論文に学ぶインターンシップ|満足度を左右する『フィードバック』の設計

【結論】岡山大学・児子正治氏の論文(2021)によれば、インターンシップ満足度の源泉は「人としての成長」「能力開発」「達成感」の3つで、最優先の要改善項目は「フィードバック」です。2022年改正の三省合意により2025年卒以降はタイプ3型インターンシップで採用直結が可能となり、参加学生に「自分の努力が成果につながっている」と実感させるフィードバック設計の重要性は、これまで以上に高まっています。

目次

1. インターンシップの満足度に最も影響するのは「人としての成長」
2. インターンシップの要改善項目は「フィードバック」
3. 図で見るインターンシップの満足度と改善項目
4. 2025年卒から本格運用「三省合意改正」と論文知見の重要性
5. まとめ
6. 株式会社HEART QUAKEの研修・ビジネスゲームにご興味のある方へ

今回はインターンシップについての面白い論文を見つけましたのでその内容をご紹介したいと思います。

それがこちらの論文です。

インターンシップから感じる学生の職務満足分析

児子 正治 岡山大学大学院社会文化科学研究科
岡山大学大学院社会文化科学研究科紀要(2021)

https://ousar.lib.okayama-u.ac.jp/ja/list/nii_types/Departmental%20Bulletin%20Paper/item/61341

インターンシップの満足度に最も影響するのは「人としての成長」

この論文では国立大学の大学生でインターンシップに参加した97名のデータを分析した結果、インターンシップ満足度の1番の源泉は「人としての成長」だったということです。

論文では以下のように記述されています。

大学生がインターンシップの経験から感じる職務満足の源泉は、
「人としての成長」「能力開発」「達成感」であることが明らかになった。

「人としての成長」は抽象的で分かりづらいですが、以下のように考察されています。

「人としての成長」は、仕事の経験を通じて、
関わる人や一緒に取り組む同僚からの刺激を受け、
人としての成長を感じていくのであろう。

私個人は大学3年生の時(2004年)に19日間のインターンシップに参加しました。その時の満足の源泉も上記の3項目と大きく違いは無いように感じます。ただし、「人としての成長」というよりも、「ビジネスパーソンとしての成長」の方が私個人の感覚に近いかもしれません。それまで普通の大学生だった私が、インターンシップ中の経営者および営業・開発の部門長の話を聞いて、ビジネスというものがどのようなものかを知った、というのが大きかった気がします。ただ、仕事の経験を通じて関わる人や一緒に取り組む同僚からの刺激を受けたという点は同じです。

また、私が参加したインターンシップには同時期に100名近い大学生・大学院生が参加しており、同期のアウトプットに刺激を受けたというのも大きかった気がします。インターンシップ序盤、うまく成果が出せなかった中、他の参加者のアウトプットを見ることで「そういうことか!」と気づき、後半は成果を出せたので、一種の「能力開発」と言えるかと思います。

さらに「達成感」ということで言えば、このインターンシップは内定直結型のインターンシップでしたので、19日間のインターンシップを終えて内定をもらえたことも達成感を高めてくれました。

インターンシップの要改善項目は「フィードバック」

一方、要改善項目として最も重要なのは「フィードバック」とされています。

論文では以下のように記述されています。

職務満足の総合評価の影響は高いが、現状の労働価値観が低く満足度を感じていない
重要改善項目は、「フィードバック」「注目」「タスクの完結」・・・(一部省略)
などであり、特に最優先の改善項目となる「フィードバック」を見直すことが、
今後、インターンシップの経験から大学生が感じる職務満足の向上につながる
ことが明らかになった

こちらもフィードバックについて記載内容をもう少し詳しくご紹介したいと思います。

フィードバックは経験中に自分のやっていることの進捗状況や成果が見え、
社員や同僚から進捗や成果を教えてもらいながら、自分が努力していることが
好ましい結果に向かっていることを系統立って理解していく中で、
自己努力が成果につながっていると感じる経験

これも個人的な経験ですが、私の参加していたインターンシップではアウトプットについて「A・B・C」の3段階の評価(A・Bが合格でAは100名中2〜3名)の書かれた紙が壁に張り出されるだけというフィードバック方法でした。

そして、その評価への説明は1行だけ。社員からの説明は無し。これについてはかなり不満がありました。今から考えると100名もの学生に1人1人丁寧なフィードバックをすることが難しかったのだと思いますが、内定直結型ということもあり、フィードバックについてクレームを言う学生もいました。この点はまさに要改善項目だと思います。

要改善項目の2つ目に「注目」が入っているのは個人的には「今っぽい」なと感じます。SNSなどの普及で「いいね」を求める行動に重きが置かれる現代では「注目」や他の改善項目にあった「ほめられる」というのは大事なのかもしれません。

ただし、これについては賛否両論あるはずで、インターンシップ生はお客様ではないのだから丁寧に扱いすぎる必要はないのでは?という声もあると思います。

図で見るインターンシップの満足度と改善項目

さて、ここまでの話を1つの図でまとめたのが下図です。

インターンシップの質問紙調査におけるCSグラフ
画像引用:Fig.1 インターンシップの質問紙調査における CS グラフ

右上の象限が重点維持項目ということで、満足度に強く影響しており維持すべき項目で、「人としての成長」などが含まれます。

一方、右下の象限が重点改善項目で、「フィードバック」などが含まれます。

ざっくりとまとめると、維持したい項目は能力開発などを含む「成長」で、改善すべき項目は注目・ほめられるなどを含む「フィードバック」と言えると思います。

2025年卒から本格運用「三省合意改正」と論文知見の重要性

この論文が示す「フィードバック改善が満足度向上の鍵」という知見は、2022年6月に改正された三省合意(文部科学省・厚生労働省・経済産業省)を受けてさらに重要性を増しています。

三省合意改正により、2025年卒(2024年度の大学3年生)以降を対象に、インターンシップは以下の4類型に整理されました。

類型 内容 採用への活用
タイプ1 オープン・カンパニー(1日以下) 不可
タイプ2 キャリア教育(1〜5日) 不可
タイプ3 汎用的能力・専門活用型インターンシップ(5日以上、就業体験必須) 採用直結可(5要件充足時)
タイプ4 高度専門型インターンシップ(2か月以上) 採用直結可

特に注目すべきはタイプ3で、5要件(就業体験を伴う/実施期間5日以上/実施期間の半分超を職場体験/職員による指導と職務評価のフィードバック/開催情報を産学協議会基準で公表)を満たすことで、取得した学生情報を採用活動開始(広報3月1日、選考6月1日)以降に活用できます。

ここで論文の知見が効いてきます。タイプ3要件には「職員による指導と職務評価のフィードバック」が明記されており、まさに論文が「最優先の要改善項目」として指摘した部分です。フィードバック設計の質が、参加学生の満足度・志望度・最終的な内定承諾率に直結する時代に入った、と言えます。

論文に挙げられた、「自分の努力が成果につながっている」と参加者が実感できるフィードバック──進捗状況や成果が随時見える化され、社員や同僚から声掛けや評価をもらえる──は、タイプ3型インターンシップの設計指針としてもそのまま使えます。

インターンシップ研修で活用できる体験型ビジネスゲーム

論文が示す「人としての成長」「能力開発」「達成感」を短期間で参加学生に体感してもらうには、講義型ではなく体験型のプログラム設計が有効です。当社では新卒向けインターンシップ・採用直結型インターンシップ・タイプ3型インターンシップ等で、以下のビジネスゲームを多数ご活用いただいています。

マシュマロチャレンジ

マシュマロチャレンジ
パスタとマシュマロを使い、制限時間内にできるだけ高いタワーを作るチームビルディングゲーム。アイスブレイクと「能力開発」体験を兼ねた、インターンシップ初日の関係構築教材として最適です。詳細はマシュマロチャレンジの解説記事をご覧ください。

NASAゲーム(カード版)

NASAゲーム(カード版)
月面で遭難した宇宙飛行士になり、生存に必要なアイテムの優先順位をチームで合意形成するコンセンサスゲーム。「自分の意見を述べ、他者の意見と擦り合わせる」体験で、論文が示す「達成感」と「能力開発」を引き出します。詳細はNASAゲームの解説記事をご覧ください。

ペーパータワーforビジネス

ペーパータワーforビジネス
紙だけで高いタワーを作りつつ、原価管理・品質管理・チーム協働を体感するビジネスゲーム。インターンシップで「ビジネスとは何か」を実感してもらう導入教材として効果的です。詳細はペーパータワーforビジネスの解説記事をご覧ください。

まとめ

冬休み・夏休みのインターンシップを設計するにあたり、参考になれば幸いです。論文が示すように「人としての成長」「能力開発」「達成感」を生む体験設計と、最優先課題である「フィードバック」の質的改善が、満足度の高いインターンシップ実現の鍵となります。三省合意改正後はタイプ3要件を満たすフィードバック体制の構築が、採用面でも大きな差別化要因になります。

インターンシップの設計についてはこちらの書籍もオススメです。

また、論文では質問項目なども記載されていますのでぜひ読んでみてください。

インターンシップから感じる学生の職務満足分析

児子 正治 岡山大学大学院社会文化科学研究科
岡山大学大学院社会文化科学研究科紀要(2021)

https://ousar.lib.okayama-u.ac.jp/ja/list/nii_types/Departmental%20Bulletin%20Paper/item/61341

株式会社HEART QUAKEの研修・ビジネスゲームにご興味のある方へ

株式会社HEART QUAKEでは、企業研修用ビジネスゲームの企画・開発・提供を行っております。年間400社以上の研修実績があり、新入社員研修からマネジメント研修まで幅広く対応しています。

インターンシップにおいてもアイスブレイク・チームビルディング・合意形成体験など、参加学生の「人としての成長」「能力開発」「達成感」を引き出すゲーム研修としてご活用いただけます。

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