飲食店長のリーダーシップ研修で使える行動チェックリスト
飲食店の業績は、店長のリーダーシップ行動に大きく左右されると言われます。しかし「店長として何をどのようにすべきか」を具体的な行動レベルで示したチェックリストは意外と少なく、店長研修やセルフアセスメントの場面で教材が不足しがちです。
本記事では、浜田・庄司(2013)の「外食チェーン店長のリーダーシップ行動尺度」を参考に、飲食店長のリーダーシップ行動を24項目・5分類で整理したチェックリストと、店長研修での活用方法をまとめます。
外食チェーン店長のリーダーシップ行動尺度の作成の試み
目白大学大学院心理学研究科 浜田 陽子
目白大学人間学部 庄司 正実
なぜ店長のリーダーシップが重要なのか
同論文では、先行研究の引用として店舗の盛衰は店長の能力に大きく依存することが指摘されています。また、店長自身のメンタルヘルスも、パート・アルバイトから得られるサポートの多寡に強く影響されることが示されています。
つまり、店長とパート・アルバイトの関係性は、店舗業績と店長自身の健康の両面で重要なファクターであり、店長のリーダーシップ行動は「業績を作る」ために欠かせないスキルと言えます。
飲食店長のリーダーシップ行動チェックリスト(24項目/5分類)
同論文では、店長の行動を下記24項目・5分類に整理しています。店長研修のセルフアセスメントに、そのまま活用いただけます。
| 分類 | 行動項目 |
|---|---|
| 1. 模範を示す (行動1〜4) |
1. スタッフから常に見られているという意識をもって接する 2. 言葉だけでなく行動で示す 3. 何事も自ら率先してやる 4. リーダー自身の行動で、よい例を示す |
| 2. 情報提供 (目標を示す) (行動5〜8) |
5. 会社の経営方針を伝える 6. 仕事の目標を伝える 7. 仕事上、重視していることや考え方をはっきりと伝える 8. 目標達成の意義をきちんと説明する |
| 3. ポジティブなフィードバック (行動9〜13) |
9. よい働きに対してはその場でほめる 10. 感謝の気持ちを言葉で伝える 11. スタッフへの信頼を伝える 12. 気持ちよく働けるよう言葉に気を付ける 13. ネガティブな言葉は使わないようにする |
| 4. 配慮の提示 (行動14〜20) |
14. 日頃からスタッフひとりひとりのニーズ・能力・希望を知るように努力する 15. スタッフひとりひとりの将来と成長を配慮して教育する 16. スタッフの話をよく聴く 17. どのスタッフに対しても公平に接する 18. すべてのスタッフに声をかける 19. スタッフに対して常に誠実に接する 20. 仕事以外の会話をする |
| 5. 自律性のサポート・意思決定への参加 (行動21〜24) |
21. 可能なことはできるだけ任せる 22. スタッフの意見を取り入れる 23. 意見や提案によく耳を傾ける 24. 業務に関して意見を述べる機会を与える |
論文では、各項目を4件法(0:しない / 1:どちらかといえばしない / 2:どちらかといえば行う / 3:よく行う)で自己評価しています。研修で使うときも同じスケールで採点してもらい、分類ごとに平均点を出すと、自分の強みと課題が可視化されます。
成果につながる行動/つながらない行動
同論文のもう一つの重要な発見が、5分類のうち「どの分類が店長の成果(売上等)につながりやすいか」の分析結果です。
| 成果との関係 | 分類 |
|---|---|
| 成果につながる | 1. 模範を示す 2. 情報提供(目標を示す) 5. 自律性のサポート |
| 成果には直接つながらない (職場満足にはマイナスの場合も) |
3. ポジティブなフィードバック 4. 配慮の提示 |
直感に反する結果かもしれませんが、重要なのは「ほめる・配慮する」だけでは業績に結びつかないという知見です。店長がパート・アルバイトにビジョンや目標を示し、自ら手本を見せ、自律的な仕事の場を作ることが、現場の業績に繋がる行動であると示されています。
もちろん、ポジティブなフィードバックや配慮がまったく不要というわけではありません。これらは職場の定着・雰囲気づくりに寄与する一方で、業績を生む直接的なドライバーにはなりにくいという点を理解した上で、他の3分類との組み合わせで使うのが現実的です。
店長研修でチェックリストを活用する3ステップ
実際に店長研修で本チェックリストを使う場合、次の3ステップで進めるのがおすすめです。
・ステップ1: セルフアセスメント — 各自で24項目を4件法で自己評価し、分類ごとの平均点を算出する
・ステップ2: グループ共有と比較 — 3〜4名のグループで結果を共有し、他店長の強みを学ぶ
・ステップ3: 行動計画の策定 — 分類1・2・5のうち、得点の低い項目から1つ選んで「明日から始める具体行動」を宣言する
研修後、1ヶ月後・3ヶ月後に同じチェックリストで再測定すると、行動変容の定着度を数値で追跡できます。
リーダーシップ行動のフィードバック設計を学ぶ書籍
リーダーシップの行動変容やフィードバック設計を学ぶには、中原淳氏による下記書籍が参考になります。
まとめ
飲食店長のリーダーシップ行動は、模範を示す・情報提供・ポジティブなフィードバック・配慮の提示・自律性のサポートの5分類24項目で測ることができます。とくに「模範を示す」「情報提供(目標を示す)」「自律性のサポート」の3分類が業績につながりやすいことが、同論文から示唆されています。店長研修でチェックリストを活用し、行動レベルで自分の強み・課題を可視化してみてください。
