新入社員の6月病を防ぐ — 成長実感・上司支援・家族支援・リフレッシュ・時間経過の回復5要素

【結論】新入社員の6月病は、看護職員97名を対象とした谷原ほか(2020)の論文でも気分の落ち込みのピークとして示されており、仕事ができない焦りや人間関係など7つの原因があります。
これに対し、上司や家族への相談といった5つの回復のきっかけを促すラインケアや、セルフケアゲーム「攻略!きみのストレスを発見せよ!」などの研修導入が早期離職防止に有効です。

目次

1. 5月病と6月病の違い
2. 6月病の7つの原因
3. 6月病の回復に必要な5つのこと
4. 企業がすぐできる6月病対策
5. セルフケアゲーム『攻略!きみのストレスを発見せよ!』
6. 研修導入をご検討の方へ
7. まとめ

新入社員研修・受け入れ施策を設計する人事担当者にとって、入社後数ヶ月間のメンタル不調は重要なテーマです。いわゆる5月病は広く知られていますが、看護職の現場では6月病と呼ばれる気分の落ち込みピークが観察されています。

本記事では、谷原ほか(2020)の論文「入職後1年未満の看護職員の落ち込みやすい時期と回復の実態」を参考に、新入社員の6月病の7つの原因と回復に必要な5つのことを整理し、一般企業の新入社員ケアへの応用ポイントを紹介します。

入職後1年未満の看護職員の落ち込みやすい時期と回復の実態
谷原弘之、水子学、高尾堅司、瀧川真也
川崎医療福祉学会誌 30巻 1-2号 265-270ページ 2020年08月25日

J-GLOBAL 論文リンク

※ 論文中では「6月病」という表記はでてきません。「気分が落ち込んだ月」として6月が最多だったため、本記事では便宜的に6月病と呼んでいます。

5月病と6月病の違い

まず整理しておくと、5月病も6月病も医学的な病名ではありません。いずれも新しい環境への適応障害と考えられています。

時期 主な要因
5月病 4月の緊張が解けるゴールデンウィーク明け。新環境への疲れ、できなかった自分への不安
6月病 新人研修が終わる頃。独り立ちへの不安、仕事ができないことへの焦り、人間関係疲れ

論文では、入社後1年未満の看護職員97名を対象に質問調査を実施しており、気分が落ち込んだ月として6月と回答した方が最も多いことが示されています。

入職後1年未満の看護職員が気分が落ち込んだ月

引用: 入職後1年未満の看護職員の落ち込みやすい時期と回復の実態 図2より

6月病の7つの原因

気分が落ち込んだ原因は、自由記述の回答をKJ法で以下7つに分類しています。97名の看護職員向けの調査ですが、一般企業の新入社員にも通じる部分が大きい内容です。

気分が落ち込んだ原因7分類

引用: 同論文 表1より

原因カテゴリ 内容例
1. できないことへの焦り 仕事が覚えられない、期待に応えられない
2. 仕事がうまくいかない ミスが多い、先輩に叱られる
3. 同期との比較 同期ができていて自分はできていない
4. 職場の人間関係 先輩・上司・同僚との関係性の悩み
5. 本配属・独り立ちへの不安 研修終了後、1人で業務を担う責任
6. ストレス・疲労・緊張 4月からの蓄積疲労
7. 職場環境への不適応 総合的な環境のミスマッチ

特に、「できないことへの焦り」「仕事がうまくいかない」「同期との比較」といった「仕事ができない自覚」に起因する原因が上位となっています。

6月病の回復に必要な5つのこと

【要点】新入社員の6月病からの回復には、業務への慣れによる成長実感、上司・同僚・家族・友人への相談による支援、休日のリフレッシュといったセルフケアが有効です。これらの回復のきっかけは、セルフケアとラインケアでカバーできる範囲にあるため、新入社員研修でのメンタルヘルス研修が予防と早期回復に効果的です。

同論文では、気分の落ち込みから回復できたきっかけも分類されています。

気分の落ち込みから回復できたきっかけ

引用: 同論文 表2より

回復のきっかけ 内容
1. 成長実感・自信 業務への慣れ、できることの増加
2. 上司・先輩への相談 職場内の支援
3. 家族・友人への相談 職場外の支援源
4. リフレッシュ 休日の気分転換、趣味、運動(セルフケア)
5. 時間の経過(慣れ) 時とともに自然に馴染んでいく

メンタルヘルスマネジメントで有名な職業性ストレスモデルでも、緩衝要因として上司・同僚・家族による支援が位置付けられており、本調査結果とも整合します。

NIOSH 職業性ストレスモデル

つまり、回復のきっかけはセルフケアとラインケアでカバーできる範囲にあります。そのため、新入社員研修の段階でメンタルヘルス研修を組み込んでおくことが、6月病予防および早期回復に効果的と考えられます。

企業がすぐできる6月病対策

【要点】新入社員の6月病対策として、企業は入社前からの情報共有、6月の追加フォロー面談、新入社員向けメンタルヘルス研修、管理職向けラインケア研修、そして同期会の設計を実務的に組み込むことが有効です。これにより、新入社員の孤立を防ぎ、ストレス自己管理能力を高め、不調の早期発見とサポート体制を強化できます。

実務的には、以下のような対策を新入社員受け入れプロセスに組み込むとよいでしょう。

入社前オリエンテーションで独り立ちロードマップを共有:「6月ごろは不安を感じやすい時期」と事前に認識合わせしておく
6月の追加フォロー面談:人事・メンター・上司の3者から1回ずつ面談を設定し、孤立を防ぐ
新入社員向けメンタルヘルス研修:セルフケア手法(ストレス自己管理、相談先の認識)を身につける
管理職向けラインケア研修:新入社員の不調サインの早期発見とサポート手法を学ぶ
同期会の設計:配属後の同期会を6月に設定し、「同じ悩みを共有できる場」をつくる

セルフケアゲーム『攻略!きみのストレスを発見せよ!』

ストレスを発見せよ

新入社員の6月病対策としてセルフケア手法を体験的に学べるのが、『攻略!きみのストレスを発見せよ!』です。伊藤絵美先生監修のもと、株式会社ウサギの高橋晋平氏が開発に協力し、合同出版から2023年8月に発売されたストレスマネジメントのカードゲームです。

1つのパッケージで4つのゲームが実施でき、①ストレッサー(ストレスのもと)を発見するゲーム / ②ストレス反応を発見するゲーム / ③コーピング(対処法)を発見するゲーム / ④1人でストレスマネジメントを発見するゲームの4スキルが学べる構成です。新入社員が自分のストレスパターンを言語化し、対処法を自分で見つけられるようになる補助輪として有効です。

アンケート回答社数が30件未満のため、受講者満足度は表示しておりません。

詳細は攻略!きみのストレスを発見せよ!の紹介記事をご覧ください。

研修導入をご検討の方へ

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その他、実施時期や受講人数など(300文字以内)


まとめ

【要点】新入社員の6月病は、できないことへの焦りや同期との比較、人間関係、独り立ちへの不安などが主な原因です。回復には成長実感上司先輩への相談、そしてセルフケアが有効であり、研修段階でのメンタルヘルス教育や6月のフォロー面談が離職予防と早期戦力化に繋がります。

新入社員の6月病は、できないことへの焦り・同期との比較・人間関係・独り立ちへの不安などが要因で、回復には成長実感+上司先輩への相談+セルフケアが効きます。新入社員研修の段階でメンタルヘルス研修を組み込み、6月にフォロー面談を入れるといった運用で、離職予防・早期戦力化につなげられます。


この記事を書いた人

千葉 順
千葉 順
株式会社HEART QUAKE 代表取締役
元法政大学兼任講師(キャリアデザイン論)
→ 詳しいプロフィール

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