KiSS-18による社会的スキルの測定
以前に、人狼はコミュニケーション研修に使えるのか?という記事の中で、ここ数年人気の人狼というゲームを大学生の研修に用いた結果、社会的スキルの向上が見られたと書きました。
今回はその社会的スキルについて少し詳しく書いてみたいと思います。
ちなみに、過去記事はこちらから。
人狼はコミュニケーション研修に使えるのか?
前回の記事でも書きましたが、社会的スキルとは対人関係を円滑にするスキルとされ、KiSS-18(Kikuchi’s Scale of Social Skills)という1998年に菊池章夫氏によって開発された18項目による尺度で測定することができるとされています。
その18項目とは下記となります。
2.他人にやってもらいたいことを、うまく指示することができますか。
3.他人を助けることを、上手にやれますか。
4.相手が怒っているときに、うまくなだめることができますか。
5.知らない人でも、すぐに会話が始められますか。
6.まわりの人たちとの間でトラブルが起きても、それを上手に処理できますか。
7.こわさや恐ろしさを感じたときに、それをうまく処理できますか。
8.気まずいことがあった相手と、上手に和解できますか。
9.仕事をするときに、何をどうやったらよいか決められますか。
10.他人が話しているところに、気軽に参加できますか。
11.相手から非難されたときにも、それをうまく片付けることができますか。
12.仕事の上で、どこに問題があるかすぐに見つけることができますか。
13.自分の感情や気持ちを、素直に表現できますか。
14.あちこちから矛盾した話が伝わってきても、うまく処理できますか。
15.初対面の人に自己紹介が上手にできますか。
16.何か失敗したときに、すぐに謝ることができますか。
17.周りの人たちが自分とは違った考えをもっていても、うまくやっていけますか。
18.仕事の目標を立てるのに、あまり困難を感じないほうですか。
引用
KiSS-18 研究ノート
菊池章夫 2004
https://ci.nii.ac.jp/naid/110004677435
これらに対して以下の5つの中から自分に合致しているものを選びます。
「たいていそうだ」= 4
「どちらでもない」= 3
「たいていそうでない」= 2
「いつもそうでない」 = 1
合計値は18〜90までの値を取るので統計的に以下のように分類されることがあるようです。
得点が63点以上が上位75%の「高社会的スキル群」
参考:
社会的スキルと学業パフォーマンスとの関連性
内藤 誼人 2013
http://repository.ris.ac.jp/dspace/bitstream/11266/5228/1/shinrikenkiyo_011_063.pdf
さらに、KiSS-18は6つのサブカテゴリーに細分化されています。
会話を始めたり、質問したり、自己紹介したりするなど
Q1, Q5, Q15
2.高度なスキル
人に助けを求めたり、指示を与えたり謝ったりするなど
Q2, Q10, Q16
3.感情処理のスキル
自分の感情に気づき、その感情を表現したり、恐れを処理するなど
Q4, Q7, Q13
4.攻撃に代わるスキル
他人を助けたり、和解したり、自分をコントロールするなど
Q3, Q6, Q 8
5.ストレスを処理するスキル
難しい会話に応じたり、失敗を処理したり、非難を処理したりするなど
Q11, Q14, Q17
6.計画のスキル
目標を設定したり、自分の能力を知ったり、決定を下すなど
Q9, Q12, Q18
菊池彰夫 1988 思いやりを科学する 川島書店
まとめ
いかがでしょうか。大学生を中心にグループワークなどのチームワーク向上を目的としたトレーニングを実施、KiSS-18による評価をすることによって社会的スキルが向上している研究が数多く存在しています。
内定者研修や新入社員研修などでも使える尺度かと思いますのので参考になれば幸いです。