イノベーションストリームをコロナ禍の研修会社で考えてみる
今回は、最近話題の書籍「両利きの組織をつくる」の中で紹介されているイノベーションストリームをコロナ禍における研修会社をテーマに考えてみたいと思います。
イノベーションストームとは
そもそもイノベーションストリームとは、イノベーションを実現するための3つの方向性を下の図の通り、「市場」と「組織能力」の2軸のマトリクスで表現したフレームワークです。
画像参照:https://newspicks.com/news/5142885/body/
画像参照している先のNEWS PICKSの記事ではイノベーションストリームのことをイノベーションへの地図と表現されています。
イノベーション・ストリームに基づいた「地図」が必要です。
既存事業から次はどっちに出ていくか。
そのために両利きの構えをとるということなんです。
地図という言い方がうまいですよね。
さて、イノベーションストリームでは、「市場」と「組織能力」の2軸のマトリクスによって、下記の3つのイノベーションの方向性を示しています。
⇒既存の組織能力で、新しい市場に市場に参入する
2.アーキテクチュアル・イノベーション
⇒新たな組織能力で、既存の市場に参入する
3.不連続型イノベーション
⇒新たな組織能力で、新しい市場に市場に参入する
これまで、イノベーションについて語られる時、組織能力というキーワードではなく、製品というキーワードを目にすることが多かったと思いますが、イノベーションストリームでは組織能力(ケイパビリティ)ということで、製品よりもより広義にとらえています。
イノベーションストリームでコロナ禍の弊社を考えてみる
さて、ここまではどこでも載っているような内容ですが、ここからは、具体的な事例として、コロナ禍において研修会社である弊社が取った行動(戦略?)がイノベーションストリームに当てはめてどうだったのか?を振り返ってみたいと思います。
弊社への新型コロナウイルスの影響は2020年の1月下旬から徐々に顕著となりました。具体的には講師派遣による対面式の研修が続々とキャンセルとなりました。
弊社では講師派遣型ではない、研修用ゲームのキットレンタルも行っていますので、当時はまだ感染の影響が少ない地域ではキットレンタルでの実施が行われていました。
しかし、次第に感染が拡大し、4月の新入社員研修シーズンを直撃。2020年4月7日に東京都などで緊急事態宣言が宣言されたこともあり、2020年4月の売上は前年の98%減となりました。
ということで、4〜6月は対面での講師派遣型の研修がほぼ無くなったため、イノベーションが必要となりました。そこで、生み出されたのがオンラインビジネスゲーム研修です。
※画像は新製品の共有地の悲劇ゲームのログイン画面(開発中のもの)
2020年4月当時、zoomなどを用いたオンライン研修は必要に迫られ実施されたいましたが、グループワーク形式の研修がオンラインでは実施が難しいという問題がありました。
そこで、イノベーションストリームでいうところの、アーキテクチュアル・イノベーション
となるオンラインビジネスゲーム研修というジャンルに飛び込んだのです。
画像参照:https://newspicks.com/news/5142885/body/
オンラインビジネスゲーム研修は、既存の市場(顧客)に対して、オンラインでできるビジネスゲーム用のシステムの提供という新しい組織能力が必要となりました。
簡単に書けば、研修会社からIT企業への転身が必要だった、ということでしょうか。
偶然にも弊社代表の千葉と取締役の室屋は新卒で入社した企業がITベンチャー企業、特に代表の千葉はシステムエンジニアとして働いていましたので、システム開発の勘所がわかっており、とにかくスピード重視で開発が進みました。
その結果、2020年の5月下旬にはオンラインビジネスゲーム研修の受注が決まり、2021年10月現在では10種類を超えるオンラインビジネスゲームを提供しております。
ということで、コロナ禍における、弊社の状況をイノベーションストリームで振り返ってみると、既存の市場(顧客)に対して、システムの提供という新しい組織能力を発揮し、アーキテクチュアル・イノベーションという方向にたどり着いたということになりました。
みなさんの会社はコロナ禍をどのような方向性で乗り切っているでしょうか。
ぜひイノベーションストリームという地図を用いて振り返ってみて下さい。