いわゆる「ゆとり世代」と呼ばれる世代が社会人になって6年ほどが経ちます。
今回は、「ゆとり世代」へのOJTの注意点ということで「ゆとり世代」の特徴と、対応策を考えていきたいと思います。

Wikipediaによれば「ゆとり世代」とは以下の様に定義されています。

広義では、小中学校において2002年度以降、高等学校において2003年度入学生以降に施行された学習指導要領(いわゆるゆとり教育)で育った世代1987年4月から2004年3月生まれ。

狭義では、ゆとり教育を受けた世代のうち、一定の共通した特徴をもつとされる世代1987年4月から1996年3月生まれ

ちなみに、2016年に大卒で入社してくる方は1994年生まれとなり、(早生まれは1995年生まれ)ゆとり世代の終盤の方となります。

OJTを導入していて「これだからゆとり世代は・・・」「最近の新卒は・・・」という声を耳にしますが、時代の変遷とともにOJTでの接し方も変わっていく必要があるでしょう。

また、逆に企業側では時代の変化の速さ、成果主義、効率性重視の観点から「ゆとり」が無くなっているとも言えます。
この影響からか「人材を育てる」ということが昔よりも軽視されている気がします。

つまり、より「意識的に人を育てる」という視点をもたないと、ただ現場でOJTという仕組みを導入するだけでは、人が育ち、定着するサイクルが回らなくなってきています。

ここでは「人」「仕事」「風土」の3つの側面において、現代の特徴とそれを踏まえて工夫すべき視点を整理したいと思います。

1.「ゆとり世代」と人

変化

以前と比べると、「自律型人材」が減ったというのは多くの企業様にいただく声です。
自律型人材とは、「自己肯定感」が強く、「失敗を恐れず果敢にチャレンジ」し、「失敗から学んで成長」できる人材です。

「自己肯定感が低い」ため、「失敗を過度に恐れ」、結果「無難な仕事の仕方」、「言われたことを素直に取り組む」(それ以上のことはしない)というやり方から抜けられずに成長できない、ということを良く聞きます。

個人的には、二極化が進んでいるのだと考えています。

「ゆとり教育」を活用し、自分のやりたいこと、学びたいことを積極的に実践してきた方は前の世代よりも知識やスキル、実戦経験が豊富です。

一方、「ゆとり教育」を「ゆとり」にしてしまった方は、「競争」や「失敗」「我慢」を嫌い、社会が求める「無難」という道を選びがちかもしれません。

OJTで工夫すべき点

・「言われたことは素直に取り組む」ということを「まずは」良さとして認識する。

段階的に仕事の難易度をあげていくことでレベルアップをはかる。
 ⇒ここで話題の「ゲーミフィケーション」を取り入れるのも良いでしょう。

小さな成功体験を積み重ね、承認し、自己肯定感を上げる。

できる人には「創意工夫」を促し、積極的に経験をつませる

2.「ゆとり世代」と仕事

変化

以前と比べて仕事が高度化し、複雑化することによって、若手に任せられる簡単な仕事や、チャレンジさせてミスを許容できるような仕事が減ってしまいました。
そのため、小さなことでも自身自身で責任をもって完遂する経験を得ることが難しくなっています。

つまり、仕事には「ゆとり」が無くなってきてしまったのです。

また、過去の成功パターンが通用しなくなっている状況において、自分で考え、実践することを早くから求められるにも関わらず、上述のような「ゆとり世代」特性が促進しており、仕事と人の特性のアンマッチが起きています。

OJTで工夫すべき点

・与える仕事のうち、1つは手順を踏めば確実に成功する仕事を与える

・可能な限り仕事を細分化し、小さな単位でも権限を与えて仕事をする機会を提供する。

・OJTトレーナー自身の成功パターンを押し付け過ぎず、他の先輩、外部情報、自己研鑽を通して広く情報収集させ、実践させてみる機会を与える。

・常に「こうしてほしい」というやり方だけを伝えるのではなく、「なぜそうしてほしいのか」を伝え、共に考えることで、仕事の意義、目的を押さえる習慣をつける

3.「ゆとり世代」と組織風土

変化

以前は飲みニケーションや寮生活、サークル活動等で、部署、年代を超えた関係ができる仕組みが会社に内在されていました。また新人を時間をかけて全員で育てるという風土があり、教育の時間をわざわざとらなくても日常業務の中で様々な先輩の仕事の仕方を見たり、直に教えてもらうような機会に多く恵まれていました。

今は組織が縦割りになり、ビジネスライクな関係に終始しがちになってしまい、部署を超えた広くオープンな関係が作りづらくなっています。また時代の変化の激しさから、上司と新人との価値観のギャップがより大きくなっています。

しかしながら、「ゆとり世代」では、学校においては1クラスあたりの学生人数が少なく、また、家庭においても兄弟が少なく、1人1人に目を配る時間が長くなっていると言えます。
これは、「私にもっと注意を払って欲しい」という想いが強くなっている可能性があります。

ここにもゆとり世代が置かれた環境と、職場の風土のギャップが大きくなっているのです。

OJTで工夫すべき点

・「叱る」よりもまずは「褒める」という意識を持つ
タテヨコナナメの関係構築を意識的に支援する(他部署、場合によっては他社との交流会に連れて行くなど)
・日常の業務の中で、意識的に相手の状況を確認し、仕事の仕方を共有する
・価値観が食い違う時に、自分が一方的に正しいと思わず、なぜ相手がその価値観をもっているのかを寄り添って考えてみる

まとめ

時代の変化によって、人の特性、仕事の特性、組織風土は当然変わってきます。
とくに「ゆとり世代」の育ってきた環境とビジネスの現状には大きなギャップがあります。

この点を理解し、3つのポイントからOJTの設計、OJTトレーナーの役割を見なおしてみることをオススメします。


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