こんにちは、HEART QUAKE代表取締役の千葉です。
今回はイノベーションを生む対話の要素について書いてみたいと思います。

特に弊社が社会に対してイノベーションを起こしているわけではないのですが、弊社なりに「お、これは!」というアイデアが生まれる時があります。こういう「お!」というアイデアが生まれるときはいくつかのパターンがあると個人的にわかっています。

そのうちの1つが社外の専門家との合宿です。私は年に1、2回、社外の活動領域が近しいが、完全には一致していない専門家先輩2名と合宿をしています。

この1泊2日の合宿はすでに5年以上続いており、私はこの合宿を通してHEART QUAKEの新製品や改善アイデアなどを得ています。実際に今年の合宿でも2つのアイデアを頂いて、そのうちの1つが進行中です。

我々の合宿は基本的に「誰かがトピックを出し、それについて対話する」という形式で進んでいます。ありふれたやり方にもかかわらず、「これは!」というアイデアが生まれるのはなぜだろう?と思って調べてみると下のような論文がありました。

イノベーション創出を促進する「対話」型コミュニケーションの特徴
——新技術開発現場における「語り」に関する事例研究——
宮本 淳子, 増田 靖 2019

https://www.jstage.jst.go.jp/article/comm/48/1/48_480101/_article/-char/ja/

論文によると、イノベーション創出を促進する「対話」型コミュニケーションの特徴として4つの要素が抽出されました。

1.意識と意味の変容連鎖
⇒イノベーション創出と呼べる現象は一度や二度の変容で生じたのではなく,
「語り手」「聞き手」「(語られる)もの」それぞれの変容が連鎖し続ける中から生じる

2.共感を生む『語り』
⇒「異分野協働」において,関与者らが目的を1つにし,開発を
始めるうえで,大きな役割を持った「語り」として機能する

3.相互応答性
「語り」が 誰か1人に集中することなく,互いに「聞き手」が
「語り手」となる
相互応答性が開発を促進する

4.『聞き手』の柔軟性
⇒「聞き手」が「語り手」の「語り」を受け止め,自分の固定観念や
専門分野の常識にとらわれることなく意識を変容
し,柔軟に対応する

※語尾のみ一部改変

論文なので少し難しい言葉で書いてありますが、これを読んで、我々の合宿は確かに4つの要素を満たしている
のかもな、と感じました。

1つめの意識と意味の変容連鎖では、あるトピックの話をしていたが、それが一段落し、別のトピックに移った時に「そういれば、これはさっきのこれに使えるんじゃないか?」という形で前のトピックに戻ったりした中で、1回めの対話では思いつかなかったアイデアが生まれることがあります。

2つめの共感を生む『語り』では、社外の活動領域が近しいが、完全には一致していない専門家が集まっていることで、よりよい製品・サービスを開発し、社会に届けたいという目的は一致していると思います。また、完全な異業種ではないため、前提条件の説明をしなくてもよい、というのは大きいように思います。

3つめの相互応答性については、みんながトピックを出し対話する雰囲気ができていますし、1泊2日の合宿ということでそれをするだけの十分な時間が与えられています。雰囲気については全員がファシリテーションをできるということ、また、これまでの関係性による心理的安全性を感じているということが大きいと思います。

最後の『聞き手』の柔軟性ですが、これについても全員がファシリテーションをできることによって聞くマインドがあること、また、メンバーが2人ではなく3人ということで、対立構造になりづらく、幅広い意見が出てくるということも影響しているのかなと思います。
ちなみに、論文中の事例も3人による対話でした。

まとめ

いかがでしょうか。論文と個人的な意見をまとめるとイノベーションを生む対話には以下の要素も必要なのかなと思います。

1.活動領域が近しいが、完全には一致していない専門家が集まること

2.対話のための十分な時間があること

3.メンバーは2人よりも3名で対話すること

4.心理的安全性が構築できていること

参考になれば幸いです。


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