「弱い紐帯の強さ」理論と部門間チームビルディング研修

1973年にスタンフォード大学のマーク・グラノヴェッター博士が発表した「弱い紐帯の強さ」理論をご存知でしょうか。
紐帯(ちゅうたい)は耳慣れない言葉ですが、平たく言えば「つながり」のことです。つまり、弱い紐帯の強さとは「薄いつながりが意外な強さを持っている」という理論です。

弱い紐帯の強さが発見された実験
弱い紐帯の強さは、グラノヴェッター博士の次の実験から明らかになりました。
その結果、対象者のうち16%は会う頻度の高い人(社会的つながりの強い人)からの情報で仕事を得ていた一方、残り84%はまれにしか会わない弱いつながりの人からの情報で就職していたことが明らかになりました。
さらに、満足度の観点でも「弱い紐帯」からの情報で就職した人のほうが、満足度が高いことも示されました。

ちなみに紐帯の強さは、ともに過ごす時間量・情緒的な強度・親密度(秘密を打ち明け合うこと)・助け合いの程度という4つの要素によって決定されるとされています。
企業内における弱い紐帯の強さの活用
では、企業内で弱い紐帯の強さ理論をどのように活用したらよいのでしょうか。
ハンセン(1999年)によれば、弱い紐帯の強さが特に発揮されるのは形式知の伝達や新たな情報の探索の場面だとされています。社内で言えば、他部門の有用な情報を探索する場面で弱い紐帯が効いてくる、ということです。
たとえば、自分のチームで悩んでいる若手社員の育成方法について、他部門のちょっとした知り合い(=弱い紐帯)に育成のやり方を聞いてみることで、思いがけない発見につながることがあります。同じ部門の同僚に聞いてもすでに似た発想しか出てこない一方、別部門の人からは前提の違うアイデアが返ってくるためです。
このように、弱い紐帯の強さ理論は企業内ではイノベーション促進や効果的な情報共有の文脈で語られることが多く、近年は心理的安全性の議論ともセットで扱われます。「気軽に他部門へ聞きにいける雰囲気」自体が、弱い紐帯を活かす前提条件だからです。
「弱い紐帯の強さ」理論と部門間チームビルディング研修
ただし、弱い紐帯の強さ理論を活かすには、そもそも弱い紐帯そのものが社内に存在している必要があります。リモートワーク常態化や事業所分散が進んだことで、強いつながり(同部門・同チーム)以外の接点が減った会社は少なくありません。
そこで、部門や事業所をまたいだコミュニケーションが生まれる場を意図的に設計することが必要になります。以前はチームビルディングの起点として社員旅行が定番でしたが、弊社の体感では社員旅行はここ数年また増加傾向にあり、ただし以前のような観光や飲み会中心ではなく、部門間チームビルディング施策を組み込んだ形式に変わってきています。

具体的には、15〜17時の2時間はチームビルディング研修、18時から宴会という形式で、観光や懇親の合間に研修要素を埋め込むパターンが増えています。管理職層の関係性を起点に組織全体のチームビルディングを設計するような中規模・大規模研修との相性もよく、旅行後に強い接点として残らなくても、「いざというとき声をかけられる弱い紐帯」を社内に張りめぐらせることが狙いです。
実際に弊社で100人規模の部門MTGでチームビルディング研修を導入いただいたシーカ・ジャパン様からは、以下のようなコメントをいただきました。
このコメントが示している通り、普段は関わりのない階層・部門のメンバー同士に「自然と打ち解ける時間」を1度提供しておくと、研修後の業務シーンで声をかけ合うハードルが大きく下がります。これがまさに、弱い紐帯を意図的に張る効果と言えます。
関連するゲーム研修として、弊社のベストチームは、心理的安全性をゲームで体験的に学べるチームビルディング研修です。部門横断の合宿や全社研修で導入されることが多く、弱い紐帯を張る場づくりとあわせて活用いただいています。
なお弊社では年間400社以上の研修実績を持ち、新入社員研修から管理職研修まで幅広く対応しています。社員旅行・周年イベント・全社合宿の場で部門間チームビルディングを設計したい場合は、下記フォームよりお気軽にご相談ください。代表的なゲーム研修については研修用チームビルディングゲーム15選もあわせてご覧ください。
導入実績の一例(敬称略)
詳しくはこちら
チームビルディング研修の事例としては、カオナビ様のクエスト研修の立ち上げに弊社が参加した記録も公開していますので、設計の参考にしてください。
研修の学びを定着させたい研修担当者の方へ
研修の内容を現場の行動変容につなげたいとお考えの研修担当者様には、弱い紐帯の強さ理論を体験的に補完する研修として、心理的安全性をゲームで学ぶ「ベストチーム」をご紹介しています。部門間の関係性に弱い紐帯を張る場づくりとして、合宿や全社研修で導入いただくケースが多い研修です。
また、研修の内容を現場の行動変容へつなげる「研修転移」の考え方を体系的に整理した名著として、中原淳らによる『研修開発入門』もあわせて参考になります。下記の書籍紹介リンクからご覧いただけます。


