カスハラ義務化が現実に。企業が今すぐ始めるべき5つの対策
カスハラ義務化が現実に。なぜ今、対策が求められているのか?
2024年12月、厚生労働省の労働政策審議会は、カスタマーハラスメント(カスハラ)に関する企業の対策を法的義務とする方針を明確にしました。
労働政策審議会建議「女性活躍の更なる推進及び職場におけるハラスメント防止対策の強化について」を公表します

これにより、2026年にも労働施策総合推進法が改正され、パワハラやセクハラと同様にカスハラ対策が企業に義務付けられる見通しです。
厚労省の調査では、接客業や医療・教育現場などで従業員が精神的苦痛を受け、離職に追い込まれるケースが多く報告されています。

職場のハラスメントに関する実態調査 結果概要 P.21
令和6年5月17日
厚生労働省 雇用環境・均等局
雇用機会均等課
企業が対策を講じなければ、安全配慮義務違反に問われる可能性もあり、今から備えておくことが重要です。
企業が今すぐ始めるべき5つのカスハラ対策
ということで、企業として今から始めるべきカスハラ対策として5つの対策を挙げてみたいと思います。
⇒まずは自社としての対応方針を決定し、明文化することです
すでにカスハラ対応方針を公表している代表的な企業が多数ありますのでいくつか紹介させて頂きます。
カスタマーハラスメントに関する行為を明確に定義し、悪質な場合は警察・弁護士と連携する姿勢を明記。
・ANA・JALグループ
航空2社が共同で声明を出し、著しい迷惑行為には毅然とした対応を取る方針を発表。
・スクウェア・エニックス
過剰なクレームや誹謗中傷に対しては、サービス停止や法的措置も含めて対応する方針を公表。
・大丸松坂屋百貨店
従業員への迷惑行為への対応として、店頭での掲示や社外向け方針を公表。悪質行為には出入り制限も。
・すかいらーくホールディングス
悪質な迷惑行為に対してはサービスの提供中止や警察との連携も含む方針を公開。
⇒社員に対してカスハラについての教育・研修を実施することで
従業員が冷静かつ適切に対応できる現場対応力の向上や、
「守ってもらえている」という安心感やカスハラについて不安やストレスを軽減し
職場への信頼感やエンゲージメントが高まる効果が見込めます
例えば、第一法規社は介護業界向けにロールプレイを活用した実践形式のカスハラ研修を提供されています。
【新商品】『ロールプレイングで学ぶ!介護職員のためのカスタマーハラスメント対策』リリース!
⇒具体的には通報窓口の設置と通報内容の記録と可視化から対応したいところです。
現場の従業員が相談できる専用の担当部署や担当者を設ける(人事・総務・コンプラ部など)ことや、メールフォーム、内線、チャット、紙など複数の手段で通報できるようにすること、特に匿名通報を可能にすることでハードルを下げることも重要です。
⇒カスハラと判断される具体的な行動を記録して、パターン化して共有して「よくある事例」としての教育素材にも活用
受けた相談を時系列で記録し、対応の履歴を残す(Excelや専用システムなど)発生場所・相手・内容・被害状況・初動対応などを整理して記録して企業として横展開することも重要です。
記録から原因を分析し、店舗・現場の環境改善(例:レジ配置、注意書きの掲示)や、マニュアルの更新や研修内容の改善につなげていきましょう。
また、同時に被害者となった従業員のメンタルヘルス的なフォローができる体制の整備ができるとなお良いでしょう。
⇒目につく場所にポスターや注意喚起の張り紙や
「従業員への暴言・暴力・迷惑行為はお断りします」などの明確な表現で周知しましょう
先程はカスハラ対応方針を公表している代表的な企業のURLをご紹介しましたが、より対顧客むけに
レジやカウンターなどに張り紙や、「従業員への暴言・暴力・迷惑行為はお断りします」などの明確な表現を企業ロゴ入りで統一感を出すと信頼性が高まるかと思います。
厚生労働省の資料と参考リンク
企業のカスハラ対策に役立つのが、厚労省が2022年に発表した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(PDF)」です。

この資料には以下のような内容が掲載されています:
・従業員を守るための基本方針と対応フロー
・実際にあった事例とその対処法
・相談窓口や記録の整備方法
・教育・研修プログラムの構成案
これらは、企業が対策を進める上での具体的なガイドとして非常に有用です。
今後のスケジュール(予想)
今後スケジュールについて予想しておきます。
・2026年:労働施策総合推進法の改正・施行(予定)
まとめ:義務化に備えて、今こそ「従業員を守る経営」へ
カスハラ対策の義務化は、「顧客第一主義」の時代におけるパラダイムシフトとも言えます。
従業員を守る企業姿勢は、採用力・定着率・顧客からの信頼にも直結します。
「義務化されたからやる」ではなく、「今のうちから取り組む」ことこそが、持続可能な組織づくりの第一歩です。
