今回は振り返り、リフレクションについて書いていきたいと思います。

ここ数年で振り返り、リフレクション、もしくは内省というキーワードの本も書店などでよく目にするかと思います。下記は1例。

その中でも今回はリフレクティング・プロセスと言われる手法を使って個人というよりもチームでの振り返りのやり方について紹介したいと思います。

リフレクティング・プロセスとは

そもそも、リフレクティング・プロセスとはどういうものなのかというと、家族療法と呼ばれるカウンセリングの手法です。

この手法はノルウェーの精神科医であるトム・アンデルセンによって提唱されたものです。
言葉だけで説明するのは限界がありそうなので、下画像を使いながら説明できたらと思います。

画像引用:
「語り直す力」を育てる文学教育 : 「語り」から「語り直し」へ
佐々原 正樹(2013)
図2:「会話についての会話」を眺める場

広島大学大学院教育学研究科紀要. 第一部, 学習開発関連領域
62号 P117-126
https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/ja/00035339

リフレクティング・プロセスの流れとしては以下のような流れになります。

1.家族とカウンセラーが面談する
2.それを他のカウンセラーが観察する
3.カウンセラー同士が会話するのを家族側が観察する
4.1に戻る

リフレクティング・プロセスの特徴的なプロセスは3のカウンセラー同士が会話するのを家族側が観察するというところのようです。それまで、家族は「観察される」だけだったのに対して、「観察する」という立場になっています。

これによって、家族側の内的対話、自己内対話と呼ばれる、自分自身の考えをまとめる作業に集中できる機会が生まれ、家族側の変化が促進されるとされています。

リフレクティング・プロセスを用いたチームでの振り返り

さて、このリフレクティング・プロセスをどのようにチームでの振り返りに活用するのか?というと、下画像のように4人グループでの振り返りを行う形で可能ではないかと考えています。

画像引用:
「語り直す力」を育てる文学教育 : 「語り」から「語り直し」へ
佐々原 正樹(2013)
図3:四人グループによる「眺める」場の設定

広島大学大学院教育学研究科紀要. 第一部, 学習開発関連領域
62号 P117-126
https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/ja/00035339

これまで1on1のように1対1で振り返りを行ってきたことを2on2のような形で行うイメージです。

1on1では個人についての対話がメインだったと思いますが、リフレクティング・プロセスを使った対話では、チームの状況などについての対話の方が効果的なのではと考えています。(個人の問題が複数人に共有されるのは別の問題を生む可能性もあるため)

流れとしては以下のような形を想定しています。

1.メンバーA、Bがチームの状況や問題について対話する
2.それを他のメンバーC,Dが観察する
3.A,Bの対話を聞いて感じたことをC,Dが対話し、それをA,Bが観察する
4.1に戻る

この手法の面白いところは最初はC,Dが発話できずA,Bの話を聞いて自分の考えをまとめるところに集中し、こんどはそれをC,Dで話し合い、A,Bは観察に回るというところです。

4人で一気に話すよりも2人の方が深い会話ができますし、話を聞くだけに集中することで内省が促されると思います。

この手法をオンラインで実施する場合は対話をする人以外はビデオを切って、ミュートにするとするとさらにやりやすいのではないかと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は家族療法の手法であるリフレクティング・プロセスを用いたチームでの振り返りのやり方をご紹介しました。
参考になれば幸いです。

なお、リフレクティング・プロセスの提唱者であるトム・アンデルセンの書籍も出ています。興味のある方にはこちらもオススメです。

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