Huberによる組織学習の4つの要素と組織学習サブプロセス尺度
今回は組織学習について書いてみたいと思います。
WBSのコメンテーターとしてもおなじみの早稲田大学大学院の入山章栄先生の著書『世界標準の経営理論』を読んで興味を持った方も多いのではないでしょうか。
入山先生はこのように語っています。
イノベーションも組織学習も、
「何かを経験することで学習し、新しい知を得て、それを成果として反映させる」
という意味では、本質は変わらない。要は程度論である。
学習の結果、新しく得られた知の成果が極めて革新的なら、
それが「イノベーション」と呼ばれるだけのことである。
逆に「改善」のような小さな前進を実現するなら、それを組織学習
と呼ぶにすぎない。
引用
イノベーションの土台となる「組織学習の循環プロセス」とは
https://diamond.jp/articles/-/224851
立教大学の中原淳先生のホームページでは組織学習は以下のように説明されています。
「組織メンバーで生まれた知識などが、組織メンバーに共有され、
組織の決まり事になり、活用されていくプロセス」のことをいいます。
引用:リモートワークは「組織記憶」と「組織学習」の危機かもしれない!?:これは「ITオンチで、家庭にも居場所がなく、リモートワークを攻撃したいオジサマ」のためのロジックではない!?
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/11768
組織学習の4つの要素
Huber(1991)によれば以下のように定義されています。
ルーティーンに変化させ、組織の潜在的な行動範囲を変えるプロセスであり、
情報獲得、情報分配、情報解釈、組織記憶の4つの過程で構成される
前述の入山先生の記事では以下のような図が掲載されており、そのサブプロセスはサーチ、知の獲得、記憶の3つに分解されています。
画像引用
イノベーションの土台となる「組織学習の循環プロセス」とは
https://diamond.jp/articles/-/224851
個人的な解釈では、Huberのいう「情報獲得」を、「経験」と、そこから得られる「知」という要素に分解されているのだと理解しています。
ここからは日本語版組織学習サブプロセス尺度をご紹介し、Huberのいう4つの要素が具体的にどのような行動なのか見ていきましょう。
石井 馨子, 武村 雪絵, 市川 奈央子, 國江 慶子, 木田 亮平
日本看護管理学会誌 2020年 24巻 1号 p.63-71
https://www.jstage.jst.go.jp/article/janap/24/1/24_63/_pdf/-char/ja
上の表はFloresらによって開発された組織学習サブプロセス尺度を日本語版にし、医療施設用にアレンジされたものです。
注釈にあるとおり、マーカー部分を読み替えれば一般企業用として活用できると思います。
なお、組織学習サブプロセス尺度ではHuberの4つの要素に情報統合が加わり5つの要素となっています。
ぜひ、上の表の項目を見て、みなさんの組織で上記のような行動が積極的に行われているか、また、自発的に行われるような仕掛けが用意されているかどうか考えてみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。個人の時代、リモートワークという世の中の流れを考えると、どうやって組織学習していくのかというのは人事部にとって大きなテーマだと思います。
参考になれば幸いです。