たった10個の質問でビッグファイブが代替できる?TIPI-Jとは
今回は興味深い論文のご紹介をしたいと思います。
それは、たった10個の質問でビッグファイブ(Big Five)と同じパーソナリティ特性ができるのではないか?というものです。
以前にも29項目によるビッグファイブの短縮版診断という記事を書きましたが、今回はそれよりもさらに少ない項目数となります。たった10項目です。
過去記事はこちらです。
29項目によるビッグファイブの短縮版診断
そもそも日本語版ビッグファイブの原型は60項目だと考えられています(下記参照)
和田さゆり 1996
ビッグファイブ(Big Five)は簡単に書けば人の性格を5つの要素で表す理論だと言えます。
その5要素とは以下のことを指します。(書き方は色々なところで微妙に異なっています)
・情緒安定性(情緒不安定性)
・誠実性(勤勉性)
・協調性(調和性)
・開放性
TIPI-J(日本語版TIPI)とは
さて、今回紹介する短縮版ビッグファイブや、簡易版ビッグファイブとも言えるのは、日本語版Ten Item Personality Inventoryと言われるもので、略してTIPI-Jとなります。
小塩真司・阿部晋吾・カトロ−ニ ピノ (2012).
パ−ソナリティ研究, 21, 40−52.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/personality/21/1/21_40/_article/-char/ja/
TIPI-Jではビッグファイブの5因子に対して各2項目ずつの設問の合計10項目で構成されています。
個人的に面白なと感じたのが2項目が正方向と負方向で構成されていることです。
実際の質問項目は下記となっています。
得点化の方法は下記のとおりです。
外向性 = (項目1 + (8 – 項目6))/2
協調性 = ((8 – 項目2) + 項目7)/2
勤勉性 = (項目3 + (8 – 項目8))/2
神経症傾向 = (項目4 + (8 – 項目9))/2
開放性 = (項目5 + (8 – 項目 10))/2
参照:http://www.f.waseda.jp/oshio.at/research/scales/TIPI-J.pdf
利用にあたっては尺度使用マニュアルを御覧ください。
尺度使用マニュアル
また、尺度使用についての注意点については小塩先生の研究室ホームページにも記載がございます。
・尺度の引用元となる文献を明示していただければ,自由にご使用いただいて結構です。
・研究・教育以外の使用目的の場合,また教示等でご不明の点がありましたらご連絡ください。
http://www.f.waseda.jp/oshio.at/research/pages/developed_scales.html
なお、弊社では小塩先生にメールにてご連絡させていただき、許可を得た上で本記事を公開しております。
まとめ
いかがでしょうか。ビッグファイブがたった10個の質問項目で分析できるとしたらとても興味深いと思いませんか?
ぜひ論文も御覧ください。
小塩真司・阿部晋吾・カトロ−ニ ピノ (2012).
パ−ソナリティ研究, 21, 40−52.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/personality/21/1/21_40/_article/-char/ja/