ベゾスが言った「コミュニケーションは最悪」の意味とは?
これは今や世界最高の会社の1つとされるアマゾンのCEOであるジェフ・ベゾスの言葉です。
この1文を知ったのはamazon 世界最先端の戦略がわかるという書籍でした。
また、同書には以下のようにも記されています。
ん?なんかおかしい。優れた会社というのはコミュニケーションが活性化されているものではないのだろうか?普通はそんなふうに考えると思います。いや、普通じゃないからこそアマゾンは世界最高の会社になれたのか?とも考えてしまいます。
ベゾスがこのように言った真意はわかりませんが同書の以下の文を見る限り、協調することで逆に良いアイデアが潰されたり、スピード感が遅くなることの弊害を考慮しているのかもしれません。
成果を上げているチームはコミュニケーションが活性化しているのか?
ベゾスはそういうが、普通の組織ではコミュニケーションは活性化している方が成果出せるでしょ、と普通はそう考えてしまいます。でも、それは本当なのでしょうか。
調べてみると面白い論文がありました。
共有メンタルモデルとチーム・ダイアログがチーム・パフォーマンスへ及ぼす効果
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjesp/55/2/55_1503/_article/-char/ja/
秋 保 亮 太
菊 地 梓
縄 田 健 悟
長 池 和 代
中 里 陽 子
山 口 裕 幸
2016年
タイトルだけでも概要がなんとなくわかりますが(地味に嬉しいです)、結論から書けば以下のようになります。
コミュニケーションが少なくてもチームのパフォーマンスは出る。
一方、メンタルモデルが共有されていないチームは
コミュニケーションが少ないとパフォーマンスが出ない。
論文によれば、大学の学祭で模擬店を出した大学生の29チームに質問を行い調査したところ、以下のようなことがわかりました。
目標売上達成度に関連しておらず,一定の高いパフォーマンスを示していた。
その一方で,チーム内でメンタルモデルが共有されていない場合は,
チーム・ダイアログが少ないと目標売上達成度も下がることが示された。
参照:メンタルモデルを共有しているチームは対話せずとも成果を挙げる:
共有メンタルモデルとチーム・ダイアログがチーム・パフォーマンスへ及ぼす効果
Figure1より
考察でも触れられていますが、この論文は大学生についてのリサーチであり、企業などの特徴の異なるチームでも同様の結果が得られるかどうかは考慮する必要がありますが、ベゾスの言ったコミュニケーションは最悪だには、メンタルモデルが共有されていればコミュニケーションはそれほど必要ないだろうという意図だったのかもしれません。
ちなみに、メンタルモデルについて書いてきませんでしたが、論文では以下のように説明されています。
チームメンバーが共有している体系化された理解や知識とその心的表象として定義される。
共有メンタルモデルについては学習する組織でもメンタルモデルと共有ビジョンという文脈で重要視されています。
ピーターセンゲ著 学習する組織とは
まとめ
いかがでしょうか。
ベゾスの言った「コミュニケーションは最悪」はもしかしたらメンタルモデルが共有されていればコミュニケーションをそこまでとらずとも成果は出せるはず、だからビジョンやミッションを共有することが大事なのだ、という意味合いだったのかもしれません。
本人に聞いてみないと本当のところはわかりませんが。。。。
以下、参考
共有メンタルモデルとチーム・ダイアログがチーム・パフォーマンスへ及ぼす効果
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjesp/55/2/55_1503/_article/-char/ja/
秋 保 亮 太
菊 地 梓
縄 田 健 悟
長 池 和 代
中 里 陽 子
山 口 裕 幸
2016年