罰ゲームと呼ばれる管理職とその対策(日揮様の事例など)
「管理職は罰ゲーム」──。
最近、SNSや書籍などでこんな言葉を見たり聞く機会が増えていませんか?
ハラスメントのリスクを抱え、残業代はなくなり、報酬や権限は昔の管理職ほどではなく、成果を求める上司とZ世代の部下の間の板挟みでストレスを抱える。こうした嘆きは、もはや一部の愚痴ではなく、構造的な課題を反映した「職場のリアル」と言えるでしょう。
実際に、『罰ゲーム化する管理職』(集英社インターナショナル)著者、パーソル総合研究所上席主任研究員・小林祐児氏は以下のような構造を示しています。

引用:管理職が「罰ゲーム化」した10の要因
またITmedia ビジネスオンラインが報じた以下の調査結果も興味深いところです。
最も多かったのが「部下のメンタルケアや相談への対応」(24.7%)。
続いて「手放したいものはない」「部下のキャリア相談」(いずれも22.9%)が続いた。

このデータが示すのは、「人に関わる支援業務」が多くの管理職にとって負担となっているという事実です。
そしてそれは、単に個人の力量の問題ではなく、支援構造の設計不全に起因している可能性があるのです。
部下の成長に必要な「3つの支援」とは?
教育学者・中原淳氏は著書『職場学習論』において、人が成長する職場には次の「3つの支援」が必要だと述べています。
・内省支援(Reflective Support):経験を振り返らせ、学びに変えること
・精神支援(Emotional Support):心理的な安心感を与え、意欲を高めること

問題は、この性質の異なる3つの支援を、すべて管理職一人に担わせている企業が非常に多いということ。まさに「支援の一極集中」です。これでは、時間も気力も限界を迎えるのは当然です。
【対策】支援の分業──日揮ホールディングスの事例に学ぶ
こうした「管理職の罰ゲーム化」に対する構造的な対策として注目されているのが、日揮ホールディングス様の取り組みです。
同社では、従来の「部長+部長代行」体制を廃止し、「部長」「CDM」「PCM」という三位体制へと再編しました。
引用:日経ビジネス「“何でも屋”部長をやめた日揮が見えた『管理職の未来』」
それぞれの役割は、3つの支援と照らし合わせると以下のように対応しているのかもしれません。(これは弊社の意見です)

管理職の罰ゲーム化を防ぐ「仕組みのリデザイン」
「管理職が罰ゲームになってしまうのは、本人の努力不足ではない」──。
この認識を、まず組織として持つことが第一歩です。
そして、仕組みとして対策していく必要があります。
もちろん、日揮のように専門職を設けるのは一朝一夕には難しいかもしれません。
ですが、支援の一部を他メンバーと共有したり、制度や文化として支援を可視化・分担することは、どの企業でも始められるかと思います。
「管理職 罰ゲーム 対策」として最も効果的なのは、支援の“属人化”から“構造化”への転換です。
一人の管理職が、実務もマネジメントも、内省もメンタルケアも担う──
そんな“何でも屋”状態を見直し、役割を分けること。
それは、管理職自身を救うだけでなく、部下にとっても、より質の高い学びと安心につながります。
支援は、個人のスキルではなく、組織で設計する時代へ。
それこそが、「管理職は罰ゲームだ」という声をなくすための、最も本質的な対策ではないでしょうか。
