ぜひ自社の目標設定や半期キックオフ、部門MTGなどで取り入れてみてください。

書籍もあわせて読むと、モチベーション管理の全体像が掴みやすくなります。


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