ARCSモデルと研修の設計(作り方)
年末を迎え、そろそろ新入社員研修の設計について考えているご担当者様も多いと思います。中には来年度、初めて研修を設計される方もいるかと思います。
今日はそんな初めて研修を作る(設計)するかたにご紹介したいARCSモデルについて書いてみたいと思います。
ARCSモデルとは
まず初めに、ARCSモデルについて説明します。ARCSモデルはケラーによって開発された動機づけのモデルとして有名なモデルです。
ARCSとはAttention(注意)、Relevance(関連性)、Confidence(自信)、Satisfaction(満足)の頭文字を繋げたものです。
これだけではわかりづらいですが、上の表の一言説明を見て頂ければ、ARCSモデルが動機づけのモデルであることがご理解頂けるかと思います。
注意:Attention
まず最初に注意ですが、一言で言えば面白そうだなと思ってもらうことです。これは、研修の案内文やパンフレットからはじまり、当日の会場設営、そしてもちろん研修内容自体に興味・関心を持ってもらう必要があります。
マーケティングの分野にも人がモノやサービスを購入する際の流れを示したAIDMAと呼ばれるモデルがありますが、最初のAはやはり Attention = 注意 です。
※AIDMA = Attention⇒Interest(関心)⇒Desire(欲求)⇒Memory(記憶)⇒Action(行動=購入)
弊社ではビジネスゲームという研修用のゲームを用いた研修を実施しているため、告知文に「ゲームを使った」と書いてもらうことで、「お、今回の研修はいつもと違って面白そうだな」と思ってもらうことができます。
関連性:Relevance
2つめの関連性はわかりやすいと思いますが、研修の内容が自分の業務に関連する、もしくは、自分が抱えている問題を解決してくれそうという期待を持てるかということです。
一言説明では「やりがいがありそうだな」と書いてありますが、やったら学びがありそうだなと思ってもらうことが重要です。
そのためには参加者が研修テーマに対してどのような課題感を持っているのか事前にアンケートを取ることや、研修冒頭に簡単なクイズなどを出しながら、これから学ぶ内容が自分に関連するものであることを認識してもらうことが効果的です。
自信:Confidence
3つ目の自信は一言で言えば「やればできそうだな」ということになります。「これならやれそうだ」という言葉で説明しても良いかと思います。
これは研修中に出てくるワークの難易度設定について、難易度が高すぎてはじめから無理そうだと思わせてはいけないことや、逆に、研修中に学んだことを、「これなら明日からできそうだ」と思ってもらうことでもあります。
満足:Satisfaction
最後は満足で、一言で言えば「やってよかった」、別の言葉で言えば「研修に参加してよかった」、「使える知識を得られた」と思ってもらうことであります。
参加者の主観によって満足度を取る方法もあれば、最後に確認テストを実施し、実際に学んだ知識が定着しているかどうかを測る方法もあります。
こちらは、研修効果の測り方として有名なカークパトリックモデルもあわせてご覧頂ければと思います。
カークパトリックによる研修効果の測定(4段階評価)
まとめ
いかがでしたでしょうか。研修を作る、設計するうえで知っておきたいARCSモデルについて少しでもご理解いただけたでしょうか。
みなさんの研修設計にお役に立てれば幸いです。