セクシャルハラスメント研修で伝えたいSOGIとは?

参加者に自己開示を求めず、架空の事例で言動を考え、相談先を案内することが、安全に学べる研修づくりの基本です。
目次
1. SOGI(ソジ)とは
2. SOGIとLGBTQ+の違い
3. SOGIハラスメント(SOGIハラ)とは
4. なぜセクシャルハラスメント研修でSOGIを伝えるのか
5. 研修でSOGIをどう伝えるか — 4つのポイント
6. セクハラ・パワハラ研修で併用できる体験型ツール「ハラスメントフラグ」
7. まとめ
8. よくあるご質問(FAQ)
9. ハラスメント研修導入をご検討の方へ
ハラスメント研修の担当者がSOGIを扱う際には、「用語をどう説明するか」と同時に、「参加者のプライバシーをどう守るか」も考える必要があります。
この記事では、SOGIの意味とLGBTQ+との違い、職場で避けたい言動、研修での伝え方を整理します。誰かの性的指向や性自認を推測するためではなく、自分の言動と職場の対応を見直すために活用してください。
SOGI(ソジ)とは
SOGI(ソジ)は、Sexual Orientation(性的指向)とGender Identity(性自認)の頭文字を取った言葉です。特定の人だけを指す名称ではなく、すべての人の性のあり方に関わる概念です。
SO=Sexual Orientation(性的指向)
性的指向は、どのような性の人に恋愛感情や性的な関心が向くかということです。異性に惹かれる、同性に惹かれる、複数の性に惹かれるなど、あり方はさまざまです。また、他者に性的な惹かれを感じない人もいます。恋愛感情と性的な惹かれは、必ずしも同じではありません。
GI=Gender Identity(性自認)
性自認は、自分自身の性別をどのように認識しているかということです。男性・女性のいずれかに限らず、そのどちらにも当てはまらないと認識する人もいます。見た目や服装、名前だけで他者が判断できるものではありません。
SOとGIは異なる概念
「どのような相手に惹かれるか」と「自分の性をどう認識するか」は別のことです。性自認が分かっても、その人の性的指向が分かるわけではありません。
研修では、人を分類表に当てはめることよりも、二つの概念を混同しないこと、本人の説明なしに決めつけないことを伝えましょう。
SOGIとLGBTQ+の違い
SOGIは性的指向・性自認というすべての人に関わる観点、LGBTQ+は性的マイノリティの多様なあり方を表す言葉です。両者は対立する考え方ではありません。
LGBTQ+は、Lesbian(レズビアン)、Gay(ゲイ)、Bisexual(バイセクシュアル)、Transgender(トランスジェンダー)、Queer/Questioning(クィア/クエスチョニング)などの頭文字に、ほかにも多様なあり方があることを示す「+」を加えた表現です。
| 用語 | 表していること | 研修で伝える視点 |
|---|---|---|
| SOGI | 性的指向と性自認 | すべての人に関わること |
| LGBTQ+ | 性的マイノリティの多様なあり方 | 困難や差別が起こる状況への理解 |
「全員にSOGIがある」と伝えることは、性的マイノリティが経験する困難を小さく扱うことではありません。自分に関係のある問題として考えることと、不利益を受けやすい状況を理解することの両方が大切です。
SOGIハラスメント(SOGIハラ)とは
SOGIハラスメントは、性的指向や性自認に関する侮辱、嫌がらせなどを指します。なかでも、本人の同意なく性的指向や性自認を他者へ明かす「アウティング」には注意が必要です。
研修で取り上げたい言動の例
・性的指向や性自認をからかったり、侮辱的な呼び方をしたりする
・外見から性のあり方を決めつけ、「男らしく」「女らしく」と押しつける
・本人に無断で、打ち明けられた内容を同僚やグループチャットで共有する
・性的指向や性自認について答えるよう迫る
・性的指向や性自認を理由に無視したり、仲間外れにしたりする
例えば、同僚から個別に相談を受けた人が「周囲にも理解してもらおう」と考えて、本人に確認せずチームへ伝えるケースです。善意のつもりでも、本人が伝える相手やタイミングを選ぶ機会を奪ってしまいます。相談されたことは、ほかの人への共有を許可されたことではありません。
パワハラ・セクハラとの関係
厚生労働省は、性的指向・性自認への侮辱的な言動や、本人の了解のない暴露を、職場のパワーハラスメントに該当すると考えられる例として示しています。パワハラの判断では、優越的な関係を背景とすること、業務上必要・相当な範囲を超えること、就業環境が害されることの三つの要素を踏まえ、事案の状況を確認します。
出典:厚生労働省「あかるい職場応援団」パワーハラスメントとは
また、職場のセクシュアルハラスメントは、被害を受ける人の性的指向・性自認にかかわらず対象となり得ます。SOGIハラという呼び方だけで法的な分類が決まるわけではなく、実際の言動と状況に応じて考える必要があります。
研修では、参加者の多数決で法的な「セーフ」を決めるのではなく、避けるべき言動、プライバシーの保護、相談につなぐ対応を確認しましょう。判断に迷う事案も、社内の相談窓口などで適切に扱うことが大切です。
なぜセクシャルハラスメント研修でSOGIを伝えるのか
SOGIの視点は、「自分とは関係のない人の話」ではなく、自分の思い込みや言動を点検するために役立ちます。ただし、自分ごととして考えることと、自分の性的指向や性自認を他者に話すことは別です。
受講者全員に関わるテーマとして伝える
「社内に該当する人がいるか」を探すのではなく、どのような人がいても尊重される職場にするには何が必要かを考えます。「皆さんのSOGIを発表してください」という進め方は避けましょう。
無意識の決めつけに気づく
見た目から性別や恋愛対象を決めつけていないか、恋愛や結婚について繰り返し尋ねていないかなど、普段の言動を振り返ります。「悪気はなかった」で終わらせず、相手が話したくないことを話さなくてよい関わり方を考えます。
用語の理解を職場の対応につなげる
知識を得るだけでなく、侮辱的な発言をしない、相談内容を無断で広めない、困ったときの相談先を知る、といった行動まで扱います。SOGIを尊重することは、カミングアウトするかどうかを本人が選べる環境を守ることでもあります。
研修でSOGIをどう伝えるか — 4つのポイント
研修では、用語の理解・自己開示を求めない進行・守秘・事例での検討を組み合わせます。以下は、社内研修の担当者が進行を設計する際のポイントです。
用語を正確に伝える
SOとGIは異なる概念であること、SOGIはすべての人に関わることを説明します。分類名をたくさん暗記させるより、「外見からは分からない」「決めつけない」という行動につなげます。
自己開示や回答を求めない
開始時に「自身の性的指向・性自認や、個人的な体験を話す必要はありません」と伝えます。発言を見送ることもできるようにし、回答や発言の有無から個人の属性を推測することは避けます。
アウティングを防ぐルールを共有する
実在の同僚や知人の性的指向・性自認を、本人の了解なく事例として紹介しないようにします。本人から相談を受けた場合も、誰に何を共有してよいかを確認し、相談担当者は社内の守秘・対応手順に沿って扱います。
架空事例で対応を考え、相談先を伝える
例えば「打ち明けられた話を、善意でほかの人にも共有しようとしている」という架空事例を使います。「何が問題か」「どう対応するか」を考える形式にし、当事者探しや個人の告白につなげません。
グループの意見を出し合った後は、プライバシーの保護と望ましい対応を確認し、自社の相談窓口・連絡方法を案内します。感じ方の違いを知ることと、ハラスメントを許容することを混同しないようにしましょう。
一般的なセクハラ事例やクイズを併用したい場合は、次の記事も参考になります。SOGI専用教材ではなく、職場の言動を考えるための補助として位置づけてください。
セクハラのグレーゾーン事例とその判断軸
セクハラクイズ〜セクハラか否か、はたまたグレーゾーンか〜
セクハラ・パワハラ研修で併用できる体験型ツール「ハラスメントフラグ」
『ハラスメントフラグ』はカードゲーム型のハラスメント体験研修ツールです。50枚の設問カードに対して、自分の認識をホワイト・ライトグレー・ダークグレー・ブラックの4段階で回答し、参加者同士の認識の違いを話し合います。

SOGIの用語解説やアウティング防止の説明とは分けて、パワハラ・セクハラへの認識の違いを考える補助ワークとして活用できます。SOGI専用研修をこの教材だけで完結させるものではありません。また、ゲーム中の回答分布は法的な判定結果ではありません。
ワークの後は、回答が分かれた設問について振り返り、ディスカッションとミニ講義を行います。所要時間は1〜2時間程度が目安です。
ハラスメント研修で使えるカードゲーム「ハラスメントフラグ」
まとめ
SOGIを扱うセクシャルハラスメント研修では、「知る→守る→学ぶ」をつなげることが大切です。性的指向と性自認の違いを知り、本人の意思とプライバシーを守り、架空事例で職場の言動を考えます。
参加者の自己開示を求めなくても、ハラスメント防止について学ぶことはできます。用語の説明だけで終わらせず、避ける行為と相談先まで伝える研修を設計しましょう。
よくあるご質問(FAQ)
Q. SOGIとLGBTQ+はどう違いますか?
SOGIは性的指向と性自認という、すべての人に関わる概念です。LGBTQ+は性的マイノリティの多様なあり方を表す言葉です。研修では、誰もが関わる問題であることと、差別や困難が起きる状況への理解の両方を伝えます。
Q. 「SOGI研修」という名称の研修を実施する義務がありますか?
特定の名称の研修を実施することと、事業主に求められるハラスメント防止措置は分けて考える必要があります。性的指向・性自認に関する侮辱やアウティングも防止対策の対象となり得るため、方針の周知、相談対応、プライバシー保護などとあわせて、必要な内容を研修に取り入れましょう。個別の対応は公的情報や専門家に確認してください。
Q. アウティングとは何ですか?
本人の同意なく、性的指向や性自認をほかの人に明かすことです。善意の共有でも本人の望まない暴露になる場合があります。研修中も実在の人の情報を持ち出さず、相談を受けたときは共有の範囲を本人に確認することが大切です。
Q. 参加者に自分のSOGIを発表してもらう必要はありますか?
必要ありません。自身の性的指向・性自認を答えたり、個人的な経験を話したりすることを求めず、架空事例を使って対応を考える方法がとれます。発言を見送れる進行にし、困りごとがある場合の相談先を案内しましょう。
ハラスメント研修導入をご検討の方へ
セクハラ・パワハラへの認識の違いを考えるワークを取り入れたい方には、ハラスメントフラグカード版をご案内しています。SOGIについての講義や社内ルールの説明に加える補助教材として、研修の目的に合わせてご検討ください。
カード購入で社内講師が実施する方法と、講師派遣による方法があります。購入キットには設問カード・運営用パワーポイント・講師向け動画マニュアル・ワークシートが含まれます。実施人数や進行方法、費用は資料でご確認ください。
運営用パワーポイントには講師向けのトークスクリプトや解説が含まれています。

詳細な資料、お見積りをご希望の方はまずは下記より資料請求をお願いします。
※同業他社様からのお問い合わせはご遠慮ください。

