今回はあまり聞き慣れない6月病について書いてみたいと思います。
え?5月病は聞いたことあるけど、6月病なんて聞いたこと無いよ、という方も多いと思います。当然ですが、どちらも医学的な病名ではありません

いわゆる5月病は、新年度となる4月から1ヶ月後のゴールデンウィーク明け頃に心身の不調を訴えること、です。新しい環境への適応するための緊張による疲れが解けたり、長期休暇中に、4月中の「できなかった自分」を振り返り、この先に不安を感じたりすること等で心身の不調を訴える人が増えます。

6月病も5月病同様、新しい環境への対応による適応障害と考えられています。
今回は下記の論文を引用しながら新入社員の6月病の7つの原因と回復に必要な5つのことを紹介していきたいと思います。

入職後1年未満の看護職員の落ち込みやすい時期と回復の実態

谷原弘之、水子学、高尾堅司、瀧川真也

川崎医療福祉学会誌
巻:30 号:1-2 ページ:265-270 発行年: 2020年08月25日

https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202002281522314811

※なお、論文中では6月病という表記はでてきません。

論文では、入社後1年未満の看護職員97名に質問調査を行い、データを分析しています。

そのうちの1つに気分が落ち込んだ月を回答してもらう質問があるのですが、結果が下記のようになっています。

6月病
引用:入職後1年未満の看護職員の落ち込みやすい時期と回復の実態 図2より

上画像を見て頂ければ分かる通り、気分が落ち込んだ月として6月と回答されている方が最も多いことがわかります。

なお、気分が落ち込んだ原因を自由記述で回答してもらい、それをKJ法でまとめた結果は、気分が落ち込んだ原因を下記の7つに分類しています。

97名の看護職員向けの調査ではありますが、6月病の原因として一般企業の社員にも通ずるところはあると思います。

6月病 原因
引用:入職後1年未満の看護職員の落ち込みやすい時期と回復の実態 表1より

特に、「できないことへの焦り」、「仕事がうまくいかない」、「同期との比較」といった、いわゆる仕事ができないことが気分が落ち込んだ理由の筆頭となります。

他には職場の人間関係、6月ごろ、そろそろ研修が終わり、本配属を見据えてひとり立ちに対する不安、4月からの緊張によるストレス・披露・緊張、総合的なものとして職場環境への不適応が挙げられています。

6月病の回復に必要な5つのこと

論文ではさらに、気分の落ち込みから回復できたきっかけについて質問を行い、回答を以下のように分類しています。

6月病 対処

まずは、業務への慣れや、やれることの増加といった成長実感などの自信がついてきたことが大きいようです。

他には人への相談というのもとても大きな要素です。

メンタルヘルスマネジメントの世界で有名なものに職業性ストレスモデル(下図)がありますが、緩衝要因として上司・同僚・家族による支援があります。

NIOSH 職業性ストレスモデル

まさにこれが気分の落ち込みから回復できたきっかけとなっています。他にはリフレッシュが挙げられていますが、これもセルフケアの一種だと思います。

つまり、気分の落ち込みから回復できたきっかけについてはいわゆるメンタルヘルス研修で伝えているセルフケア・ラインケアでカバーできていると思います。そういう意味では新入社員研修としてメンタルヘルス研修を実施するのは効果的かもしれません。

まとめ

いかがでしょうか。今回は新入社員の6月病の7つの原因と回復に必要な5つのこととして論文での調査結果を紹介してきました。

特に気分の落ち込みから回復できたきっかけを見てみると、新入社員への事前のメンタルヘルス研修が効果的かもしれないと感じました。

みなさんもぜひ論文を読んでみてください。

入職後1年未満の看護職員の落ち込みやすい時期と回復の実態

谷原弘之、水子学、高尾堅司、瀧川真也

川崎医療福祉学会誌
巻:30 号:1-2 ページ:265-270 発行年: 2020年08月25日

https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202002281522314811


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