リーチングアウト|領域を越えて手を伸ばすチームワーク|サイロ化解消の4つの理由と4施策

【結論】リーチングアウトとは、自分の担当を超えて他者の領域に関心を持ち、手を伸ばす姿勢です。
ニューバランスの久保田氏が紹介した「つま先を踏め」という言葉のように、サイロ化を防ぎ組織の創造性を高める効果があります。
この他者への働きかけを体験的に学べるゲーム型研修「チームクリップ」は、周囲の状況を見て声をかける姿勢を振り返る題材になります。

目次

1. リーチングアウトとは
2. 「つま先を踏め」が意味すること
3. リーチングアウトが必要な理由
4. ペアプログラミングはリーチングアウトの仕組み化
5. ホンダ流ワイガヤとリーチングアウト
6. 職場で実践するリーチングアウトの具体例
7. 余計な口出しにしないための注意点
8. リーチングアウトを組織に取り入れるには
9. 他者への働きかけを体験する研修「チームクリップ」
10. よくある質問
11. 研修導入をご検討の方へ
12. まとめ

「自分の担当範囲は完璧にこなしているけれど、隣の人の仕事には口を出さない」——こんなサイロ化したチームは、変化の激しい現代では機能不全に陥りやすくなります。組織の柔軟性と創造性を生むには、メンバーが自分の領域を少し超えて互いに関わる姿勢が不可欠です。

2023年2月に放送されたカンブリア宮殿でニューバランスジャパン社長の久保田伸一氏が紹介した座右の銘「Step on someone’s toe(誰かのつま先を踏め)」は、まさにこの発想を表しています。今回はチームワークの基本「リーチングアウト」について解説します。

リーチングアウトとは

Reach Outとは、英語で「手を伸ばす」「援助の手を差し伸べる」という意味です。ビジネスの文脈では以下のように表現されます。

・自分の担当の隣接する領域にまで手を伸ばすこと
・人の仕事に関心を持ち、いつでも協力できる姿勢

リーチングアウト 概念図

上図のように、お互いの領域が重なっているのがリーチングアウトの理想形です。完全に分業して互いの領域に触れないのでもなく、なんでも口を出し合うのでもなく、適度に重なり合う領域を持ちます。

「つま先を踏め」が意味すること

【要点】「つま先を踏め」とは、自分の担当外だからと線引きせず、他者の仕事の領域に一歩踏み込んで関わりを持つべきだという教えです。ニューバランスの久保田氏が紹介したこの姿勢は、周囲に関心を持って主体的に手を貸すことで、組織に柔軟性と創造性をもたらすチームワークの要諦を意味しています。

実際に誰かのつま先を踏むという意味ではありません。担当外の仕事にも関心を持って声をかけ、相手と相談しながら協力する姿勢として捉えましょう。

リーチングアウトが必要な理由

1. 複雑な課題は1領域では解けない

現代のビジネス課題の多くは、複数の領域にまたがるものです。マーケティング・開発・営業・サポートが連携しないと顧客価値を生めません。リーチングアウトの姿勢が、部門横断の自然な連携を生みます。

2. サイロ化を防ぐ

各部門・各個人が自分の領域だけに集中すると、サイロ化が進行し、情報共有・協力が途絶えます。リーチングアウトは、サイロ化への日常的な対抗策です。

3. ミスを早期発見できる

隣接領域にも目を向けるメンバーがいれば、第三者視点でのチェックが自然と働きます。自分の担当だけでは気づかない視点が入り、ミスの早期発見に繋がります。

4. 新しいアイデアが生まれる

異なる領域の知識が交差する境界線で、イノベーションは生まれやすいと言われています。リーチングアウトは、その境界線を意図的に作る行為です。

ペアプログラミングはリーチングアウトの仕組み化

リーチングアウトをより仕組み化した取り組みとして、プログラマーの世界にはペアプログラミングがあります。

参考:CodeZine ペアプログラミング記事

ペアプログラミングでは、実装を進める人と、その内容を確認する人が協力して作業します。作業中に疑問点を共有できるため、認識のずれやミスを早い段階で見つける機会になります。効果や負担は仕事内容によって異なるため、重要な処理や知識共有が必要な場面から取り入れるとよいでしょう。

ビジネス領域でも、企画書・契約書・プレゼン資料など重要なアウトプットに対して、ペアで作業するスタイルを取り入れる価値があります。

ホンダ流ワイガヤとリーチングアウト

ホンダでもリーチングアウトは重要視されており、『ホンダ流ワイガヤのすすめ』の中でも紹介されています。

参考書籍:本間日義『ホンダ流ワイガヤのすすめ』(朝日新聞出版、2015年)。役職や担当の違いを越えて意見を交わす姿勢は、リーチングアウトを考える手がかりになります。

ホンダのワイガヤは、立場や役職を超えて雑談混じりに話し合う文化で、リーチングアウトが組織文化に組み込まれた代表例です。

職場で実践するリーチングアウトの具体例

リーチングアウトは、相手の状況を確かめ、自分が協力できることを提案する行動に置き換えると実践しやすくなります。以下は職場での声かけの例です。

引き継ぎ先が困らないように確認する

自分の資料作成が終わっても、次の担当者が必要な情報を把握できなければ仕事は止まります。「この資料で次の作業に進めそうですか。補足が必要な箇所はありますか」と確認し、担当業務の間に生じる抜けを埋めます。

忙しいメンバーに具体的な支援を提案する

「何かあれば言ってください」だけでは、相手が依頼をためらうこともあります。「今日の会議資料なら、数字の確認を引き受けられます」のように、手伝える範囲とタイミングを伝えると相談しやすくなります。

他の担当で気づいた懸念を共有する

営業担当が顧客の要望を聞いたとき、開発担当の仕事だからと判断を保留せず、「この納期について確認したい点があります」と声をかけます。相手の事情も聞いたうえで、何を誰が確認するかを一緒に決めます。

余計な口出しにしないための注意点

リーチングアウトでは、相手の担当や判断を尊重しながら関わることが大切です。無断で仕事の進め方を変えたり、本人に代わって約束したりすると、責任の所在が曖昧になります。

・まず「今、少し確認してもよいですか」と都合を聞く
・「やり方が違う」ではなく、気づいた事実と懸念を伝える
・支援の範囲、期限、最終的な判断をする人を確認する
・自分の業務に影響が出る場合は、上司と優先順位を調整する

支援を断られたときも、必要な情報を共有して引く判断が必要です。手を伸ばすことと、仕事を抱え込むことを混同しないようにしましょう。

リーチングアウトを組織に取り入れるには

1. 心理的安全性の土台作り

「領域を越えて話すこと」が嫌がられない雰囲気が前提です。心理的安全性が低い組織では、リーチングアウトは他人のテリトリー侵害と受け取られ、逆効果になります。

2. 雑談の機会を設計する

ザッソウ(雑談と相談)の文化を作ると、自然とリーチングアウトが起きやすくなります。会議冒頭の雑談タイム、ランチ時間のクロス部門交流など、小さな仕掛けから始められます。

3. 評価制度で後押しする

自分の領域だけで成果を出す人だけが評価される制度では、リーチングアウトは損になります。「他メンバーへの貢献」を評価項目に入れることで、行動を強化できます。

4. マネージャーが範を示す

管理職自身がリーチングアウトの姿勢を見せることで、メンバーも真似しやすくなります。「困ってることない?」と週1で声をかけるような小さな習慣から始めます。

他者への働きかけを体験する研修「チームクリップ」

周囲に関心を持つ大切さを理解していても、忙しい場面では自分の作業だけに集中しがちです。その状況を振り返る機会として、弊社では自律型人材を育成するゲーム型研修「チームクリップ」を提供しています。

砂時計を使って個人とチームのタスクを進めるチームクリップ

参加者は映像制作会社の社員となり、個人のタスクとチームのプロジェクトの両方を制限時間内に達成することを目指します。砂時計を使って作業を進め、計画タイムと実行タイムを繰り返します。

特徴は、他の人の砂時計を動かせないことです。作業マスが埋まっている場合、作業が終わっている人に声をかけ、砂時計を動かしてもらう必要があります。自分のタスク管理に加え、周囲の状況を見て働きかけることが求められます。

この体験は、リーチングアウトの「人の仕事に関心を持ち、自分から関わる」という姿勢を考える題材になります。振り返りでは「自分の作業に集中しすぎた場面」「声をかけたことで進んだ場面」「職場で試したい働きかけ」を話し合うと、日常業務につなげやすくなります。

FusionTradeJapan様の導入事例

チームクリップを実施したFusionTradeJapan様からは、次のご感想をいただいています。

「プロジェクト案件をより多く獲得する」というチーム目標のもと、
互いの協力が不可欠な仕組みと時間制限のルールがうまく機能し、
自然とコミュニケーションが活性化していました。

※導入事例のご感想から抜粋。

チームクリップは講師派遣形式で実施します。対象人数は3名〜100名超、所要時間は2〜4時間です。ゲームを2回実施する場合は3時間〜が目安となります。

チームクリップの詳細を見る

よくある質問

Q. リーチングアウトを職場で実践する際、どのような点に注意すればよいですか?

相手の担当や判断を尊重し、余計な口出しにならないよう配慮が必要です。まずは都合を確認し、やり方の否定ではなく気づいた事実や懸念を伝えるようにします。こうした他者への関わり方は、ゲーム型研修のチームクリップを通じて体験的に学ぶことができます。

Q. リーチングアウトを組織に定着させるための具体的なアプローチはありますか?

心理的安全性の土台作りや、雑談・相談がしやすい機会の設計が有効です。また、他者への貢献を評価する制度の導入や、マネージャー自身が率先して声をかけることも行動を後押しします。組織全体で協働の重要性を理解する手段として、チームクリップなどの研修を活用するのも効果的です。

Q. 「チームクリップ」を導入することで、受講者にはどのような変化が期待できますか?

自分の作業に集中しすぎるあまり周囲が見えなくなる状況をゲーム内で擬似体験し、他者へ働きかける重要性を実感できます。振り返りを通じて、職場での具体的な声かけや協力体制の構築に向けたアクションプランを主体的に考えられるようになります。

Q. 研修の費用や見積もりについて教えてください。

研修の実施費用は、参加人数やカスタマイズの有無、講師派遣の条件などによって異なります。具体的な料金プランや詳細な見積もりについては、個別のお問い合わせ時にご案内しております。まずはご要望をお聞かせいただき、最適なプランをご提案いたしますので、チームクリップのお問い合わせ窓口よりご連絡ください。

研修導入をご検討の方へ

自分の担当だけでなく、周囲に関心を持って働きかける姿勢を育てたい方へ。チームクリップの講師派遣研修について、実施人数や研修目的に合わせた資料・お見積りをご案内します。

詳細な資料、お見積りをご希望の方はまずは下記より資料請求をお願いします。

※同業他社様からのお問い合わせはご遠慮ください。

お問い合わせ内容

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ご担当者様氏名 (姓と名の間に半角スペースを入れてください)

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※メールアドレスは企業アカウントのみ有効とさせて頂いております。

研修目的

※必須

※研修の目的、ゴール、実施背景など箇条書きで構いませんのでご記入下さい。

その他、実施時期や受講人数など(300文字以内)

まとめ

【要点】チームワークの基本であるリーチングアウトを実践するには、心理的安全性や評価制度などの環境を整え、まずは隣の担当者に状況を聞くことから始めるのが効果的です。研修で体験と振り返りの機会を設ける際には、チームクリップの活用も推奨されます。組織の柔軟性と創造性を生むこの姿勢を、身近な一歩から職場に取り入れていきましょう。

リーチングアウトは自分の担当領域の隣接まで手を伸ばし、人の仕事に関心を持つチームワークの基本姿勢です。ニューバランス久保田氏の「Step on someone’s toe」や、ホンダのワイガヤ文化にも通じる、組織の柔軟性と創造性を生む発想です。

心理的安全性・雑談機会・評価制度・マネジメント行動を整えながら、まずは隣の担当者に状況を聞くことから始めてみましょう。研修で体験と振り返りの機会を設ける場合は、チームクリップもご活用ください。


この記事を書いた人

千葉 順
千葉 順
株式会社HEART QUAKE 代表取締役
元法政大学兼任講師(キャリアデザイン論)
→ 詳しいプロフィール

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