Win-Win思考をゲームで鍛える|研修で使える2つの実践ワーク

Win-Win思考とは、対立する利害をゼロサムで奪い合うのではなく、双方が満足する創造的な解決策を目指す考え方です。
スティーブン・R・コーヴィー『7つの習慣』第4の習慣として知られ、「マインド」「知識」「情報共有」の3要素が揃うことで妥協ではないWin-Win解が見つかります。
本記事ではWin-Win思考の理論と、ゲームで体感できる研修ワーク2選(オレンジゲーム/NASAゲーム)を解説します。
目次
1. Win-Win思考とは|コーヴィー『7つの習慣』第4の習慣
2. オレンジゲームとは
3. Win-Win思考の3つの構成要素
4. Win-Win思考を体感できる研修ゲーム2選
5. Win-Win思考が崩れる3つの場面と対処
6. Win-Win思考に関するよくある質問
7. NASAゲームでWin-Win思考を体感する
Win-Win思考とは|コーヴィー『7つの習慣』第4の習慣
Win-Win思考は、スティーブン・R・コーヴィーの世界的ベストセラー『7つの習慣』で公的成功の第一歩として紹介された考え方です。人間関係や交渉の局面で、自分が勝ち相手が負ける(Win-Lose)でも、自分が譲って相手だけが得をする(Lose-Win)でもなく、双方が満足する第三の解を探す姿勢を指します。
コーヴィーは人間関係のパラダイムを次の6つに分類しています。
・Win-Lose(自分が勝ち、相手が負ける)
・Lose-Win(自分が譲り、相手が勝つ)
・Lose-Lose(共倒れ)
・Win(自分の勝ちだけを考える)
・No Deal(取引しない)
ビジネスの現場では対立する利害が日常的に発生します。Win-Lose や Lose-Win の妥協を選びがちな場面で、「もしかしたら双方が満足するWin-Winの解があるのでは」と立ち止まって考えることが、創造的な合意形成の出発点になります。
以前にNHKの 「オイコノミア」 という番組を見ていると「オレンジゲーム」 なるゲームが紹介していました。
なんとなく、「ゲーム」と名前がついていると気になってしまうのです。。。
ちなみに、オイコノミアはピースの又吉さんがMCをやっている番組で、身近な問題を経済学を使って考えてみるというような番組です。
今回のテーマは「平和のための経済学」というもので、オレンジゲームもその中で紹介されていたゲームでした。
オレンジゲームとは

姉はオレンジジュースを作りたいと思っていて、オレンジを欲しがっています。
一方、妹はオレンジマーマレードを作りたいと思っていて、同じくオレンジを欲しがっています。
さて、どのようにすればお互いが満足のいく結果を得ることができるでしょうか?
ちなみに、番組の中ではお互いのミッションを紙に書いて(ex.オレンジジュースを作りたい)お互いに見えないようにして、交渉を行わせていました。
さらに、オレンジマーマレードの方は「親友の誕生日会に持っていくために」という設定までついていました。
みなさんだったらどのような交渉を行いますか?
もちろん、一方がオレンジをまるまるゲットするという可能性もあります。
「こんなことで争うなら、もう自分は降りてしまおう。自分で買えばいいし。」 と考える人もいますよね。
社内にはこういう人も多そうです。「ここで上司に物申すと面倒だから、ここはイエスと言っておこう」 みたいな。
オレンジを半分に分け合うというのがぱっと思い浮かぶ選択肢ですかね。
これならお互いそこそこ満足することができるかもしれません。妥協点というところですね。
Win-Win思考の3つの構成要素
もし、オレンジマーマレードが「主に皮の部分しか使わない」ということを双方が知っていたり、マーマレード側が伝えることができたら、状況は大幅に変わるかもしれません。
ジュースを作るには実の部分だけで良いでしょうし、マーマレードは皮があればよいので、半分個にするよりもWin-Winの提案だと思います。
このようにWin-Winの解決策を導き出すには少なくとも3つのポイントがあるように思えます。
2.(問題に関連する)知識
3.情報共有(≒情報の対称性)
1.Win-Winにできるというマインド
そもそも、「この問題はきっとWin-Winにできるはずだ」 というマインドが必要なのではないでしょうか。
最初から「全部奪おう」とか、「自分だけが得をしたい」というマインドが紛争の根本的な原因だと思います。
しかし、お互いの満足度を高めることを前提とすれば、オレンジゲームのように妥協案ではないWin-Winの解決策が見つかるはずだ、というマインドがなにより重要だと思います。
これは、異文化理解の分野で有名なコンフリクト・マトリクスの右上の協働的なマインドです。

協働のためには、協力的な態度と自己主張の両方が必要となります。
コンフリクト・マトリクスについては過去記事をご覧ください。
コンフリクト・マトリクスと異文化理解
2.(問題に関連する)知識
2つめは「知識」です。
オレンジゲームでは、マーマレードを作るためには「主に皮の部分しか使わない」という知識を双方が持っていれば、比較的簡単にWin-Winな解決となったはずです。
このように問題に関する知識を(できればお互いに)持っていることが重要です。
3.情報共有(≒情報の対称性)
最後は「情報共有」です。
そもそも、オレンジが欲しい目的を2人が言わずに、ただ「このオレンジが欲しい」と情報共有していなければ、問題解決は困難でしょう。
オイコノミアでも、「情報の対称性」が平和な解決策には必要と紹介されていました。
お互いの望みをより詳細に共有することではじめて、前述の知識が活きてくるのだと思います。
Win-Win思考を体感できる研修ゲーム2選
ここまで紹介したWin-Win思考のマインド・知識・情報共有を、座学ではなくゲーム形式で体験的に学べる研修ワークを2つ紹介します。
| 項目 | オレンジゲーム | NASAゲーム |
|---|---|---|
| 所要時間 | 15〜30分 | 50分〜2時間 |
| 人数 | 2〜数十名(ペア基本) | 4〜100名超以上(4〜6名/チーム) |
| 形式 | ペアワーク | グループワーク |
| 主な学び | 情報の非対称性/傾聴/第三の解 | 合意形成/集合知 |
① オレンジゲーム|情報の非対称性を超えて創造的解決を生む
本記事の中心テーマでもあるオレンジゲームは、2人1組で対立する利害(ジュース vs マーマレード)に直面し、情報共有を通じてWin-Winの解(実と皮を分け合う)を見つけるペアワークです。
所要時間:15〜30分 / 人数:2〜数十名(ペア基本) / 学べること:情報の非対称性、傾聴の重要性、妥協ではない第三の解
具体的な実施手順(5ステップ)・ファシリテーターTips・実施スペックは関連記事で詳しく解説しています。
オレンジゲームのやり方|傾聴トレーニングで聞く力を鍛える研修ゲーム
② NASAゲーム|情報共有による集合知でチーム全員の勝利を目指す
NASAゲームは、月面で遭難した宇宙飛行士が15個のアイテムに優先順位を付ける合意形成ワークです。個人解よりチーム解が優れる体験から、Win-Win思考の核心である「情報共有による集合知」を学べます。
所要時間:50分〜2時間(説明10分/個人ワーク10〜15分/グループワーク15〜30分/振り返り15〜30分) / 人数:4〜100名以上(1チーム4〜6名推奨) / 学べること:合意形成(コンセンサス)、情報共有による集合知
弊社のNASAゲームキット(カード・ボード・運営スライド)を使えば社内講師でも実施可能で、対面版・オンライン版の両方をご用意しています。
NASAゲーム実施の流れ|チームビルディング研修
Win-Win思考が崩れる3つの場面と対処
Win-Win思考は理想的ですが、現場では4つのうち3つの非Win-Win型に陥りやすい傾向があります。コンフリクト・マトリクスを使って3つの場面と対処を整理します。
① Win-Lose(強硬・競争):相手を負かしてでも勝つ
立場が上の人や声の大きい人が場を支配し、相手の真の欲求を聞かないまま自分の主張を押し通す状態。短期的には勝ったように見えても、相手の協力を失い長期的にコストが膨らみます。
対処:「相手の主張」と「相手の目的」を分けて聞く。主張の裏にある目的を聞き出すことで、Win-Win解の余地が見えてきます。
② Lose-Win(譲歩・回避):自分を犠牲にして相手を立てる
「揉めるのが嫌だから」と自分の主張を引っ込めてしまう状態。短期的には穏便でも、不満が蓄積し関係が形骸化します。
対処:自分の目的を一度言語化する。譲歩する前に「自分にとって本当に譲っていいことか」を確認するだけで、Win-Win解の探索が始まります。
③ Lose-Lose(共倒れ・無関心):話し合い自体を避ける
「どうせ無理だ」と最初から諦めて議論を放棄する状態。創造的解決の余地を最初から閉じてしまいます。
対処:「もしかしたらWin-Winの解があるかもしれない」というマインドセットを持つこと。オレンジゲームの皮と実のように、情報共有の先に思いがけない解が眠っていることがあります。
Win-Win思考に関するよくある質問
Win-Win思考とは何ですか?簡単に教えてください。
対立する利害がある場面で、双方が満足する第三の解を探す姿勢のことです。スティーブン・R・コーヴィーの『7つの習慣』第4の習慣として広く知られ、ビジネスや家庭での合意形成の基礎概念とされています。
Win-Win思考は理想論で、現場では難しいのでは?
現場で難しいのは事実ですが、「マインド」「知識」「情報共有」の3要素を意識するだけで成功率が大きく上がります。オレンジゲームのように、お互いの目的を共有しただけでWin-Win解が見つかる例は少なくありません。
Win-Win思考をチームで育てるにはどうすればよいですか?
座学だけでは習慣化しないため、体験型のゲームワークで擬似的な対立場面を経験することが効果的です。本記事で紹介したオレンジゲームやNASAゲームは、研修やワークショップで頻繁に使われる定番ワークです。
Win-WinとWin-Lose、どちらが正解ですか?
場面によります。コーヴィーは「Win-Winが原則だが、関係性や時間軸が短い場合はNo Deal(取引しない)も有効」と述べています。Win-Loseが正解になる場面はほとんどなく、Win-WinまたはNo Dealを目指すのが基本です。
研修でWin-Win思考を扱う場合、どれくらいの時間が必要ですか?
オレンジゲームのみなら15〜30分でも実施可能です。NASAゲームを含めるなら50分〜2時間程度が目安です。理論パート+ワーク+振り返りまで含めると半日(3〜4時間)の研修が一般的です。
NASAゲームでWin-Win思考を体感する
本記事で紹介したNASAゲームは、合意形成・情報共有による集合知をチーム全員で体験できる研修ワークです。月面遭難という非日常の設定で、立場や利害を超えてWin-Win解を導き出す感覚を直接体験できます。なお、オレンジゲームは弊社の傾聴チャレンジのアイスブレイクとして実施しています。
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